カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記
(映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」・「官僚たちの夏」感想とヒプノセラピーって知ってる?) 「ある女の話:アヤカ27」 急に外が寒くなったので、 家でダラダラと過ごしていた。 何度も聞こうと思って、 でも迷ってやめてたことを、 今日は思いきって聞いてみようと思っていた。 今何してるのー? メールを送る。 テレビ見てるー。 洗濯物干しながら。 想像したら、ちょっと笑えた。 ガンバってるんだ? でももう昼過ぎだよ。 夏休みに言ってたこと本気ー? しばらく私もテレビを見ながら待つ。 夏休み言ったことって? 即返事を打つ。 何でしょう? 来るまでの時間で、考え中かな~?ってニヤニヤする。 スキってこと? うふふん。 スキって言わせちゃった~。 って、そういう話じゃないんだよね~。 冗談とかだったらどうしよ。 ちゃんと本題を打つ。 本気で結婚する? 返事を待つ。 携帯が鳴る。 あ!メールじゃないや! テレビを消した。 「はい、もしもし~?」 「アヤちゃん、このメール何? いきなり!」 「え?確認~。」 「そーいう、 休日に独身男をからかうような冗談はやめようね~。 俺マジで淋しいんだから。」 「他の女の子に目が行くんじゃなかったの?」 「鮭になるって言ったでしょ~。」 「じゃあ私も鮭になっていい?」 「は?何?」 「私もね、 タカダくんがいるところが自分の居場所な気がするの。」 タカダくんが黙った。 「早いかな?」 「早いね。」 お互いしばらく黙った。 「それメールの理由?」 「うん。」 「えーっと、本気だよ。 本気で言ってる。 ってか、こんな話電話じゃ何だけど…。 俺、本気にしていい?」 「うん。」 タカダくんが黙ってる。 「どしたの?」 「いや、やっべ。 嬉しい。 嬉しいんだけど。 あ、でも何か実感湧かない。 いーのかな?こんな早く。」 「何?もうマリッジブルー?」 タカダくんが笑う。 「嬉しいって言ってんのに、何でマリッジブルーなんだよ? アヤちゃん、それ女の人がなるんでしょ? これからそうなるんじゃないの?」 「そうね。 じゃあ、ならないうちにサッサと結婚しちゃおうよ。 その気になってるうちに~。」 「いや、一時の気の迷いとかじゃ俺は嫌なんだけど。」 真面目なタカダくんの声がする。 それでますます嬉しくなる。 「じゃあ、もう少し様子を見たい? その方がいいかなぁ。」 「いや、それも嫌なんだけど。」 「どっちだよ~。」 「わかった! わかったから、俺、次の連休に有休取るから、 今度そっちに帰るよ。 それで話ししよ!」 「お正月でもいいよ。 そんなに急がなくても大丈夫だから。 急ぐことないよね? ただ、私もそう思っただけなの。 ホントに。」 「本気で言ってる? うん…。 あ、じゃあ金貯めなくちゃな。 って、今からじゃ無理か? うわっ、どーしよ。」 勝手に現実の壁にぶつかってるらしい。 笑える。 そりゃそーか。 まだ貯金なんか無いよね。 夢物語だったかな。 でも楽しい夢なら長い方がいいよね。 電話を切ると、ウキウキしてきた。 こんなにトントンと話が進むなんて思わなかった。 ホントに本気なんだ。 母親が台所にいたので言ってみた。 「おかーさん、 あのさ、私、結婚しようかと思うんだけど。」 「へぇ?!」 「いや、今すぐじゃないけど。 お正月に彼連れてきていい?」 「本気?」 「うん。」 「まだまだ先じゃない。 まだ秋よ~。」 「すぐ冬だよ。」 「うん。 うん、そうね。 わかった~。」 お母さんはそう言って、台所の仕事途中なのにお茶を入れ始めた。 一口飲んでボーっとしてる。 「どうする? コレ切るの? やろうか?」 「あ、そうね。お願い。 ううん。やっぱアンタじゃ無理。 そうだ。いろいろ覚えなきゃね。 あ、仕事どうするの?辞めるの? どんな人? お父さんに自分から言う?」 母親はようやく現実に戻ったらしい。 そういうリアクションが来ると思わなかった。 笑えた。 夕食にお父さんもいっしょで、 私は現実的な話をする。 お父さんは黙ってて、 お母さんと私のやりとりを聞いてた。 「なるほどね。 じゃあお金無いでしょ? 早くない?」 「じゃあ同棲していい?」 「それは~ う~ん… いいとは言えない~。」 「でも結婚できなくても、 私そのうち向こうに行っちゃうつもりでいるんだけど。」 ずっと黙ってたお父さんが口を開いた。 「そんなにアヤが好きならいいんじゃないの。 同棲されるよりは結婚してくれる方が安心だし。」 「ええっ?!そんなお父さん…」 私はニヤリと笑った。 父親を味方につけたかも。 「普通、許さん!とかって言うんじゃないの?」 「だって、アヤはもう大人でしょ? 俺が置いておきたくても、 いつまでもうちにいるとも思ってなかったからね。 相手地元の子なんだし、 まあ、でも、連れて来なさいよ。 お正月に。 どんな人か見せて。」 「うん。」 お父さんが私を大人って言う言葉がちょっと淋しい。 やっぱ、もうちょっとここにいようかな… って気分にさせられる。 お母さんは、「アンタはいつか嫁に行くから」が口癖で、 私に組み立て式の簡素な家具しか買ってくれてなかった。 なのに、 いつまでも家にいると思っていたみたいだ。 「やーね、甘くて。ま、いいわ。 それもそうよね。 まだ先のことだしね。 お兄ちゃん夫婦も帰ってくるから、忙しくなるな~。」 まだ秋なのに、 うちだけもうお正月に向かっていた。 タカダくんは親に言ったりしてるんだろうか? 私はぼんやりと思った。 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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