2005/04/17(日)02:57
タカダワタル的半月
高田渡さんが亡くなった。
BAMBOOさんが、渡さん大好きで、
昔、テープを貸してくれた。
私はそれまで渡さんのことをよく知らなくて、
とても恐ろしげな人のように思っていたのだが、
歌はどれも、静かでひょうひょうとしていて
それでいてあたたかかった。
生活をする人の歌、
毎日、働いて生きている人のための歌のように思った。
BAMBOOさんは「渡さんの歌はブルースだ」と言った。
一度だけ、高円寺の小さな居酒屋に
ライブを見に行ったことがあった。
薄暗い照明の中で見た渡さんは、
ものすごく彫が深く、ギリシア彫刻みたいな、
えらいハンサムな人だった。
モゴモゴモゴと話し、眠っちゃいそうになりながら、
ギターを爪弾き、とつとつと歌った。
吉祥寺の焼き鳥屋・いせやの前を通るときは、
「今日も渡さん、きてるのかな」と言って首を伸ばした。
渡さんはツアー中、釧路で倒れて入院。
16日の1時に病院で亡くなった。56歳だった。
アルコールのせいなのか、もっと老けて見えたから、
56歳だと聞いて、少し驚いた。
渡さんしか歌えない歌を歌った人。
56年を短いというのか、長いというのか。
帰り道、東京の空には半月が出ていて、
デタラメな、ハナモゲラねこのねごとを
口ずさみながら歩いた。
なんだかすごくさみしかった。