[記憶] ブログ村キーワード
2007年11月1日
中之島公園では
長きに渡る再整備工事が始まりました
最初に閉鎖されたのは
私が暮らしていた剣先と呼ばれるエリア
誰も来なくなった静かすぎる公園に
私たちは戸惑いました
橋の上から見つめている秘書たちも
いつものようにスロープから降りてくることはなく
毎日、ただ悲しそうな顔をして
下にいる私たちを眺めているだけ
約1ヶ月間、私たちは
公園に取り残されました
その後…
何が何だかわからないうちに捕獲され
「猫の部屋」に連れて来られた頃には
信頼していたはずの秘書たちにまで
ひどく裏切られたように思えて…
あの頃、私たちの気持ちは
とても荒んでいたと思います
そして、年が明けた
2008年1月15日
今度は、バラ園の仲間たちが残されたまま
中之島公園全域が閉鎖になりました
公園のいちばん端っこだった剣先と比べ
訪れる人たちが多かったからか
バラ園には、愛想のよい仲間たちもいました
そして、その中には
ホームレスさんたちに可愛がられ
大切に育てられた仲間もいました
バラ園入り口に
フェンスが張り巡らされた日
そこにいた仲間たちもまた
突然のことに戸惑い
大きなショックを受けたことでしょう
公園時代の彼女のことを
秘書たちは、何も知りませんでした
出会った日の彼女は
まるで気配を消すかのように
ワンルームに置いた箱の中に
籠もったまま
その日、知ったのは
扉のカードに書かれていた
「キラ」という名前だけ
彼女の毛並みが
とてもきれいな白黒のハチワレだったことも
鈴を転がしたように可愛い声で鳴くことも
その時は何もわからないままでした
あの頃のキラちゃんは
気の毒になるほど怯えた目をして
見るものすべてに
行き場のない怒りをぶつけていました
ワンルームの中に
ご飯のお皿を置こうとしただけで
容赦なく、それを叩き落としました
自分に近寄ってくる人たちすべてに
威嚇を繰り返し、爪を立てました
中には、ひどく噛みつかれて
怪我を負った人もいます
すべてを拒絶するような
彼女の姿がとても悲しかったあの頃
いつも秘書たちは
キラちゃんのワンルーム前にしゃがみ込み
警戒心をむき出しにしながら
見つめている彼女に
無言で語りかけていたそうです
キラちゃんがワンルームを出て
ドミトリー生活をするようになった頃
それまで誰にも触らせなかった彼女が
秘書たちを初めて受け入れてくれました
ゆっくり背中を撫で始めると
少し遠慮がちながらも
嬉しそうにスリスリを繰り返してくれた
あの日…
キラちゃんが「猫の部屋」に来てから
初めて見せた甘えん坊の表情
秘書たちは涙が出るほど
嬉しかったそうです
その後、彼女に劇的な変化をもたらしたのは
今は埼玉に住んでおられる
あるご夫婦の存在
バラ園にいた頃のキラちゃんを
とてもよくご存知だったKさんご夫婦は
秘書たちに、公園時代の話を教えてくださいました
「キラ」という名前ではなく
彼女が心から信頼していた
たったひとりの人からは
「べっぴんさん」と呼ばれていたこと
ご飯をもらう時以外は
他の誰かに近寄っていくこともなく
大好きなホームレスさんの膝に
ずっと乗って甘えていたこと
「べっぴんさん」と呼ばれるたびに
愛情と信頼を込めた眼差しで
大好きなおじさんだけを見つめていた日々
「猫の部屋」にやって来た頃
すべてのものを拒絶し続けていたのは
とても幸せだった日々と
大切な心の支えを失ってしまったから…
Kさんご夫婦とキラちゃんが
再会を果たした日
「べっぴんさん、べっぴんさん、良かったね…」
涙ぐみながらKさんが
キラちゃんに呼びかけておられた姿
懐かしいKさんの声と
懐かしい呼び名に
ずっと耳を傾けていた彼女の表情
今も秘書たちは
その光景を鮮明に覚えています
あの日の再会から
キラちゃんは変わりました
甘えん坊で寂しがり屋
人が大好きな素直で可愛いキラちゃん
もう叩くことはなくなりました
自分は裏切られたのではないこと
ここに来る誰もが大切にしてくれるということ
懐かしい呼び名で呼ばれ
大切な思い出が蘇った瞬間に
彼女は初めて
理解できたのかもしれない…
私はそう感じています
「べっぴんさん」と呼ばれていた頃の幸せに
もっと大きな「キラ」の幸せを
つなぎ合わせたいと思っていました
悲しかったことは忘れて
楽しいこと、嬉しいことばかりの思い出を
積み重ねていくことができたなら…
そう願いながら
秘書たちは、キラちゃんと一緒に
出会いを待ち続けました
そして…
ある日、それは
思いもかけない形で訪れました…
「中之島公園猫対策協議会HP」 web@nakanoshima-cats.com
「中之島公園の猫たち」 nekomat@nifmail.jp
キラちゃんと秘書たちが一緒に過ごした日々は
すでに二年半近くにもなりました
悲しいことやつらいこともありましたが
楽しいことや嬉しいこともたくさんありました
健気に甘えるようになったキラちゃんを見ながら
いつも秘書たちは、もっと大きな幸せをつかんでほしいと願っていました
突然、彼女に訪れた出会いのお話しは
また次の日記に書きたいと思います
和歌山から子猫の里親さん募集中
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