カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記(映画「ザ・マジックアワー」SPドラマ「左目探偵EYE」の感想☆)
「ある女の話:アヤカ48」 「ねえ、ヒロト…」 「ん?」 「子供って欲しい?」 「何で?」 ヒロトが私の方を向いて言う。 最近、何だかお互い体を求めることも少なくなった。 何となく、側にいてくれれば安心っていうか。 週末時々、 気が向いた時にするって感じ。 今日も何だか久しぶり。 もう、お互いのやり方も知り尽くしてる気がする。 マンネリってやつなのかも? 以前飲み会で男の人たちが言ってたことは何となくわかる。 家族とするみたいで何だか…。 うちはお互い、まだそこまでにはなってないけどね。 子供がいるいないで違うんだろうか? 「何かまた言われた?会社で。」 「まあね~。」 「いいんじゃない、まだ。 それともそろそろ欲しい?」 「ううん。 まだいい。 一人でここで育てる自信無いもん。」 「ならいいんだけど。 ここだと、結局一人で育てさせちゃうようになりそうだし。」 「帰ってから、できなかったら考えよ。 できなくても私はいいし。 あ、でもヒロトは欲しい?」 「いや~、 こればっかりは神様の言う通りでいい~。」 「天の神様の言う通り~♪」 私は軽く歌った。 「アヤちゃん、欲しく無いの?」 「何で?」 「ん?何となく。」 「人育てるのって怖いよ。 それだけ。」 「まあね。」 ヒロトはTシャツを着て、冷蔵庫から麦茶を出して飲んだ。 「私さ…」 「ん?」 「私、子供をカスガイにするのがイヤなんだよね。」 麦茶を入れたコップを持って、こっちに来る。 「カスガイね。」 「子供がいるから別れないとか、 子供のために冷めても続けるって言うのイヤなの。 子供が可哀想じゃん?」 「ソレって俺達が別れるの前提っぽくない?」 「そう言うんじゃないんだけどね。」 「まあ、言ってることはわかるけど。 何となく…ね。」 ヒロトが麦茶を渡してくる。 私はシャツを羽織って、それを飲む。 「俺だって、怖いよ。 人育てていくの。」 ヒロトが私を見て言った。 「でも、見てみたい気もする。 いつか…俺らの子供。 会ってみたい。」 「うん… うん。 そうだね。」 ヒロトの言葉にホッとして、 私たちは軽く笑った。 お互い、今、この街では欲しくないのはわかってる。 それにまだ、自信が無いんだ。 育てていくこと。 できたら、できたでいいけど。 でも、 周りは結婚したってだけで、 子供は?子供は? って聞いてくる。 何でだろう? 結婚したら、子供を産まなくちゃいけないの? 最近、何だか自分でも、その言葉に過敏になってる気がして、 ちょっとうんざりする。 みんな子供が欲しいから結婚してるのかな? 私たちが変なんだろうか? でも、周りと比べる必要は無いと思う。 うちはうちの結婚生活を楽しんでいる。 少なくとも私はそう思う。 赤木さんに借りたハーレクイーンロマンスを読んだ。 なるほど、感動作なのに笑えたワケがわかった。 こんなのを係長が選んだって言うのが、 想像するだけで可笑しい。 恋愛的に感動作であればあるほど笑えた。 私は赤木さんの机に伝言票と本を置いた。 メールを書く。 本貸してくれてありがとう~。 係長サイコー! 特に子供の存在が良かった…。 子はカスガイって感じがしました。 でも、私は子供をカスガイにするために産みたくないんだけどね。 出してからちょっと後悔した。 変なこと書いたかも。 返事に困るかも。 そう思ってたら、 すぐに返事が来た。 今日は忙しくないのかな? でしょ? 係長オイシーキャラですよね! そう言えば、カスガイってどういう意味ですか? 俺、かけがえの無いものって意味かと思ってたけど、 違うみたいですよね? 私は返事に安堵した。 カスガイって、ドアと壁を繋ぐ金具って言えばわかるかな? 親同士を繋ぐものって意味なんだけど。 またすぐに返事が来た。 へぇ~。 子供ってそんな大事な役割をしてくれるんですね? なるほど。 子供を大事にしなきゃいけないワケですね。 うちの親、俺のことそう思ってたのかな? 俺がいてもいなくてもいいみたいだけど。 勝手に親同士にしかわかんないような会話してますよ。 でも、俺はそんなんでイイと思ってます。 コレは結婚しなきゃわからなそうだと思いました。 俺は親が共稼ぎだったから、 結構みんなバラバラに飯食ったりしてたんですよ。 あんまり家族の団欒って感じで過ごすことが少なくて。 それはそれで気楽でいいんすけど、 俺は家族が欲しいです。 俺あっての誰かって言う存在が欲しいです。 それがカスガイでも何でも、 俺の家族っていうのが大事かな。 大事な役割。 自分あっての誰か。 そんなこと考えたこともなかった。 きっと赤木さんの子供は幸せなんだろうな…。 すごく大事にしそう。 そんなことを思った。 うちはね、 私がいい子にしてないと親が別れちゃいそうな気がしたの。 だから、本当は学校も違うところに行きたかったんだけど、 親の言うことについ従っちゃいました。 でも、自分の才能とかって言うのにも自信がなかったからなんだけど…。 だからかな~。 ちょっと子供をカスガイってやつにするのには抵抗があります。 それで今子供を生まないってワケじゃないけど。 赤木さんなら知ってますよね。 ほら、今、生んでも一人で育てるような感じになるから。 いつか地元に帰ったら、考えようと思ってます。 子供は自然次第ってことで。 でも、授かった時は、赤木さんが言うみたいに、 私あっての存在になるのかな? ちょっと嬉しい存在になるのかもしれないですね。 考えたこともありませんでした。 男達は自分で産まないからなのか、 いろんなことを 自分の家族になるものに思っているみたいだ。 正直、私が子供を産むなんて、 想像もつかないんだけど。 赤木さんやヒロトの言葉が、 いつか私も子供を産むかもしれないな… って、ささやかな夢をくれる。 だって、子供を産むなんて、 本当に何だか怖いんだもん。 俺あっての誰かって、 まずは奥さんになる人のことだよね? でも、 読み返すと気になる。 俺あっての誰かが欲しい 俺の家族 彼は今とても淋しいんだろうか? 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ある女の話:アヤカ] カテゴリの最新記事
|
|