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りらっくママの日々

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2009年10月13日
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今日の日記
(映画「ドラゴンボール EVOLUTION」「スピード・レーサー」感想とビックリ年齢!)




「ある女の話:アヤカ56」


金曜の朝になって、
何だか不安になった。
忘れてるんじゃないよね?…って。
この前の店に夜行けばいいのかな?

どうしようかな、携帯に連絡していいんだよね?

行くことにしたくせに、
やめるべきなのか、また迷いが出る。

昼休み頃を見計らって電話をかけてみた。

でも、繋がったら何だか緊張してきちゃって、
すぐに切った。

もしかしたら、出られない状況かもしれないし。
夕方頃またかけてみようかな…。
いや、やっぱりやめようか…。

自分の連絡先を教えてなかったことを少し後悔した。

軽く昼ご飯を済ませると、
電話が鳴った。

「はい、タカダですけど。」

「あ、俺です。赤木です。」

嘘っ!

「あ、ビックリした~!」

「こっちこそビックリしましたよ!」

赤木くんが笑い声で言う。
ホッとした。

「ゴメンね、今日は有休消化しちゃったの。
派遣でも、何年も勤めるとあるんですよ。
でね、どこに行けばいいんだろう?って、
聞いておこうかと思ったけど、やっぱり夕方まで待ってようかな~って、
電話かけたものの、すぐ切っちゃったの。
履歴残っちゃったんだね。
仕事中、スミマセン。」

「いや、今は大丈夫ですよ。昼休みなんです。
じゃあ、せっかくだから、
こっちの近くまで来てもらおうかな。
実は、そうしてもらおうかと思ってたんで。
早目になって良かったですよ。」

赤木くんに待ち合わせ場所と時間を指定された。
場所を聞いて驚いてしまう。
人が集まる華やかな街だったから。
電車では一本で行けるけど、
彼はちゃんといろいろ考えてくれていたらしい。

やっぱり断らなくて良かった。
コレは私もキチンとしてった方がいいかも。

向こうにとってはただの食事なんだろうけど、
4つ下の彼の隣にいるのに、
ちょっと気後れしないようにしたい。

この前の洗面所での、化粧のハゲたミジメな自分を思い出した。
最後くらい、キレイに装ってみようかな。

以前、会社の帰りに気に入って買ったワンピースでいいかな?
前の会社の子たちと飲み会で着てって褒められた。

かと言って、あんまり気合い入れるのも変よね?
う~ん、難しい。どうしよう。
こんなの久しぶり過ぎてわかんない。

でも、行くとなると、何だかちゃんとした思い出にしたくなった。
化粧をする。
いつもより、少し丁寧に。
軽く香水をつけた。

普通に女友達と食事に行くのだって、
ウキウキしてオシャレするんだもん。
コレだってその延長。
そう自分に言い聞かせる。

でも、これじゃあ、まるでデートだよね。
だって、ドキドキする。
女友達と会う時はこんなにドキドキしない。

今日だけ。
今日だけだから。

私は電車に乗った。
家にいると落ち着かなくて。

待ち合わせの時間まで着いた街でブラブラとウィンドーショッピングをして、
早目に喫茶店に入った。

コーヒーを頼んで、
席に運んで、
小説に目を落とした。

サスペンスものなのに、
内容が頭に入ってこない。

こんなことは初めてだった。

落ち着かないと…。

コーヒーを飲む。
ソワソワして、どうにも落ち着かない。

バッグからコンパクトを出して鏡を見る。

変じゃない?
濃くない?
おかしくない?

閉じてまた
小説を読む。
溜息が出る。

本から目を上げると、
入口の方に赤木くんが来ていた。

ホッとした。

手を振ったら、
目が合って、
近づいてくる。

顔がちょっと驚いてるような気がした。
気のせい?
照れてるみたいな…。

「どうしたの?私何か変?!」

浮いてるのかな?
気合い入り過ぎたとか?
でも、友達は褒めてくれたけど…

「あ、いや…、違いますよ!ちょっと普段と違ったんで…。」

そう言った赤木くんは、
ちょっと照れ臭そうに、嬉しそうに笑った。
私も照れ臭くなって誤魔化すように笑って言った。

「こんなこともう無いだろうから、おめかししちゃいました~!」

「すっごくイイですよ!惚れちゃいますね!」

赤木くんが、私の照れに気付いたのか、
調子を合わせてくれて、
褒めてくれたのが何だか嬉しい。

顔から火が出るってこんな感じかも?
お世辞でも、
オシャレしてきて良かったと思った。

赤木くんが連れて行ってくれたのは、
イタリア料理を出すレストランだった。
少し薄暗い感じで、イタリアのレストランってこんな感じかな~?って。
客もくつろいでいて、
つい飲みすぎてしまいそうな陽気さがあった。
料理も美味しい。

ココは、友達が彼女といい思い出を作った店らしいんですよ。
って、赤木くんが言った。
あ~、なるほどね。
デート?告白かな?プロポーズとか?

そんな話をしてると、
赤木くんもいつかこんなところでプロポーズするんだろうな、
なんて思った。

それでつい、いいな~なんて思ってしまう。
私もちゃんとしたプロポーズしてもらえば良かったかな。
なんて。
考えてみれば、ちゃんとプロポーズしたのは私の方じゃない?
ま、いいんだけどさ。

赤木くんがマイホーム計画は順調に行ってますか?
って聞く。
私はおじいちゃんの話を赤木くんにしてあったので、
うん、順調よ。って返事をする。
でもその会話が故郷に帰ることを連想させて、
何だか淋しくなった。

ああ、そうだよな。
あの時は赤木くんが、
私を気遣うようなメールをくれたっけ。

  タカダさんのおじいさん、
  幸せって聞かれて嬉しかったんですね。

あの時はすごく嬉しかった。
いきなりのおじいちゃんの死で、
仕事が手につかないところだったけど、
私が言った何気無いことが、
おじいちゃんを幸せな気持ちにしたかもしれないって。
赤木くんのお陰で何とかこなせた。

そんなことも思い出した。
いろんな思い出がせつない。

この人がいなかったら、
私、どうなってたんだろ?
かなりつまらない毎日をこの街で送ってたんじゃないだろうか?

ついチーズの味に合ってるのが美味しいこともあって、
ワインがいつもよりスルスル飲めた。

でも悪酔いしそうで水も少しいっしょに飲む。
それでも心臓がドキドキ言い始めていた。
酔ってるのかもしれない。

「私ね、女子校だったの。
だから、会社で赤木くんと、毎日メールで話せたり、
ちょっと飲みに連れてってもらえたりして、
ホントに嬉しかったよ。
共学気分が味わえたって言うか、
男友達ができたって言うか。」

変なこと言い始めてるな…
と思うけど、止まらない。

赤木くんは男友達。

最初のうちは本当にそう思っていた。
でも今は、
そんなこと半分位しか思ってない。

私は嘘つきだ。
でも、赤木くんは私のこと友達だと思ってるでしょ?
私の滑らかになった舌は続ける。

「変だよね、共学に行ってた時は、そういうのできなかったのに。
社会人になってから、
そういう付き合いができる人ができたのって、
何だかすごく嬉しかったんだよ。」

コレは本音。
だけどこの気持ちが微妙すぎる。
友達としてなのか、男としてなのか…
めんどうだからカテゴライズするのをやめた方がいい。
きっと意味なんて無い。

「赤木くんは、女友達とかいるんでしょ?」

「うん…、まぁ…、いますね。」

曖昧に頷いた赤木くんの返事に、
ちょっと胸が痛む。
私には赤木くんだけがそういう存在なのに、
赤木くんにとっては大勢の中の一人なんだ?

「じゃあ、私もその中の一人に入れて下さいね~!」

何だか悲しくなって、
ほぼヤケになって言ってみたけど、
その返事を赤木くんは笑って誤魔化した。

何よ~。
ちゃんと頷いてくれなくちゃ。
ああ、そっか。
こうして女の子たちは赤木くんにハマって行くのね。
道理でみんな泣き出すワケだ。

でもいいや。
私は泣くことは無い。
だって、私はただの友達だもん。
もともと友達以外にはなれないし。

何考えてるんだろう、私…って。
はしゃいでしまっていた自分が嫌になってしまう。

進むことは無い彼との現実の距離が、
妙に痛かった。





続きはまた明日

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最終更新日  2009年10月13日 21時44分07秒
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