2013/07/17(水)06:37
「ありがとうの手紙」
昨年の末から今年の春先にかけて、ラッキーなことに、いくつかのエッセイで賞をいただいたので、既にこのブログで紹介したものもありますが、まだのものもあるので、載せておこうと思います。
岩手県滝沢村、ありがとうの手紙コンサート入賞作品
私達は出席できなかったのですが、コンサートのトリで、声優さんが朗読してくださったそうです。
娘へ
父より
いじめにあって小学校を不登校になったキミと、ホームスクーリングで頑張ってきたね。
算数も国語も一生懸命にやったキミ。おとうさんの教え方は不器用だっただろう?
体育は公園で頑張ったね。跳び箱はないから、キミはおとうさんの背中を跳んだね。冬は白い息を吐きながら一緒に走ったね。
おとうさんの教える家庭科は役に立ったのかな? 「あっ! いてっ!」「大丈夫? おとうさん?」 そんな会話をしながらの針仕事だったものね。
そんなキミに達成感を味わってもらうには、おとうさんには自転車旅行しか思いつかなかったんだ。
体力もあまりなくて、運動も苦手な女の子のキミにとっては辛い道のりだっただろう。
でも、キミが、真っ黒に日焼けして、それでも頬を真っ赤にして、キツい上り坂を歯を食いしばって上ってくる姿を見て、おとうさんは涙が出るほどうれしかったんだ。
激しい雨の中も、霧の立ち込める中も、頑張ったね。
キミは猿山岬にも、龍飛崎にも、潮岬にも、自分の脚でたどり着いたんだよ。
一緒に走ってくれて、ありがとう。
ホームスクーリングで頑張ってくれて、ありがとう。
そして、おとうさんの子どもでいてくれて、ありがとう。