2010/03/27(土)17:36
アイツとボク50(再)
今日の日記(「白い春」感想と親子でハマって元気が出るロクデモナイ?もの☆ )
「アイツとボク50」
「また入院しちゃったよ。またやっちゃったらしいや。」
外回りの帰りに赤木くんから携帯に電話があった。
「え?!いつだよ?」
「オマエと別れた翌日の夜~。」
赤木くんは会社にいた時から腹の調子が悪かったらしく、
その日は何となく実家に帰りたくなって帰ったらしい。
あまりにも調子が悪いから泊まろうとしたら、
ひどい腹痛になってしまって、救急車を呼んだそうだ。
「うわ~。大丈夫かよ?」
「うん。だいじょぶ、だいじょぶ。
またこないだの病院にいるんだよ。
でさ、ほら、もうすぐ生まれるって言ってたじゃんか?
オレもしかしたら、見舞いに行けないかもしれなくてさ。
ゴメンな~。」
「自分が入院してるくせに何言ってんだよ?
生まれるまでに退院すればいいだろ?」
「まあ、そうなんだけどさ。」
「今日、見舞いに行くよ。」
赤木くんはワリィな~と言って笑っていた。
カリナに会社の帰りに見舞いに寄って帰ると連絡を入れた。
すぐに帰るから…と。
カリナはまだ大丈夫だし、何かあったら携帯に入れておくね。
と言って、赤木くんの心配をしていた。
とりあえず、週末に自分も見舞いに行きたいと言っていた。
「よう~!」
病室に入ると元気そうなアイツがいた。
「大丈夫なのかよ?」
「まあ、またやっちゃったって感じだからな。
検査したんだよ。
そしたら、何か腹に白いのが大きいのと小さいのがあって、
大きい方は大丈夫らしいんだけど、
小さい方は気になるからまた検査しましょうってさ。」
「検査って、いつ?」
「二週間後」
「え~?ずいぶん遅くね?」
「だよなぁ~。まあ、たいしたもんじゃないからじゃないのか?」
「まあ、そうだけどさ~。」
「それより、オレの嫁さんはまだ出て来ないの?」
「うん。まだ大丈夫だって、カリナが言ってたよ。
週末の休みには、見舞いに来たいってさ。」
「はは…。この姿は見られたくないなぁ~。」
「今更、何言ってんだよ!」
元気なアイツの姿を見てホッとした。
週末はカリナと見舞いに行った。
「病院だから、いきなり産気づいても、ココで産んで大丈夫じゃない?」
「え?そんなことできるの?」
「いや、無理でしょ~!
まだ生まれないって!」
そんなことを言い合って笑った。
検査とかもあるから、しばらく見舞いに来なくて大丈夫だよ。
と、赤木くんが言った。
その翌週、
カリナが産気づいた。
いよいよだ。
カリナは2日間微弱陣痛で苦しみ、
3日目の朝に子供を産んだ。
女の子だった。
嬉しくて、親の報告の次にアイツの携帯にメールを入れた。
生まれたよ。
残念だけど、オマエの花嫁だ。
でも嬉しい!
しばらくして、返事が入っていた。
おめでとう!!!!!
やったな!
すぐ見れなくて残念だ!
入院中の休日、
イグチくんがちょうどこっちに来ていて、見舞いに訪れてくれた。
いっしょにガラス越しにボクの子供を眺める。
ボクはちょっと残念だった。
ホントだったら、多分真っ先にアイツもココにいただろうと…。
時計を見ると、
イグチくんは、カリナに断って、ボクを病院の外に連れ出した。
ほら、と携帯を渡してくる。
「赤木だ。」
ボクは驚きながらも嬉しくて、携帯に出る。
「よう。おめでとう!
行けなくて、ごめんな!」
ボクは二人のはからいにジンワリきてしまった。
「ありがとう…。」
「何だよ、泣いてんのか?」
「泣いてないよ。ねぇ、イグチくん?」
「いや、泣いてるぞ。感動してる。」
参ったなぁ。
ボクはとりあえず、夕方イグチくんとそっちへ見舞いに行くから、と言った。
「大丈夫なのかよ?」
「うん。カリナも休んでおかないといけないからってさ。
自分の分と赤ん坊の分まで、見舞って欲しいんだって。
イグチくんも来てるし。
大部屋だから、結構入院を楽しんでるみたいだよ。」
そうか~、と笑って赤木くんは電話を切った。
夕方、ボクとイグチくんがアイツの病室へ行くと、
嬉しそうに笑った。
意味は無いけど、生まれたからとか何とか言って、
子供を撮るために持って行ったカメラで記念写真を撮った。
フィルムが終わり、これで現像に出せる…と。
赤木くんはフラフラしながらトイレに行った。
「シリのできもの取ってさ、まだ痛いの何のって。」
「大丈夫かよ?もう立ち歩かないでいいって。」
「そうか?ワリィな!」
病院の外まで送ろうとするアイツを制止して、イグチくんと帰る。
「オレ、しばらくこっちの親戚のとこにいるから。」
と、イグチくんが言った。
「え?何で?」
「ちょっとこっちで転職考えててな。
就職活動。」
イグチくんはこのまま家業を継ぐことに疑問を感じてしまったらしい。
みんないろいろあるんだな。
続きを読む
前の話を読む
最初から読む
目次