スコシフシギな世界-藤子・F・不二雄ブログ

2011/11/01(火)22:41

世界人口70億!人口増加が抱える問題 SF短編『間引き』

『藤子・F・不二雄 先生』 SF短篇 Perfect(60)

10月31日、世界の人口が ついに70億人を超えました。 その日に生まれた赤ちゃん全員に 「70億人目の赤ちゃんの1人」として認定し 祝福を送るというニュースがありました。 少子化の日本では、微笑ましいニュースではありますが 世界的には、喜ばしいことばかりではありません。 アフリカでは、500万人の子供たちが5歳未満で亡くなっています。 幼稚園に通える年齢にも満たず、人生を終えてしまうのです。 他にも、学校にも通えず虐待を受け働かせられる子供や 自国の無政府状態のため、貧困や病気で苦しむ人々が 70億の大半に含まれていることを見過ごしてはいけません。 さて、人口増加について少し考えて見ましょう。 『季報 エネルギー総合工学』というサイトで 分かりやすいグラフを見つけました。 1600年代から1800年代は、なだらかに上昇しています。 ところが、1900年代に入ると、異常ともいえるスピードで 人口が爆発的に増加しています。 人類の生態系に悪影響は起きてないでしょうか? 世界人口増加に潜む問題に目を向けた 藤子・F・不二雄先生のスコシフシギな SF短編『間引き』を読んでみましょう。  < 『間引き』 ストーリー > 主人公の年配の男性は、妻と二人暮しであった。 そして、いつものように仕事へ出かける。 ■ 満員電車で通勤する男性 ■ 人がどんどん増えているように感じる ■ 臭いのチェックは日課だった ■ 男性の仕事はコインロッカーの管理人だった ■ 辺りをキョロキョロとうろつく人物がやってくる ■ 新聞記者であった ■ 特ダネ写真を狙っている コインロッカーに赤ちゃんが捨てられる事件が多発していた。 しかし男性は、写真を撮るのは簡単ではないという。 ■ 赤ん坊が捨てられる事件は日常茶飯事だった ■ 赤ん坊を捨てる事件は 救いの手になっている!? 記者は、不思議な発言をする。 ■ 問題は氷山の一角でしかない 人間は、もしかしたら見えないものによって 操られているのかもしれないと、記者は推測する。 ■ これらの事件の根源は 人口爆発だと記者は指摘する ■ 人口増加に伴い 食糧が足らなくなる問題も・・・ 本作品では、日本でも食糧不足が起こり 多くの人々が食に困っているという設定になってます。 ■ 記者は 人口増加について語る 動物などは、人間が手出しをしない限り 極端な増減は起こらず、個体数のバランスが保たれている。 ■ しかし人間の数は 調節されていないのでは・・・ 人間だけが、生き物の中で均衡を破り どんどん増殖している状態にある。 ■ 今まで 病気 飢え 戦争などが人工調節を取ってきた 命を奪うウイルスや、大飢饉、そして戦争などが 人口の増加を抑えてきた。 ■ 男性は 笑って反対する ■ まだ見えない問題が潜んでいる・・・ ■ この世から愛が失われている・・・ 男性は、何もいい返せなくなる。 そして夜になり、記者は去っていった。 ■ 男性の妻が差し入れを持ってきてくれた ■ 男性は嬉しそうにおにぎりを食べ始めた ■ ついに世界人口が45億人に!! 45億人到達を知らせるサイレンが、日本中、そして世界中に響き渡る。 そして、1つの事件が起きます。 思いもよらない恐ろしい犯罪が・・・ しかし、それは世界的に見れば小さな事件なのかもしれません。 地球規模で見れば、なんでもないことなのかもしれません・・・ 作品の中で、記者が「40年代後半から・・・」という言葉は 「昭和40年代」を指しています。私はまだ生まれていませんが コインロッカーに赤ちゃんを捨てるという事件が、当時 社会問題になっていたと聞きます。 F先生はいち早く、このネタを作品の題材にしました。 『コインロッカー・ベイビーズ』という 当時ベストセラーになった本などもあります。 こちらの小説は、1984年出版ですが F先生の『間引き』の発表は、1974(昭和49)年です。 そして、作中では、時代が「昭和55年」となってますが 少し先の未来、という設定で描かれたのだと思います。 作品では、赤子の置き去りはいけないだとか そんなことをする両親は悪人であるとか ありきたりな批判や評論は出てきません。 F先生は、社会問題から人類の問題へ さらには人口問題から地球規模の目線へと結びついていきます。 短編が描かれた時代、コインロッカー事件に人々が騒いでいる頃 F先生だけは、社会問題を超越した、大いなる想像を めぐらしていたのですね~ 『間引き』も感嘆してしまいますが F先生の想像の飛躍にも感嘆してしまいます。 30年後には、世界人口は100億を超える計算になります。 そのとき私たちは、一体どこへ向かうのでしょうか・・・ ■ SF短編『間引き』収録 藤子・F・不二雄「異色短編集」1巻ミノタウロスの皿

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