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グルメ大国日本は
寿司や天ぷらなどを 世界に輸出しました。 今や世界でも、「スシ」「テンプラ」で そのまま通じる言葉となってます。 グルメには美味しさを味わう以外にも 様々なスタイルを味わう傾向がありますね。 イカ、タコ、エビなどを活きたまま食べる 「踊り食い」と呼ばれる食べ方もあります。 さて、牛・豚・魚などを食べる人間の食文化ですが もしも、人間が食べられる側に回ってしまったら・・・ 読んだ人全員に衝撃を与え 文化、宗教、思想、哲学の問題に迫り 藤子・F・不二雄先生の新たな一面を世に知らしめた SF短編『ミノタウロスの皿』を紹介したいと思います。 一生に一度は読みたい短編です。 SF短編は、S(スコシ)・F(フシギ)の頭文字ですが Shinzui of Fujiko・F・Fujio 『F先生の真髄』とも思っています。 100を超える短編の中でも、特に人気があり 代表作の中の代表作といえるでしょう。 < ストーリー> ○命に関わる緊急事態で、見知らぬ惑星に不時着する男 男が乗っていた宇宙船が故障する。そして 水も食料も全てが尽きる。到着した星は、酸素がある惑星で命拾いをする。 ○男は、ミノアという美少女と仲良くなる。 この惑星にも人間がいた。 男は、可愛いミノアと楽しい生活を過ごすが・・・ ○恐ろしい真実を聞かされる。 この「イノックス星」では、牛の姿をした生き物が、世界を支配しており 人間は食用家畜として扱われているのだった。 ○ミノアも「美味しく食べてもらえること」を誇りにしていた。 美味しく食べられるように育つことが 人間の生活であった。 ○男は「それはおかしいのでは」と力説する。 牛は草を食べる。人類は牛を食べる。人類は死んで土になり草を育てる。 なので、この星での人類(牛)と家畜(人)の立場が違っていても、平等であった。 ○ミノアが皿に乗るという知らせを聞く。 ミノアは、料理されるために、すでに運ばれていた。 男は、調理場へ向かうが、時すでに遅し・・・ ○そして、ミノアは食べられることを選ぶ。 ミノアは、体を食べられても、首が残っていれば 意識もある状態で、食べる者の声を聞くことができるという・・・ そして、ストーリーはこのまま進み その惑星のしきたり通りに事は運びます・・・ 読後、言葉にならない衝撃に襲われます。 けれど、この物語の世界は、マンガだけの話でしょうか。 一番下の画像の「首だけが残って耳は聞こえる」ところは まさに人間が生きた魚介類を食べる姿 「踊り食い」そのものではないでしょうか。 他の生物の命を奪い、それらを食べることに対する 私たちの食文化における命題でしょう。 善悪の問題など遥かに超えた、思想的問題です。 私たちは、何を理由に、誰の権利で、動物の命を奪うのでしょう。 殺して食べる習慣もあれば、一方では虐待で罪という規則もあります。 この矛盾ともいえる同居は、何が基準になっているのでしょう。 そして、私たち人類が食べられる側になった時 そこに待ち受けるものは何なのでしょうか・・・ こうした疑問は、ほんの一部に過ぎません。 十人十色、百人百色・・・いや万人万色でしょう。 「ミノタウロスの皿」そして他のSF短編に潜むのは、作者が読者に送る挑戦状です。 F先生から「あなたはどう答えますか」と、問いかけられているのです。 そして私は、遅ればせながら、今こうして ブログで語らせていただいているのです。 藤子・F・不二雄「異色短編集」ミノタウロスの皿に収録されています お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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