カテゴリ:教育、子育て、自転車旅行
木々のトンネルをくぐって、自転車のところまで戻る。
「お腹すいてきたな」 「とうもろこし、食べよう」 ベンチに座って、ワゴン車のおばさんがくれた差し入れとうもろこしをかじる。 口の中で粒がはじけて濃い甘みが広がる。 「おいしいね」 とちゃりこは言ったけれど、 「うれしいね」 と私は言った。 あのおばさんのニコニコした顔、忘れないだろうな… 案内所のおじさん、おばさんにもひとしきり、構ってもらった。 入口の灯台モニュメントのところで二人の写真を撮ってもらったり… ジョン万次郎の銅像のところで、私達をものすごいスピードで追い抜いていったサイクリストに再会したんだ。 もちろん、彼はとっくに着いていて、いろいろ散策していたんだけれど。 大学生くらいかな。 愛知から走りに来たらしい。 「すごいですね」 と言ったら 「まさか、スカイラインに入っちゃうとは思わなかったんですよ。キツかった~」 と彼。 彼ほど若くて健脚でもキツいらしい。 そして、やっぱり、私達と同じく、間違えて入ってきてしまったらしい。 「表示がなかったもんね。足摺まで十二キロ、としか」 と私が言うと 「そうですよね。自転車のことなんて、ちっとも考えてくれてない」 と言って、彼は笑った。 私も笑った。 ちゃりこも笑った。 スピードは違えど、同じ道のりを自分の脚で制覇した者が共感しあえるような、そんな笑顔だった。 岬到達の達成感を味わった後だからこそ、笑って話せる… 「どこまでいくんですか」 とちゃりこが訊いた。 「今日は宇和島まで」 とサラリと答えた彼を見て、私達は目を見合わせた。 まだ、この時間から宇和島まで… 聞いてみると、一日、二百五十キロくらい走るらしい… 私達、目が… テン… 「がんばってねぇ」 と彼。 「気をつけてねぇ」 と私達。 木々のトンネルから、彼の姿はあっというまに小さくなり、そして消えていってしまった… 「すごいね」 とちゃりこ。 「ま~た、おとうさんにはがんばって、って言ってくれない」 と私。 「何、言ってるの。行くわよ」 とちゃりこ。 「でも、あんな人でも、キツい道のりなんだね…」 ちゃりこ、満足感… そして、足摺と、さよならだ… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年11月14日 12時10分50秒
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