りらっくママの日々

2010/04/22(木)07:58

ある女の話:サキ17(男友達とデート)

ある女の話:サキ(48)

今日の日記 (大沢たかおのダバダ~♪と「絶対零度」「ジェネラル・ルージュの凱旋」「ろんはー」感想) 昨日の日記 (ライブに向けてのギターレッスン) サキ17(男友達とデート) 私は、やっぱり男と女の間に友情なんて無いと思う。 映画を観ている時は、赤木くんがまた手を握ってくるんじゃないか? って、ついドキドキしていた。 だから映画に集中しようと思っているのに、 何だか映画に集中できない自分がいて困った。 チラリと映画を観てる顔を見る。 真面目に観てる。 私ってば何考えてるんだろ? やっぱり、あの時の赤木くんは酔ってたんだろうと思う。 こういうのが男女でも友達って言うのかもしれない。 ちょっと異性を感じてドキドキするけど、 やっぱ、何も無いよね~みたいな? 映画の後には、ちょっとイイ感じのバーレストランに連れて行ってくれた。 洞窟の中に入っていくような内装の、アミューズメントパーク的なお店。 赤木くんって、モテそうなタイプだと思ってたし、 彼女もいたって聞いてたから、こういう店も詳しいのかもしれない。 私はちょっと、赤木くんの彼女になる人が羨ましく思えた。 「あれ?ねえ、”爽やかな風”がある! コレって有名なカクテルなの?」 私はメニューから、この前飲んだオリジナルだと思っていたカクテル名をみつけた。 「え?マジで? あ、ホントだ!フクさんも飲んでたやつじゃん! 同じカクテルかな? 頼んでみる?」 赤木くんは、飲み会でのことを思い出したのか、楽しそうに笑った。 同時に手を握られたことも思い出す。 そして慌てて消す。 赤木くんは店員にカクテルとつまみをオーダーした。 その時に赤木くんがカクテルのことを聞くと、 この店がこの前に行ったお店の系列店だってことがわかった。 二人で、そうだったんだ~って頷く。 そんなことが妙に嬉しい。 飲むとやっぱり同じものだった。 店によって微妙に味が違うけど。 ほろ酔い気分で、何だか楽しい。 「ねえ、赤木くんて、こういうとこ、よく来るの? お酒いろいろ知ってそう。」 「バンドの打ち上げで昔から飲んでたし、店はいろいろ教えてもらった。」 赤木くんはカラカラと氷を混ぜるように鳴らしてから、お酒を飲んだ。 「ここは?」 「来た事無い。 来てみたかったけど、何か、 女連れの方がいいって聞いてたから。」 「そうなんだ。」 「うん。 だから、ちょっと今日はありがたいよ。 来てみたかったしさ。」 ふーん。 赤木くんて、いろいろ連れてってくれそう。いいな。 バンドもやってるとかって、何か、私と別世界って感じ。 私は頼んだお酒を飲んで、溜息をつきそうになった。 私もこんなふうにどこかに連れてってくれる人と付き合えば良かった。 …なんて思う自分って嫌なヤツかな。 赤木くんが席を立ってる間、パンフをパラパラめくって思う。 カズユキも女友達と会ってる時は、私みたいなこと思ってるのかな~?って。 それとも同性の友達と遊ぶみたいに、何も考えずにその場を楽しむのかな? 私はワザとバンドの話を聞かなかった。 聞く必要無い。 赤木くんのこと、あんまり知りたくない。 聞いたら、何だかますます赤木くんに惹かれちゃいそうな自分がいて怖かった。 「赤木くん、こういう話好き?」 私はパンフを眺めながら自分にもできる無難な話を聞く。 「好きって感じじゃなかったけど、友情って感じは良かったんじゃん。 オマエは?」 赤木くんは私の名前をあまり呼ばない。 ナゼだろう? と、思いつつ答える。 「う~ん、戦争映画だし、大体予想してたけど、 観てて悲しくなってきちゃった。」 「俺も。友達が死んじゃったりとか。嫌だな。 俺と同じ歳くらいなのにさ。」 「大事な友達がいるんだっけ?」 女なのかもしれないけど。 と、探るような気持ちで聞いた。 「うん。…まあな。 ちょっとシンクロして観てたとこあった。」 赤木くんがお酒を眺めながらしみじみした口調で言う。 映画は、共につらい訓練を切り抜け、 苦しい日々も助け合っていた二人が少しずつ親友になるけど、 窮地に合って、あっけなく片割れが死んでしまった苦しみが描かれていた。 二人は男同士で、 恋人とも家族とも違うけど、かけがえのない存在だったことを映画は現していた。 その友があっけなくなくなってしまう悲しみ。 「そういう友達がいるのっていいよね。」 疑ったりして悪かったかな…と思った。 別に彼氏でも無いんだけど。 何となく。 「ねえ、赤木くんは戦争に行きたい?」 「行きたくないけど、行くと思う。」 ああ、やっぱり男はみんなそうなんだ。 戦いが好きなのね。って、私は思う。 私はそれでホッとする。 嫌いなところをみつけてホッとする。 「何で?」 「誰かが守らないと… 例えば、好きな子とかが戦争相手に殺されたりしたらヤだから。」 「そんなもの?」 「オマエだって、レイプとかされたらヤだろ?そうでもない?」 「そうだけど…」 あんまりそういう具体的なこと考えたこと無かった…。 同時に、ああヤバイんじゃ無いか?って思う。 彼の感性が好きだと思う。 同調しそうな自分がいるけど、 ここで赤木くんの意見に負けるワケには行かない気持ちになった。 「私なら逃げる。 好きな人や家族連れて、どこか遠くに!」 「そうなの?」 赤木くんは、ちょっと面白そうに笑った。 その顔がちょっとイジワルに見える。 「どっかって、どこだよ?」 「どこでもいいわよ。 じゃなきゃ、いっしょに死にたい。 とにかく、好きな人と離れるのは嫌なのよ!」 私はムキになって言った。 酔ってるかも。 「それもイイかもな。」 赤木くんは軽く笑って、納得したようにお酒を飲んだ。 「でしょう?」 ふふん。勝ったね。 …と思う私は自分が子供になったような気がした。 年上のカズユキの前ではできないこと。 参ったな。 これじゃあ好きになっちゃうじゃん。 そんなに素直に納得しないでよ。 でも、私も素直になって言った。 「好きな人といっしょに死にたいの。」 「情熱的だなぁ。」 「そうよ!パッションね!」 照れくさくなって茶化す。 「英語に変えただけじゃん!」 私が笑うと赤木くんも笑う。 あんまり楽し過ぎると… 困る。 すると店内の明かりがチカチカと点滅して、 暗い中に雨と雷の音が響いた。 ブラックライトに明かりが変わると骸骨が浮き上がる服を着たウェイターが、 店内をうろつく。 「へえ、面白いじゃんここ。」 「ホントだね。男同士で来たかった?」 親友だと思える友達と。 「いや、いいよ。男同士ならもっと安っぽいとこ行くし。 女の子と来た方がいいでしょ。」 私はちょっと嬉しくなったけど、 それはどういう意味だろう? 「そうなの?何で?」 「さあ?男喜ばせても嬉しく無いし。 俺ホモじゃ無いから。」 「女友達も喜ばせれば嬉しい?」 赤木くんは私から目を逸らして笑った。 私を女友達として誘ったのかが知りたい。 なのに、肝心なことからは視線と同じで逸らす。 赤木くんは、よくわからない。 でも一番わからないのは、 こんなこと聞いてる自分自身なのかもしれない。 (続く) 前の話を読む 目次

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