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藤子・F・不二雄先生は多趣味です。
ドラえもんをはじめとする 想像の広がる作品を読んでいると 好奇心旺盛であることが、うかがえますね。 QJ(クイックジャパン)という本の 64号(2006年発行)で F先生に関する話が載っていました。 ■ QJ Vol.64 【鉄道模型/プラモデル】(キーワード) >F先生は大の模型作り好き。 >大きな鉄道模型のジオラマを作ったこともあるほど。 この記事を読んだとき、私は 「なるほど。あのSF短編も、その影響からきてるんだ」 と納得したものです。 そのスコシフシギなSF短編とは とにかく鉄道模型に熱中してしまう少年の物語。 藤子・F・不二雄先生の『四畳半SL旅行』です。 < 『 四畳半SL旅行』 ストーリー > ■ 少年の名はヒロミ 変わり者の中学生。 みっちゃんという幼なじみがいる。 ■ ヒロミの思い込みは異常ともいえた 空想と現実の区別もつかないほど 夢中になる癖があった。 ■ みっちゃんの掛け声にも全然気づかなかった ヒロミの変わっている性格を知りつつも みっちゃんは、ヒロミに興味を持っている様子。 ■ ヒロミはみっちゃんを家に誘った ■ ヒロミの部屋に入ると・・・ ■ 目の前には大きな鉄道模型が広がっていた 今、ヒロミは鉄道模型に夢中になっていた。 けれど、みっちゃんは、あまり関心を示さなかった。 ■ 鉄道模型のレイアウトに熱くなっていた いつも閉じこもっているので、ヒロミの両親は みっちゃんの訪問が嬉しかった。 ■ しばらくすると製作も進み 列車も走るように 今までは、街並みと線路だけだったが ようやく動く車両もそろった。 ■ ヒロミが吸い込まれる!? ■ 一瞬ドキッとしたみっちゃん みっちゃんは、錯覚だと思ったけれど もしかしたら現実に起こってしまうような感覚を覚える。 ■ やがて秋になり・・・ ヒロミを心配する母親は みっちゃんに頼みごとをした。 ■ ヒロミもハイキングが気に入ったように見えたが・・・ やはり、ヒロミの頭は鉄道模型でいっぱいだった。 この秋景色も、レイアウトに取り入れようと、さらに熱が増す・・・ ■ ヒロミの所へ訪ねに行くと・・・ ヒロミは、食事も取らず閉じこもりきりであった。 ■ ヒロミは鉄道模型の列車に乗るという・・・ ■ 自分が乗る 鉄道模型のサイズに合わせた 自分の切抜きを用意した。 ■ 絵コンテの製作までを始めた ■ ヒロミは学校を休むように・・・ みっちゃんは胸騒ぎを覚える。 ■ ヒロミに会いに行くと・・・ ヒロミは部屋にいなかった。 8ミリフィルムだけが残されていた・・・ ■ フィルムを再生すると・・・ 「ボーッ」というのは効果音だったが まるで本物のように聞こえてくるようだった。 ■ 汽車を求めて走るヒロミ (この映像のヒロミは切り抜き(手作り)です。 背景もレイアウトで、汽車も鉄道模型です。音は効果音です) ■ 憧れの汽車に近づいていくヒロミ ずっとフィルムは続いていきます。 ■ ヒロミは飛び乗ろうとするが・・・ 必死の努力も実らず 落とされてしまうヒロミ。 ■ みっちゃんはヒロミの執念を感じる ■ 今度はトンネルの上で待ちぶせをするヒロミ ずっと動かずに、いつまでも待ち続けるヒロミ。 そして、そこでフィルムは終わってしまう・・・ ■ フィルムを残したまま ヒロミはいったいどこへ行ったのか・・・ ふと、みっちゃんに、あるひらめきが起きる。 ハイキングに行ったときの山が浮かび上がる。 ■ みっちゃんの勘は当たった やはり、あの山だった。 目の前にはヒロミがじっとたたずんでいた。 汽車が来るはずのない山で ピクリとも動かずヒロミは立ち続けていた。 この山には、トンネルもなく線路もない。 だから、絶対に列車がくることもない・・・ そんなことは、絶対にありえないことだったが・・・ 「ボーーー!!」という大きな汽笛が聞こえてくるのであった・・・ この「ボーーー!!」という汽笛が響き渡るのが 一番最後のコマです。 なので、この続きは描かれていません。F先生は 読者の想像で結末を思い浮かべてほしいのでしょう。 私の想像では、「奇跡が起こった」のだと思います。 空想と現実の区別のつかないヒロミの 狂気と紙一重の精神が、熱意を通り越した時 「何か」が起こり、それが「奇跡」だったのではないでしょうか。 鉄道模型は、やりませんでしたが、見るのは好きでした。 かつて秋葉原にあった交通博物館で 子供の頃に見た巨大なジオラマの感動は 今でもはっきりと覚えています。 F先生も交通博物館は行かれたのかなあ~ 本作は1979年に発表されました。 8ミリ映写機の場面などは、時代を感じますね。 ですが、作品の持つパワーは いつまでも色あせることはありません。 ■ 少年SF短短編集 (小学館コロコロ文庫) 藤子・F・不二雄 少年SF短編集1巻【未来ドロボウ】-『四畳半SL旅行』収録 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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