猫多組(ねこたぐみ)

2008/12/31(水)22:12

『バックドロップ・クルディスタン』@新文芸坐

映画・DVD(409)

ポレポレで予告編を観た時から、気にはなっていたのだけど。 東中野まで行けないでいる内に終わってしまったので、新文芸坐に感謝 『バックドロップ・クルディスタン』 映画系専門学校に通う青年・野本(監督)はクルド人難民のカザンキラン一家と知り合う。 彼らは、トルコ人に迫害され、国外逃亡をして日本にやってきたのだ。 野本は、一家の抱える問題(難民認定問題、クルド人問題)について、特に問題意識を持っていたわけではなく、そういった社会問題に立ち向かう運動家でもなかった。 ただ、彼らの友人として、一家の姿を撮影し続ける。 難民認定を求めての、青山国連大学前での座り込み。彼らのアパートでの食事。他のクルド人たちとのパーティ。 激しく権利を主張する一方で、大笑いして歌い踊る、素顔の一家がそこにいる。 認定を勝ち取ったものの、その後、父親と長男がトルコに強制送還され、残った家族は第三国へと移住する。 野本は、彼らを追ってトルコ、そして移住先へも赴き、彼らの姿や主張を撮影し続ける。 同時にトルコで普通に暮らす彼らの親戚や、「仲良しだよ」と肩をくむトルコ人とクルド人の姿、主張をもカメラにおさめていく。 正直、素人の撮影・編集なので、見づらい面もあるけれど、それだけにリアルだし、興味深い。 彼がクルド難民支援家であったら、一方的な内容になってしまうであろうところを、フラットな目で描いているから、「それぞれの主張」がかみ合わないことがよくわかる。 こういった問題は、どちらが正しいとか正しくないとか、簡単には結論づけられない問題なのだ、ということを思わされた。 映画作品としてどうこうではなく、クルド人問題を知るガイドとして有効だと思った。 興味のある方にのみ、オススメ。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る