学校なんていらない~不登校小学生ちゃりこの父娘自転車旅行記『能登半島一周』『津軽海峡夏景色』

2013/11/13(水)12:14

四国横断こころ旅・49・空と海と大声と…

自転車を押していくと、案内所があった。 おばさんが出てきて 「あら、自転車で来たの」 とちゃりこに話しかける。 「大変だったでしょ」 「スカイラインにはいっちゃって」 と私が言うと 「あらあ、あっち入っちゃったの!」 と気の毒そうに、でも笑っているおばさん。 「ドジなんです」 とちゃりこ。 もう、 真っ青な空だ。 自転車を停めておく。 展望台へと歩く。 整備されている歩道なので、いくらかの傾斜があるだけで楽チンだ。 丸くせりだしている展望台に着いた。 右手、崖の上に優しくたたずむ白亜の足摺岬灯台。 ここからだと小さく見える。 灯台の周りは岩だらけだ。 下は絶壁、そして黒々とした岩々が、周りに白い波しぶきを纏わせている。 そして、目を上げると、 広く、 まっすぐな、 水平線… あれは、 水平線なのか… 空と海の青を遠く、区切っているのは、本当に水平線なんだろうか… ただ、風景の色が、描き分けられている単なる境界線なんじゃないだろうか… そんな気さえする。 上の青には、刷毛で擦ったような、うっすらとした白い雲が浮かんでいる。 下の青には、筆で交ぜたような、泡立つような白い波が浮かんでいる。 広い。 広い。 私達なんて、 溶けていってしまいそうだ。 その、 広い空間に向かって、大きく息を吸い込んでから、 叫んだ。 「四国、さいなんた~ん!」 思いっきり叫んだつもりでも、 広い太平洋と、その上の大空は、こともなく、私の声を吸い込んでいった。 一瞬の静寂のあと、 ちゃりこが叫んだ。 「四国、さいなんた~ん!」 広い太平洋と、その上の大空は、こともなく、ちゃりこの声も吸い込んでいった。 ニコッと笑ったちゃりこと顔を見合わせる。 何事もなかったように、 空は青く、 海は青く、 はるか下から、 かすかな波の音だけがせりあがってきていた…

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