カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記( 新ドラマ「オトメン(乙男)」「リアルクローズ」の感想☆ )
「ある女の話:アヤカ57」 デザートが来た。 気分と裏腹に美味しい…。 気を持ち直す。 甘い物っていいよね。 トゲトゲした心を癒してくれる。 それにこうしていられて、 幸せ。 今日が最後なんだし、 せっかくの楽しい時間を変にイジケるのやめようっと。 そう思っていたら、 赤木くんが時計をチラッと見るのがわかった。 「どうしたの?もう帰らないとダメ?」 私がつまらないヤキモチ焼いたのが伝わったのか心配になる。 つまらなくて帰ろうかと? 「それはこっちが言うことですよ~。 いや、この後、良かったら、ちょっと連れて行きたいとこがあるんですよ。」 赤木くんが笑いながら言ったのでホッとした。 まだどこかへ?! 現金な私はつい嬉しくなってしまう。 「何だろ?楽しみ!」 赤木くんが連れて行ってくれたのは、 高層ビル街にあるバーレストランだった。 予約していたらしくて、 赤木くんが名前を言ったら、 すぐに窓側の席に案内された。 うわっ! すごい!すごい! こんな扱いされたの初めて! 大きな窓から見渡す限り、全面に夜景が広がっている。 いかにも洗練されたサラリーマンやOLらしいカップルが、 暗がりの中、楽しそうにゆったりと飲んでいた。 私が年甲斐も無く、喜んでいたら、 赤木くんが気が抜けたように「良かった…」 って座った途端大きく息を吐いた。 「喜んでもらえるかどうかわからなかったから、 気が抜けちゃったんですよ。」 赤木くんは、ホントに脱力してた。 私は、そんなにいろいろ気遣ってくれてたことが無性に嬉しくて、 つい、はしゃいでしまう。 「大満足です!こんな都会っぽいとこ連れて来てもらえて~! うわ~。本当に嬉しい! 本当にありがとう。いい思い出ができました~。 参ったなぁ~。」 こんなことされたらベタかもしれないけど、ハマるじゃない? やっぱり他の女の子たちが泣く気持ちがわかってきた。 そりゃあ、気軽に行けるところに行って、 素の彼が見れるのも嬉しいけど、 最後だからって、 こんなステキな所を選んでくれる気持ちが嬉しい。 夜景を見て飲みながら赤木くんが言う。 「ここは、母親が連れて来てくれたんですよ。 ハタチのお祝いにね。 息子と二人で飲みたかったそうです。」 「へぇ~。お洒落なお母さんですね!」 「母親も働いてるから、 こういう景色見て、明日からもガンバるぞ~! って言ってましたよ。 妙にその言葉を覚えてるんですよね。」 「うん…。その気持ち、何となくわかるなぁ…。」 「オレもです…。」 そんな話を聞いたら、 ここには赤木くんは特別な人しか連れてこないんじゃないか? って気持ちになった。 もしそうじゃなかったとしても、 最後くらいは特別扱いされてるのかも? うん、気を許してくれてるんだよね? あー、赤木くん、 コレが女の子を口説く手ならホストになれるよ。 私だったらハマっちゃいます。 赤木くんなら手でも何でも構わない。 独身の女の子が羨ましく思えた。 でも、そんな気持ちは消しちゃおう。 今はこれが最高! 私も、もしも子供を産んだら、 ハタチになったら、いっしょに飲みに行ってみたいなぁ~。 そう思いつつも、ここで飲むカクテルは、 赤木くんが連れていってくれた、 コーヒーの美味しいバーほどに美味しくなかった。 だけど、夜景の眺めが本当にステキで、 それだけで酔ってしまってる。 さっきのワインも入ってるし、 カクテルがいきなりキてしまったらしい。 体がフワリと揺れた。 気付くと膝が赤木くんの膝とくっついていて、 心臓もさっきよりドキドキ言ってる。 これはマズイかもしれない。 赤木くんがこっちを見てるな…って思った。 それで、私も赤木くんの方をぼんやり見る。 「酔っちゃったんですか?」 「うん、今日はちょっと飲み過ぎちゃったね…。」 「寄りかかっていいですよ。」 赤木くんが、いきなり私の肩をグッと抱き寄せた。 え? 一瞬何が起こったのかわからなかった。 赤木くんの腕の中に自分がいる。 私の頭のすぐ上に赤木くんの顔がある。 マズイ。 マズイ。 マズイ。 心臓の音が赤木くんに伝わってしまうんじゃないかと思うのに、 寄りかかった体は、力が入らない。 赤木くんの緊張した息遣いが聞こえる。 体が温かい。 腕の中が心地いい。 このまま、彼の腕の中にいたい。 そんなこと思っちゃいけないのに。 ここだけが時計が止まった別世界みたいだった。 どうしよう… 私、あなたが好き。 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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