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カテゴリ:私とホームヘルパー
夫の出社時刻に合わせて7:20分、親子皆で家を出た。
空は重たい曇り。 着いたところは介護老人保健施設。 略して老健と言うらしい。 老人がリハビリするために通ったり入院したりする施設… と言うようなことを後からバリバリに働いてそうな女性看護師長に聞いた。 なぜか学校側の手違いで、 本当は9:00に来るところを8:00と案内され、 7:45なんかに施設に着いたものだから、 あなた一時間も早いわよ!学校に文句言いなさいね! なんて言う、サバサバした女性だったので、 何だか学校に文句言ってもいいし、言っても仕方無い気になったのはなぜだろう。 暇つぶしに持ってきてた薄い本が役に立つなんて思いもしなかった。 読む暇なんて無いだろうと思っていたのに。 季節外れに単独でする実習は、思いがけないことが多い。 老人が一人一人やってきて、 私は老人に合わせたお茶を確認しながら運ぶ。 体操やら世間話やらのゲームに無理やり加わっていると、 何だか別世界に来たような気持ちになる。 大きな大人の幼稚園のような。 そのうち、お風呂介助の様子を見に行くことになる。 細くて体の萎縮した女性が悲痛な声を出してお風呂に入れられているところを見ると、 細くなりたいなんて思う自分が馬鹿げた人間に思えてくる。 脂肪を蓄えた女性の体を見ると亡くなった祖母を思い出し、 気持ち良さそうにお風呂に入っている姿を見ると、 こんな気持ちの良いことを週に何回かしかできないと聞くことがせつない。 いずれ自分も行く道だとしたら、 長生きすることって何なのだろう? そう思うと、 暑い脱衣所の中で、脂肪を蓄えた女性の汗をかいた体を拭くことも、 やせ細って萎縮してしまった女性の、細い体を拭いて服を着せることも、 こんな暑いところで、そんなふうに着替えさせるのが何だか申し訳なく思えて、 優しかった祖母のように思えて、 妙にせつなかった。 実際自分の祖母も、この人たちのようにデイケアに通っていたはずだ。 こんなふうに一日を過ごして、 祖母は幸せだっただろうか? 今でもまだ、祖母がデイケアでつくった大きなビーズのアクセサリーが引き出しの中にある。 レクリエーションをする老人たちの、楽しそうな笑顔に心を癒されるのは、 祖母に重なって見えるからかもしれない。 心と裏腹に、ずっと立っていたり、 かがんで話をするので足が妙に痛いけど。 オヤツやレクリエーションの合間の時間、 話しかけるよう言われて、実習生だと話すと、 アンタ「こんなところ」で何してるの? と聞かれる。 本当に言ったんだ。 「こんなところ」って思っていると、 その男性は言ったんだ。 ふと戸惑う。 ホント、何をしているんだろう私?と。 不景気で パート的に雇ってくれるところが無いんで 無難な返事を返したものの、 本当にそうだったんだろうか? 何だかよくわからなくなってくる。 お金を払って、8時間も労働してるなんて、 私ってバカなんじゃないだろうか? そんな気持ちになってくる。 しかも、あと3日間ある。 まあいい。 もうここまで来てしまったんだ。 高校生かと思ったよ。 老人の一人が本気で言ってるのを聞くと、 白内障って悪く無い。 けど、私の中で声が聞こえる。 今のうちだぞ 今のうちだぞ 80歳で去った祖母の顔、72歳で去った祖父の顔、 今はもう会えない。 遠い記憶。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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