カテゴリ:ある女の話:アヤカ
今日の日記(新ドラマ「アンタッチャブル」と「JIN~仁~」の感想☆ )
「ある女の話:アヤカ62」 すぐにファミレスを出て、 一番近場の海を目指して赤木くんが車を運転する。 でも、道はちょっと渋滞していた。 赤木くんが眠そうにアクビを何度かするので、 大丈夫かな?って心配になった。 私と同じで、多分彼も二日酔いなんだろうと思う。 だからスパゲティだったんだろうし、 眠くなってるのかもしれない。 車が動かないと、 二人きりで密室にいるってことが強調される気がして、 何だか緊張してしまう。 何か話さないと… 「進まないね~。」 「行くの嫌になっちゃった?」 赤木くんが心配そうに言った。 「ううん。赤木くんが運転疲れないか気になる。」 「大丈夫だよ。」 優しい声に思わずドキンとする。 こんなの拷問に近くない? 胸が苦しい。 いっしょにいると心臓が鳴りっぱなしだ。 「変わろうか?運転上手くないけど。」 気を紛らわせたいこともあって提案してみた。 「マジで?運転できんの?」 「時々乗ってる。運転させてみる? オートマだし、何とかなると思う。…けど?」 「う~ん…。まあいっか。代わりましょう。」 あ、嫌だったかな? そうよね、 大事にしてる車だったりすると運転させたくなかったかも。 地元では乗ってるんだけどね。 こっちの道はちょっと心配でもある。 それに人の車だし。 それでもあまりにも少ししか動かないので、 赤木くんは観念したのか、 信号で止まった時に、交代することにした。 「何か、女の運転で助手席に乗るのは新鮮だな…。」 「何で?女に運転させない主義なの?」 「いや、運転する子と付き合ったことなかったし。 そんなこと言う子いなかったし。」 「そうなんだ?じゃあ遠出すると疲れちゃうでしょ?」 「はは…。そうかもね。代わってもらうなんて、考えもしなかった。」 そっか。 女らしい子ばっかだったのね。 でもちょっと可哀想な気がした。 何でもできちゃう人だと、 つい任せちゃうもんね。 赤木くんって、何だか人を頼りにしなさそうだし…。 だからかもしれないけど、 こうして私に運転を任せてくれたのが何だか嬉しかった。 彼の寝息が聞こえてきたので、 チラリと見ると寝ていた。 嬉しくなってしまう。 信号が赤になった時に、 寝顔を眺める。 安心してもらえたみたい。 よく眠っていた。 うふふ。 何だか子供みたいでカワイイ。 このまま寝かしておいてあげたいな。 私、上手くないけど、運転するの結構好きだし。 道をまっすぐって聞いていたから、 そのままノロノロと走らせていた。 そのうち車が流れ出して、 青い看板がもう少しで突き当たりだと知らせてる。 え?もう? 「赤木くん!赤木くん!」 慌てて赤木くんを起こした。 「どうしよう?!この先右?左?」 「え~っと…」 赤木くんがボンヤリと外を眺める。 「待って、えっと、この先の突き当たりを、左! まだ曲がっちゃダメだよ!」 慌てながらも、 目がちゃんと覚めたのか、懸命に指示してくれた。 「ここね?あの青い看板の先だよね?」 左折するとお互い、ほ~っとため息をついた。 「どっかコンビニみつけたら、代わろう。」 よっぽど焦ったらしい。 私も焦ったけど。 コンビニで小休止。 飲物を買って、外で飲んだ。 「あ~、焦った。ゴメン、オレ寝ちゃってたみたいで。」 「うん、いいの。 ちょっと役にたてたようで嬉しいし。 寝てたの知ってたから。 寝かしてあげたかったの。 でも、わかんなくて起こしちゃった。ごめんね。」 もっと道をちゃんと聞いておけば良かったな。 そしたらもっと寝かせてあげられたのに…。 後悔。 こんな少ししか眠れなくて、 赤木くん、疲れてないだろうか? 「ありがと…。 もう、大丈夫そうだから、オレが運転するよ。 今度はタカダさん寝ていいよ。」 そっか、もういいのか。 じゃあ、ありがたく助手席に行こうかな。 ふふ。 こんな扱い、今日はホント女の子気分だな。 「私は朝方寝ちゃったせいか、目が冴えてるのよ~。 でも、眠かったら寝ちゃうかも。 その間、寝ないでね?」 「有りえる…。起きたのはぶつかった後だったりしてね?」 おっかないことを赤木くんが言う。 「そんなこと言われたら寝れないじゃない~!!!」 お互い笑って車に乗り込んだ。 起きたら知らない場所。 もう二度と起きることがなかったりしたら… もう何もいろいろ考えること無くて楽かな。 フッとそんなこと考えて消す。 道はもうスイスイ流れて、 海が見えてきた。 うわお!海だ!海だ! こっちの海は来たことが無いので、 何だか嬉しくなってしまう。 「お疲れ様~!」 飲物で乾杯した。 遠くで、サーフィンしてる人たちと、 ウィンドサーフィンしてる人たちが見えた。 「寒くないのかな?」 「ボディスーツ着てるから大丈夫なんじゃない? いいな~。楽しそう!」 海の近くへ行けば行くほど、 お世辞にもキレイとは言えなかった。 だけど、何で親しみやすいと思っちゃうんだろう。 私が子供の頃に行った海と似てるからだろうか? 人があまりいなかったけど、淋しい感じはしなかった。 日差しで砂浜が暖かくて、 波の音が気持ち良かった。 今日はジーパンで正解だな。 ヒールの靴履いてきちゃったのが失敗だったけど。 砂浜に座って、海を眺めていると、 何も言わなくても、心が和らいだ。 大きな水の流れが、 やってきたり戻っていったりすると、 生きてるみたいで面白いといつも思う。 またスキューバーダイビングやってみたいな。 シュノーケルでもいい。 「海って言うと、どんな海を思い浮かべる?」 赤木くんがいきなり言い出した。 「何…?心理テストか何か?」 「そう。」 「う~ん、そうだな…。」 さっき思った風景が頭に浮かぶ。 「浮かんだ? 状況を詳しく教えないとダメだよ。 自分のいる位置とか、波とか、 時間とかさ。」 「うん、浮かんだ!」 頭に浮かんだ風景を描きたい。 そう思ったのは何年ぶりだろう。 そのことが私をウキウキさせる。 続きはまた明日 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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