カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記( 「救命病棟24時」「チーム・バチスタの栄光スペシャル」の感想☆)
「ある女の話:アヤカ29」 帰る間際、ヒロトが指輪を買ってくれた。 給料3ヶ月とまでは行かないけどって。 それでも私が持ってる指輪の中で一番高価だった。 ヒロトが今まで家で過ごしていたことと、 会社員になってボーナスが出たばかりなのも良かったかもしれない。 私はヒロトに時計をあげることにした。 アンティークの有名な時計だった。 お互いずっと大事に使おうね、 って、言い合った。 付き合ってみてわかってたけど、 ヒロトはあまり無駄使いをするタイプじゃないみたいだ。 どうやら絵描いて、時々飲んで、ゴロゴロしてられれば幸せっぽい。 子供の頃から知ってるはずなのに、 最近少しずついろんな面を知るようになった。 二人で話し合った結果、 私が式の準備をして、 ヒロトが新居の準備をするって分業作業をすることにした。 「何か部屋決めるのに希望ってある?」 「う~ん、希望って?」 「駅からどれ位とか。」 「そだな~。 私は今ヒロトが住んでるとこに移る気分でいいよ。 ヒロトが住みたいってとこに決めていいかな~。 ワンルームじゃなければいいと思うよ。 あ!でもね、できれば日当たりがいいとこがいい。」 「日当たり?」 「うん。友達が日が入らないとこに住んでたら、 何となく気が滅入ったって言ってたから。」 「ふ~ん。 そういえば、俺の部屋も日は入るか。 期間あるし、ちょっと気をつけてみるよ。 でも、勝手に決めて、文句言わない?」 「言うかも。」 「え?!」 「私が気に入る部屋をみつけてね。 予算以内で!」 「何だよソレ?!厳しいな~!」 ヒロトが笑った。 私も笑う。 「そっちは?」 「俺?式なんて何でもいいよ。 たった一日のことじゃん。 いっそ会費制の飲み会でいい位~。 でも、一生に一度とかって言葉もあるからひっかかるけど。」 「ふうん。 じゃあ、適当にしちゃうよ。 文句無しね。」 「借金さえ背負わなきゃいいよ~。」 「文句言わないんだ? じゃあ、チョンマゲで入場とか?」 「それはヤダ…。」 「じゃあ、言うんじゃん。」 「なるべくシンプルなのにしてよ~。 でも、言っても一日。 こっちは毎日住むからずっと言われそうでヤダよ。 まあ、なるようにしかならないから。」 「そうね。なるようにしかならないもんね。」 私は週末になると式場だの店だのを見に行ってみた。 お得なパック50万円とか100万って言うのとか。 花をテーブルに飾るだけでも一つ400円だの千円だの、 何だか、だんだんめんどうになってきた。 特に一人だと…。 周りにはカップルで来てる人ばかりで、 そんなの見てるとチェッとかって思った。 隣に相談する人がいないとこんなにつまんないものなんだ? 何人呼ぶんだ? 友達中心?親戚中心? ちゃんとしたらしただけお金が飛ぶってことがわかった。 ドレスレンタル10万… 持ち込み料1万… こんな所はデートしながら来るものなのかもしれない。 そしてだんだん結婚する気になるものなのだろう。 一番雰囲気がステキなホテルで、 担当になってくれた男性に現状を相談したら、 披露宴じゃなくて会食形式の式とのパックがあると言われた。 話しやすい、ハキハキした感じのいい人で、 今は家族だけでって人も出てきてるから、コレはいいですよ~って。 それなら私たちだけでできるし、 友達はヒロトが言ってた会費制の二次会っぽい感じでいいかも…。 結局私はそれにすることにして、 日にちを仮予約した。 コレなら、ヒロトがマリッジブルーになってドタキャンされても、 キャンセル料は10万だから、 結婚詐欺の被害も少なくて済むだろう…。 ヒロトにそう電話したら、 何で結婚詐欺なんだよ? しかも俺がするの? って言われた。 「だって払ったの私だも~ん!」 「俺だってアヤちゃんが引越してこなかったら、 敷金礼金もったいないじゃん!」 「うふふん。」 「何その笑い? まさか引越さないとか言い出さないよね? アヤちゃんのがマリッジブルーになってない?」 「だって、一人で結婚式の準備するのって、 何だかすっごい空しいのよ~! 周りがカップルばっかでベッタベタだし~。 もう、そっちに何もしないで行っちゃいたいのよ。」 「あ~、だよね。 ごめんね。」 「ううん。 お互い使ったお金が無駄にならないよう、 使命を果たそう。」 私はキラキラ光る指輪を眺めて言う。 「何だソリャ?」 「ううん。まあとりあえずガンバります! パックだから一つ一つ決めることも少ないし、 この程度なら私一人でもできそうだよ。 あとは友達どうしようかな?って感じ。」 私はヒロトのこっちの友達の住所を聞いて、 ソレを会社のプリンターで招待状っぽいのを作って出すことにした。 休み時間にコソコソと。 友達のパーティーは、ヨッちゃんがいろいろ仕切ってくれることになった。 ヒロトの学校の友達にも連絡をしてくれることになったりして、 着々と準備が進む。 会社に連絡する。 辞める手続きが進んでいく。 ゴールデンウィークは慌しかった。 式場を二人で見に行く。 打ち合わせと、最終チェック。 ヨッちゃんがヒロトの学校の友達と司会をやってくれるってことになって、 会場をみんなで見に行った。 エリもいっしょに。 打ち合わせ後、5人で飲んだ。 お祭り気分でちょっとワクワクした。 「タカちゃんとアヤちゃんが結婚するなんてビックリだよ~。」 ヨッちゃんが言った。 「ホントだよね。」 エリが言った。 その日はエリの家に泊まることになって、みんなで飲み会の続き。 司会をしてくれる男の子も飲むのが好きらしい。 すっかり打ち解けてしまった。 エリがちょっと来てって、 私をエリの部屋に連れて行った。 男たちは隣のヨッちゃんの部屋で飲ませておく。 エリはハイって、包みをくれた。 中には薄い青色のハンカチと真珠のアクセサリーが入っていた。 「わぁ~!いいの? すっごいステキ! ありがとう!!!」 「うん。私からのお祝い。 ええと、 新しい物と、古い物と、借りた物と、 青い物があると幸せになれるんだってね?」 「へぇ~。ドレスはレンタルだから、 古い物って何にしようかな?」 「ふふ。いいねぇ~、アヤ。 私も結婚しよっかなぁ~。」 「え?そんな話になってるの?」 「うん。 やっぱり、何があっても彼だと思ってるからさぁ~。」 エリは、元彼とヨリを戻していた。 同じ会社で毎日顔を合わしていたからなのか、 エリがマノくんと付き合わなかったからなのか、 元彼がエリのことを許したって聞いた時はビックリした。 「エリは、やっぱり彼がいいの?」 「うん。 まあ、あの後も、お互い他の人に目が行った時期があったけど、 やっぱりアイツかなぁ~って思う。 何度別れても、やっぱり…ね。」 そんな付き合いをしてるエリを見てると、 本来はそういう二人の方が結婚すべきなのかな? なんて思う。 私達は大丈夫かな? 少し不安がよぎる。 私はまだヒロトとそんなに深く付き合ってない気がした。 でも、もう離れていたくない。 他に目が行くとも思えなかったし、 もう知らない誰かと恋はしたくないと思ってた。 また別れを経験するのも嫌だった。 だから結婚するのかもしれない。 強く激しい何かは無くていい。 穏やかなヒロトとの暮らしが欲しい。 結婚したら、もう人を好きとか嫌いとか、煩わされなくていい。 ただお互い毎日見た、 ささやかなことを報告しあいたい。 ヒロトとならそうなれる気がした。 もうすぐヒロトと毎日いっしょにいられる。 私の居場所に行ける。 それだけが、今の私の欲しいこと。 もうすぐ私は結婚する。 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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