カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記(新ドラマ「ギネ~産婦人科の女たち~」感想と校外学習☆)
「ある女の話:アヤカ58」 ハッと気付くと赤木くんが驚いた顔をして私を見下ろしていた。 ええと、あれ? 今私何て言ったっけ? 私の家だ。 帰ってきてる。 それで… 酔った頭が記憶を巻き戻し。 赤木くんの肩にもたれてて、それで… 「そろそろ帰らないと、電車がなくなりますよ。」 赤木くんの声が聞こえたので、 立ち上がると、 足元がフニャフニャしていた。 視界が狭い。 で、どうしたっけ? 電車に乗せてもらって、 ここまで歩いた? あれ? そうだよ… ずっと支えられてた! うわ、何かすっごいカッコ悪い。 醜態…。 誰もいないからって、 えーと、鍵を… そうだ! 赤木くんが出してくれて、 家の中に入れてくれて、 呆れたような顔してて、 確か… 玄関に私を置いた赤木くんが、 電気をつけてくれた。 「すみません、ここで大丈夫ですか? 自分で鍵を閉められますか?」 うん、ありがとうだいじょうぶよ~。 そう言った私を赤木くんが心配そうに見てた。 あ~、ごめんなさい。 ホントごめんなさい。 「すみませんでした、こんなに飲ませちゃって。 でも、向こうに行ったら、男の前でこんなに飲まないで下さいね。 俺だからいいけど、襲われちゃいますよ。」 いいよ~、赤木くんなら。 ぜひとも襲って下さい。 ああ、そうだ、そんなバカなこと言ってた。 そしたら… 「冗談でも、そういうこと酔っていうのダメですよ。 男は本気にするんですから。」 ちょっと呆れたように、赤木くんが笑って言った。 違う~。 私は誰にでもそんなこと酔って言いません~。 こんな醜態見せちゃったのも赤木くんだからなんだから。 本気になんかしてないくせに。 本気にしたところで、女とも思って無いくせに。 特上の社交辞令を平気で言うんだよ、赤木くんは。 だから、つい言っちゃったんだ。 ホントに冗談じゃ無かったんだもの。 「だって、酔わなきゃそんなこと言えないじゃない。」 ああ、バカだ。 ホント酔ってた。 やだ…。 赤木くんの驚いた顔、 硬直してる。 ちゃんと本気で取ったんだ。 マズイ…。 「うそ。ごめん。何言ってんだろ。 ごめんね、送ってくれてありがとう。 もう帰って。 ホントに大丈夫だから。」 顔から火が出そうだ。 嫌だ、もう、 いなくなってしまいたい。 きっと呆れてる。 結婚してるくせに何言ってんの?…って。 どうしよう。 恥ずかしい…。 お願い帰って。 早く帰って。 いなくなると思っていた赤木くんの足が、 私の前でかがむのが見えた。 私はそっと目を上げてみる。 赤木くんが私の顔をジッとみていた。 やだ… どうしてそんな顔して見るの。 哀れんでる? バカな女って、 お願いだから軽蔑しないで。 友達のフリして、 結局、不誠実な女だったんだって、 思ってるんでしょ? やっぱり俺のこと好きだったんだって思ってるの? 何か言ってよ。 酔ってた私ってば、バカ。 すごいミジメ。 泣きたい…。 消えて無くなりたい…。 私は赤木くんの顔が見れなくて、 激しい自己嫌悪に襲われた。 赤木くんは私の目の前にずっといる。 このまま帰っていいのか、 困ってるのかもしれない。 最後にこんな事態を招いちゃうなんて…。 一体どうしよう…。 いきなり、赤木くんの手が、ゆっくりと私の顔にのびてきて、 軽く頬に当たった。 ビクッと体が震える。 温かい手の平が私の頬を包む。 顔が近づいてきて、 赤木くんの唇が私の唇に軽く重なった。 え… 赤木くんの唇が離れる。 今のは何? どういう意味? 何か言いたいのに、 驚き過ぎて言葉が出ない。 「明日、会える?」 「え?」 今何が起こってる? 今何が起こった? コレは夢? それとも現実? 赤木くんが真っ直ぐ私を見て言う。 「酔ってなんて、嫌だよ、俺。 ホントにタカダさんのこと好きだから。 これきりだとしても、 ちゃんと酔ってない時にしてほしい…」 目が本気だって言ってた。 本心だって。 何かが溶けてく。 私の中でゆっくりと…。 嘘… ねえ、今何て言った? 私の聴き間違い? コレは夢? 好き 私を好き… 赤木くんがギュッと私を抱き締めてきた。 嘘じゃない。 夢じゃない。 この感触は現実だ。 「一日でいいから… 俺のものになってよ。」 もうダメだ… もう… 自分を抑えることなんて、 もうできない。 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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