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カテゴリ:現代詩ー戦い
ぼくは思わず
食卓たたいて 怒鳴ったんだ 父に向かって 怒鳴っちまったんだ 父に 向かってね 母は 聞きたかったんだ どうしても ずっーとね 聞きたかったんだ 夫の 気持ちがね 知りたかったんだ どうしてもね 知りたかったんだ 父は 母が 相談持ちかけて 一生懸命に 相談持ちかけて こっち向いてと 頼んでも 父は そんなことは わからない 一点張りの その言葉 母は ぼくを生んでから ずーっとそのこと 気にしてた ずーっとそのこと そのままに 何十年も そのままに そうして きょうまた 同じこと そんなことは わからない 母は なにも 父から正解を 聞こうなどとは思ってないのに 新しいことは 変化は いつも 母が決めてきた 失敗も 成功も 母がすべてを背負ってた 母がひとりで 生きてきた 父は いつも決まって わかっているはずだ おれのことは そんなことは わかっている わかっているから いわなくていい ほんとうに そうなのか ぼくには そうは 見えないんだ ぼくには なんだか とても 寂しい思い ほんとうに 母は 積年の疑問を 父に ぶつけた ふたりにとって 残された時間は あとわずか あとわずかで おしまいだ だから 聞く 夫に聞く あなたを信じて いいんですか あなたの思い 聞かせて欲しい あなたの思いを 少しでも 聞かせて ね あなた いつも あなたは 戦争の 仕えた上官思い出し うれしそうに 話をする けれど 数十年 ずっとあなたを 思ってきた わたしのことを どう思うの あらゆる新しい 変化は 母に お任せで リスクもとらず おれが おれがの じんせいを ただそれだけの じんせいを 一度も 省みもせずに そうして いまだに 気が付かず そうして ひとり 腹立てる ぼくには 母の無念さが 身に染むほどに よくわかる だから ぼくには 父に 気づいて欲しい ほんとうに 時間はないんだ お父さん! ふてくされ むくれて それで ほんとうに いいの お父さん! 一方的に うるさい の一言で 済ましてしまっていいんですか お父さん! あなたにとって 戦争は それほどまでに 重大事件で あなたにとって 戦争は あなたの関心 多分 死ぬまでずっと 多分 最愛の母に あなたは 振り向きもせず 多分 あなたは あなた自身から 妻を 母を ぼくを 引き剥がし続けるんだ ずっーと ずっーと 最期まで あなたは でも ぼくは あきらめない けっして けっして あきらめない お父さん! あなたはきっと 目覚めてくれる きっと きっと 目覚めてくれる ぼくは信じる お父さん! あなたは 聞こうとしないだけなんだ ほんの少し そのこだわりを 捨て去るだけで それでいいんだ それだけで ぼくは 知っている お父さん! それだけで 母は どんなに どんなに 幸せに なれるのか ということを ぼくは 知っているんだ お父さん! もう少しだよ お父さん! 戦争は 終わるんだ もうすこしでね だからね お父さん! そんなに ひとりで 背負い込まないでね お父さん! だからね ぼくの言うこと 聞いてよね お父さん! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/01/05 10:33:55 PM
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