カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記(「救命病棟24時(最終回スペシャル)」感想とシルバーウィーク最終日☆)
「ある女の話:アヤカ36」 穏やかな日常と新しい仕事のお陰で、 ウエノさんとの出来事は、なかったことのように記憶から薄れていった。 私はそのことにちょっと安堵した。 ゴールデンウィークに故郷に帰ると、 何だかホッとした。 休み目一杯、うちの実家とヒロトの実家をはしご。 先に自分の実家に戻って、地元の友達と遊べたのが楽しかった。 ヒロトも地元の友達と会ったり、 いっしょに仲間と飲みに行くのに連れて行ってもらったりして、 毎日が楽しかった。 やっぱり故郷はいいなぁ~。 休みから戻ると、 私は派遣の紹介仕事を転々とした。 ほとんどは前と同じような感じで、 いろんな派遣会社から、沢山派遣の女性が集められて、 パソコン部屋に押し込められて、 入力しまくったり、電話をかけまくったり。 けど、今度の会社は、 今までと違って沢山の派遣社員を雇うワケじゃなくて、 一つの部署に一人か二人派遣社員がいて、 ほぼ社員と同じような扱いをしてくれる会社だった。 電話の取次ぎと、データのチェック。 それから資料の作成。 結構面白い仕事だった。 男性が多くて、 派遣の女性も飲みに誘われるのが普通だった。 あまりにも頻繁にあるので、 一月に一回は付き合いで出なきゃいけない雰囲気だった。 出ないと、数人の他の女性社員や、派遣社員にニラまれそうな。 ヒロトは、 たまになんだし、まあいいじゃんって言ってた。 自分も会社の付き合いが多いからだろうな。 隣に座った独身の男性社員は目が据わっていた。 30過ぎだったかな、この人。 「あのさぁ~、タカダさんって結婚してるんだよね?」 「そうですよ~。」 「俺さぁ、人妻と付き合ったことあるんだよね~。」 へ? 普段は真面目な人なのに…。 何をこの人言い出してるんだろ? 酔った頭でぼんやりと聞く。 「でもさぁ、向こうが本気になっちゃって、 そういうのって困るじゃん? 俺めんどくさくなっちゃって、逃げちゃったよ。」 「相手が本気にですか?」 一瞬昔のヒロトと同じ感じなのかな? って思った。 「うん。離婚するとかって言い出してさ。 怖いよね。」 男はニッコリ笑って、 私が置いていた手の上に手を重ねてきた。 周りは酔って話し込んでいて気付いてない。 「ねえ、タカダさんはそんなことないでしょ? 俺なんてどう? 付き合ってみない?」 何でそうなるんだろ? 単にモテるって自慢かなぁ~。 こんな男の人に本気になっちゃったりして、その奥さん可哀想。 でもこの人、確かに真面目そうに見える。 いや、見えていた。 私は冗談だとわかってるので、 笑ってその手から逃れるために席を立った。 そんなことを聞くの、すっかり慣れてしまった。 世間の垢にまみれたと言うか、 私ももう小娘じゃないんだなぁ…って気分になった。 何だって結婚してからモテてるんだ? いや、モテてるワケじゃないんだろうな。 きっと、結婚してる女は後腐れ無く遊べるって思ってるんだ。 この前なんて、 「俺、単身赴任中に女と同棲してたんだよね…」 って話を他の男性社員から聞いたばかりだった。 そんな武勇伝、 私に言ってどうするんだろう? はあ。 って、聞いてた。 ウエノさんの大人の淋しい面を見てしまったせいか、 何となく無下にできない。 それとも、そんな話をしても怒らないから、 こんなことしてくるのかもしれない。 大体翌日になると、 昨日はごめんね~とかって、ペコペコ謝ってくる。 面白い人たちだ。 一体何を考えてるんだろう? 電話の取次ぎも、 休みのはずなのに奥さんから電話がかかってきた人がいた。 独身の女の子の派遣社員は呆れて、 即辞めてしまっていた。 私もここでは更新する気は無い。 よく続いてると思う。 コーディネーターの人がイイ人じゃなければ、 更新前で絶対辞めてたと思う。 男性たちはみんな男尊女卑って感じで、 仕事ばかりで出会いが無いらしく、独身が多い。 女性社員は結婚を決めてとっとと辞めていくって聞いている。 子供はまだ作らないの? って、みんな言うのでうっとおしい。 次の職場でもどうせ言われるんだろうけど、 ココのセクハラっぽい職場よりマシかもしれない。 ほぼ、正社員並みのお給料だけど、 どうしよう…。 春になって、新入社員が入ってきた。 私がいる部署には4人。 男性が3人で女性が一人だった。 新入社員の女性は、電話を取るのが怖いとか言って、 全く電話を取ろうとしなかった。 でも、みんなそれがカワイイらしい。 そんなものだよね。 昔、社員の頃はそれが鼻について、ムカついたこともあったけど、 派遣になって客観的に見ると、 初々しい気がした。 それにしても、 どうしてこうウルサイくらい電話が鳴ってるのに、 男性は取らなくていいんだろう? 自分の仕事がはかどらないけど、 コレも私の仕事なんだよな…。 そう思っていたら、 新人くんが先に取ってくれた。 「この伝言の仕方でいいんですか?」 「あ…はい。大丈夫です。 すみませんでした。 ありがとうございます!」 私は意外な出来事に驚いていた。 彼は新人の中でも特に生意気な人だって聞いていたから。 彼の名前は赤木シンヤと言った。 まさかこの時は、 自分にそんなに関わりがある人になるとは、 思ってもみなかったんだけど…。 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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