2008/10/03(金)13:45
『あぁ、結婚生活』@文化村ル・シネマ
ル・シネマは火曜日が1000円デー。
平日だと夜の部しか行けないし、体力的に難しい時も多いのだけど。
同じように考える人は多いみたいで、ロビーでホクシラトさんとバッタリ。
更に、あちんさんが別作品を観ているとのこと。
それぞれ後の予定もあって、お茶はしなかったけれど、ちょっと嬉しい映画友集合でありました。
『ああ、結婚生活』
なんだか古めかしい感じだったのは、舞台が1940年代だからかと思いきや、この作品自体が、1940~50年代のハリウッド・メロドラマにオマージュを捧げているとのこと。
そうと知れば、いかにもな登場人物造形、捻りがなくてわかり易すぎる展開にも納得がいくというもの。
「すごく面白い」わけではないが、ほどほどにコミカル&シニカルで、ほどほどに「やっぱり」&「ええっ?」で、気軽に観るには良い作品だった。
クラシック映画っぽい映像は好きだし、当時のメロドラマなんか観ちゃいないので、意外に新鮮味もあったし。
役者陣も、クラシカルな雰囲気を壊さない面々で、上流という意味ではないけれど、全体に「品位」のようなものを感じた。
堅物な主人公ハリー(クリス・クーパー)は、堅物だからこそ本気になってしまった愛人ケイ(レイチェル・マクアダムス)と結婚するため、長年連れ添った妻パット(パトリシア・クラークソン)の殺害を企てる。
一方、ハリーの親友であるプレイボーイのリチャード(ピアース・ブロスナン)は、ハリーにケイを紹介された時点で彼女に惹かれ、何とか彼女の気持ちをハリーから自分に向けるべく、策略をめぐらせる。
穏やかでない話の展開なのに、作品と観る側(私)の間に、不思議と心地よい距離感があって、深刻にならないで済む。
確かに「テレビの中のメロドラマ」を観ている感覚かも知れない。
加えて、誰も「それほど悪くない人間」(むしろ善良なぐらいの人間)だから、嫌な気分にならない。
妻殺害なんてとんでもないと思いきや、その理由は「憎いから」ではなく、「絶望させるぐらいなら、いっそ」だし、妻の側にも問題があったりする。
愛人だって、「美貌がウリの財産目当て」なんかではなく、本気でハリーを想っているし、自分から「奥さんと別れて」と望んだわけでもない。
まあ、リチャードがちょっとワルいヤツではあるけれど、彼だってケイに本気になってしまったからの行動だし。
最終的には、「おさまるところにおさまって」大団円。
「他人の不幸の上に、自分の幸福を築いて良いものか」という言葉が繰り返されるので、それがテーマなのかな。
昨今の、どろどろ愛憎劇や、かなりレアだったりタブーだったりの設定の恋愛話、「大切な人の死」で感情を揺り動かそうとする手法、なんかに慣れていると、薄味で退屈かも知れないけれど。
私には、ほど良く楽しめて、無理がなく、不愉快な気分にならない、素敵なメロドラマ、だった