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りらっくママの日々

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2009年10月21日
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今日の日記( 「リアル・クローズ」で仕事について考える☆ )




「ある女の話:アヤカ64」


抱き締められた体を強く抱き締め返す。

お互い抱き締めていた体を離すと、
赤木くんは無言で私の肩を抱いて、
車に連れて行った。

彼の鼓動が伝わってきて、
私の鼓動の音と重なって聴こえる。

車の中に入ると、
赤木くんが私の手を強く握ってきた。

体が自分のものじゃないかのように、
浮き上がってる気がした。

月の明かりでうっすらと赤木くんの表情が見えた。
私をジッと見る目から目が逸らせない。

どうしたらいい?

何か言いたそうにしてるのがわかった。
私も赤木くんの顔を見る。

言葉が…
言葉が出て来ないんだよ。

何を言っても陳腐になっちゃいそうで。

体が、外より温かいはずなのに小刻みに震えた。

「寒いの?」

「ううん…」

「だって…震えてる…」

怖いからだよ…多分。
そう言えなかった。

自分がしてることが怖い。

赤木くんが私を抱き締めて、
優しくキスをした。

触れ合った唇から赤木くんの舌の温かさを感じる。

昨日の夜、
現実なのか夢なのかわからなかった赤木くんとのキス。

やっぱり現実だったんだ…。

赤木くんの体のぬくもりで、
震えが止まる。
体が舌の動きに反応してビクリと揺れた。

「ダメだ。俺、止まんなくなりそう…」

「うん…」

赤木くんが私を強く抱き締めて深くため息をついた。

頭の後ろにまわされた手が髪を撫でる。

「どっか連れて行っていい?」

拒んで無いんだから、
聞かなくてもいいのに…

強引なことして欲しいって思う、
私ってズルいのかな。

「ダメって言ったらやめるの?」

赤木くんはちょっと考えて、
前を向いて言った。

「やめない。」

ギアを入れて、駐車場から車を出すと、
そのまま無言で道路を走らせて、
目についたホテルの駐車場にスイと車を止めた。

赤木くんは車の外に出て、
私が出てくるのを待っていた。
私が出てくると、
ホントにいいのか?って表情が語っていた。

いいのよ。
だってもう、私だって止められないもの。

立ち止まったままの赤木くんの肩にもたれかかると、
ホッとしたように息を吐いて、
赤木くんは私を建物の中に連れて行った。

部屋に入ると、
お互いがお互いを待てないようにキスをした。

赤木くんが私の上着を脱がせる。
私が赤木くんの上着を脱がせる。

首筋に赤木くんの唇が這う。
手が腰をなぞる。
その手が服を脱がせる。

私も彼の服を脱がせる。
胸にキスをする。

目をつぶる彼の顔。
温かい彼の体。

好きよ。
大好き。

赤木くんが私の体を確認するかのように、
体中にキスして行く。

溜息が漏れる。

溶ける。

心臓の音がうるさい。

彼の体が熱い。
女の体とは違う、
筋肉で硬い腕や胸板が、熱があるみたいに熱い。

強く抱き締める。
何度も
何度も…

好きだったの。ずっと…
こんなふうに
あなたに抱かれることがあるなんて、
思ってもみなかった。

今だけでいいから、
私のこと好きって言って。

もっと、
もっと…
強く抱いて。

あなたが好き。
あなたが好き。


ぼんやりと、赤木くんの腕の中にいた。
体に腕をからませた。

彼の心臓の音が聞こえる。

トクン
トクン

波みたいに、規則的に鳴ってる。

このままずっとこうしてたい。

「何してるの?」

「ん…赤木くんの心臓の音が聞こえる…。
赤木くんは何考えてるの?」

「このままオレのとこにタカダさんが来ないかな~って、
思ってた…」

心臓の音に紛れて聞こえた赤木くんの声は、
私の中に届くのに時間がかかった。

本気でそんなこと言ってるの?
今だけの気分じゃなくて?

飲み会で男達が笑いながら言っていた言葉が蘇る。

  熱い時はつい甘い言葉を言うんだよね…
  本気にするなんて、大人の女だと思ってたのにさ…

今こうして彼の胸の中にいることさえ、
何だか現実感が無い。
コレは私の都合のいい夢なんじゃないだろうか?
女が勘違いしたって仕方無い気がする。

「本気か遊びか見極めたかったら、本気になるといいんだって。」

私の心を見透かしたのか、
赤木くんがそんなことを言う。

「何…それ?」

「遊びの人は、相手が本気になると怖くなって逃げるから、
自分に本気になった人しか残らないんだってさ。」

「誰が言ったの?」

「ねーちゃんの友達。
初めて付き合った相手とうまくいかなくてさ、
たまたま、ねーちゃんが帰るの待ってる時に、
恋愛相談みたいな話の流れになっちゃって。
そしたら、そんなこと教えてくれた。」

私は可笑しくなってつい笑ってしまった。
彼のお姉さんの友達でさえ、
彼を放っておかなかったんだ?
私と同じじゃない?

「何歳の時?
その人、赤木くんの初めての人だったりして。」

「いや…、二人目。
初めての女は高校の時で中学の同級生。
お互い初めてだった。
”痛い!何すんの!ヘタっ!”って、蹴られた。
ショックだったな~。
で、それを慰めてくれたのがその人。
でも、浮かれてたら、ねーちゃんが彼氏いるよって。
家に来ても、避けてたな。」

へぇ~。
この赤木くんでも最初は蹴られちゃうんだ?
女抱くなんて慣れてるって感じなのに。
男も大変ね。
でも、蹴りたくなる女の子の気持ちもわかる。

慰めた年上の女。
私も避けられるのかな…。
そんなことを思った。

「その人、彼氏と別れたかもしれないのに?」

「あの頃はそんなこと考えもしなかったよ。
年下だったしね。
遊びだったんだろうと思った。
オレが落ち込んでるから、同情したんだろうな~ってね。
思い込みで生きてたから、
相手の気持ちを確かめる余裕もなかったよ。」

「苦いね~。」

「うん、苦い。も~、トラウマ。」

赤木くんは笑いながら言う。
今となってはいい思い出ってやつなのかな。
そうね。
私もそう。

「下手…か。すごいこと言うね、その女の子。」

「上手い人は痛くないって友達が言ってた!って、すごい怒ってたよ。
それ位、痛かったのかもしれないけどね。」

「初めてで、しょうがないじゃないねぇ?
それとも経験豊富に見えたのかな?
その歳で、今くらい上手だったら怖いよね?」

「今、上手いの?ホント?」

赤木くんが、やった!
って感じで嬉しそうに私を見るのでギョッとした。

ヤダ~、やめてよ!
私だってそんなの自分の感覚でしかわからないよ。
あんな溶けちゃうくらい気持ち良ければ上手なんじゃない?
でも女に慣れてることは確かだと思った。
うん。

「わからないけど、私はすごく良かったです…。
私だって、百戦錬磨って訳じゃないんだから、判別つかないよ。」

って、何真面目に答えてるの、私~。

「ふーん、そうなんだ?」

赤木くんはイジワルそうにニヤリとした。

もしかして、変な誤解してない?
年上だからって、そんなに経験値すごく無いよ。

「何?その言い方?イジワルだね!
赤木くんの方が経験豊富でしょ?」

「そんなことないよ~。」

「ウソだね。
私だって、会社で女の子たちから話聞くことあるんだよ。」

「どうせ、遊んでるとかだろ?
知ってるよ、その位。
しょうがないじゃん、本気になれなかったんだから。」

赤木くんの顔から笑いが消えた。
私はその女の子たちの中の一人になってしまったような気がして、
何だか淋しくなった。

「ひどい言い方。
女は寝ると情が出ちゃうんだよ。
好きになっちゃうの。
泣いてた子だっていたの知ってるんだよ。」

赤木くんは私から目を逸らして、
天井を眺めながら言った。

「じゃあ、貴女はどうなの…?」

結婚してるくせにこんなことをして?

私は泣きたくなった。

私を軽蔑してるような気がして。
夫以外の男を好きになったバカ女。

呆れる。
一番私を呆れてるのは私なんだ。

本気で好きだって言ったら困るくせに。
何でそんな質問をするの…。

「だって、一日だけのつもりなんでしょ?」







続きはまた明日

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最終更新日  2010年03月27日 21時43分49秒
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