猫多組(ねこたぐみ)

2008/12/31(水)21:50

『東南角部屋二階の女』@ユーロスペース

映画・DVD(409)

タイミングをはずして、「まあ、観なくてもいいか」と思っていたのだけど。 motoさんの感想を読んで心が動き、ちょっと無理をしてユーロへ。 『東南角部屋二階の女』 若い監督が撮った、ちっちゃいレベルで迷い悩む若者3人の話だと思っていた。 ら。 素敵な年配者の「偲ぶ想い」が見事な隠し味になっていたのでした。 なるほどね、それでこのタイトル。 いや~まいった、ヤラレました、気持ち良く降参 父親の借金返済のため、祖父の土地を売ろうとする男(西島秀俊) あわない仕事に嫌気がさし、突発的に退職して、彼女に追い出された後輩(加瀬亮) 面倒なあれやこれやを「結婚」に逃げ込むことで解消しようと、条件を偽って見合いをする女(竹花梓) 役者さんは魅力的でも、作中人物的には全然魅力的じゃない3人が、男の祖父の家の隣に建っているボロいアパートで共同生活をはじめる。 静かに過ぎていく日々の中で、人生の先輩たちとの出会いがあり、少しずつ、彼らは変わっていく。 時が満ち、それぞれの決断がなされ、3人は、それぞれの道を進んでいく。 それだけの話だし、中年女の私からすれば「何を甘えてんだか」みたいな若造の行動や言葉もあったりするんだけど、最終的には、なんだかとても気持ち良くなってしまった 3丁目~みたいな「古き良き時代」とか「郷愁」ってことじゃなくて。 ただの年寄りの思い出話ってんでもなくて。 なんだかホワリと温かい情感を感じられた。 高価じゃなくて、昔ながらの具と、イマドキっぽい具が混じって入っているおでん鍋のようなぬくもり感、安心感。 3人が「恋愛」的に絡まないところも良かった。 その要素を入れてしまうと、きっと安っぽくなっちゃうと思う。 それから、ボロアパートと祖父の家の佇まいと、ほとんどしゃべらない祖父(高橋昌也)と彼の面倒を見ている小料理屋の女将(香川京子)の佇まいが見事に一致。 骨董品的な品があるというか・・・時間によって磨かれた質感のような雰囲気がある。 建物は相当ボロイんだけどね。 これはホント、無理してでも観て良かった作品でした、motoさんに感謝 この映画がデビュー作という、弱冠27歳の池田千尋監督、これからの作品にも大いに期待できそう。

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