カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記(敵がいっぱい!新ドラマ「小公女セーラ」「サムライハイスクール」の感想☆ )
「ある女の話:アヤカ61」 赤木くんが慣れた感じで車を駐車場に止めた。 運転が上手いんだな。 ヒロトは故郷でしか車の運転をしない。 だからかな、こんな休日がすごく新鮮に感じてしまう。 こんなふうに、手を繋がれて車に乗るなんてこと、 結婚して以来、無かったからなのか、 心臓が高鳴りっぱなし。 デートしたことが無い女の子じゃあるまいし、 私は一体どうしちゃったんだろう。 ファミレスはちょっと混んでいて、入口で待つことになった。 「こんなふうに、ここにいるのが変。」 私は思ったことを口にする。 「変なの?」 「うん。 赤木くんと昼間いるのは、会社なんだって思ってたから。」 「そうだね。 休みにいっしょにいるなんて、俺も考えもしなかった。」 なのにいっしょにいるんだよね。 そんなことしてちゃいけないのにね。 家族連れが、私の背中を押して詰めてきた。 痛っ。 ムッとしそうになったところを、 赤木くんが私の肩を押して、 自分の方へ引き寄せた。 すごい近いところに赤木くんがいる。 うわ、緊張。 昨日抱き締められた感触を思い出してしまって、 つい体が熱くなってきてしまうのがわかった。 そこへ赤木くんが私の手を握ってきたので、 心臓がドキドキ言ってしまってしょうがない。 誰か知ってる人に見られたらどうしよう…って思うのに、 もうそれならそれで仕方無いような気がして、 こうなってしまったことに観念するしかない自分がいる。 もういい。 今しか考えられない。 後のことは後のこと。 この手を離したくない。 だけど、順番が来てしまったので、 自然と赤木くんが手を離した。 もっと触れ合いたいと思ってしまう私って、スケベなのかもしれない。 ドリンクバーで私は紅茶を持って来て、 赤木くんはコーヒーを持って来た。 お互いにスパゲティを注文する。 二日酔いが残ってて食欲が湧かない。 赤木くんも? 「スパゲティ好きなの?」 「うん。自分でもたまに作る。」 男の人は肉っぽいものが好きなんだと思ってた。 「それは初耳。」 「たま~にだよ。茹でて何かかけるか、炒めるだけじゃん。」 ホントに作ってるんだな…。 作ってる姿が浮かばない。 見てみたいな~。 あ! 「そういえば、チャーハン作れるんだよね?」 私はメールで聞いてたことを思い出した。 「そう、グチャグチャの。卵が焦げたやつ!」 赤木くんも覚えてたのか、楽しそうに笑う。 「で、もう二度と作らないって書いてなかった?」 「タカダさんが作り方書いたから、もう一度やったらマシになったよ。」 ふーん。 作ってみてくれたんだ? 何だか嬉しい。 「そうだったの? あれから作って食べてるの?」 「後片付けがめんどうだから~。」 「怪しいなぁ。美味しいの?」 「美味しいよ。作って食べさせたい位ね。」 「食べてみたいもんだね。」 そんなことできることは無いんだろうな。 そう思うとちょっと淋しい気持ちになった。 赤木くんも私と同じ事考えてるような気がした。 ちょっとお互い口篭る。 その時、 ちょうどオーダーしたものが運ばれてきたのでホッとした。 赤木くんの作ったスパゲティを想像する。 コレより美味しいのかな…? 「やっぱ、ちょっと二日酔いなのかな…。 あまり入らないや。」 「オレも…。 まあ、ゆっくり食べましょう。」 「そうね。」 二人でいっしょの時に飲まずに食べるってことが無かったので、 何だか新鮮だった。 そして、飲んでいないってことで、 何だか食べることに緊張してしまう。 「食べたら、どっか行きたいとこある?」 「う~ん、そうだな…」 赤木くんといっしょならどこでもいいんだけど…。 ただこうして、いっしょにいるだけで嬉しいし。 考えながら、少しずつつまんでいたせいか、 何となく食べ終わってしまった。 あ~でも何だかオナカが苦しい。 二日酔いのせいか体がかったるい。 「人混みが嫌だよね。 何となく気ダルいし。」 「オレも同じだな。 じゃ、ホテルでも行って寝てる?」 「え…?!」 赤木くんがサラリと言うので、 心臓がドキッと鳴った。 「冗談だよ。 どっか遠く行かない?遅くなっていいの?」 「うん…大丈夫だよ。」 ビックリした。 冗談か…。 って、何ガッカリしてんの? あ~、何か絶対私のがスケベ。 俺のものになって、って言ったからって、 体ウンヌンってことじゃないかもしれないのに。 何考えてるの~! 正直言えば、ちょっと覚悟してた。 そうなること。 でも、赤木くんのこの感じだと、 一日デートしましょうって意味だったかもしれない。 それならそれでいいかも。 ここにいれば、変にエスカレートすることも無いだろうな。 それが妙に淋しいような気もするし、 その方がいいような気もするし…。 車にいたりしたら、 もっともっと触れたくなってしまいそうな気がして、 自分にブレーキ効かなくなりそうで、 確かに怖いかもしれない。 でも、今日は赤木くんに任せよう。 もう何があってもいいと思って、ここまで来たんだから。 赤木くんが楽しんでくれれば、 私も嬉しい。 「海でも見に行く?」 赤木くんがポツリと言った。 「うん。行ってみたい!」 それはとてもステキな提案に思えた。 目的地が決まると、 何だか遠足気分でウキウキした。 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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