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カテゴリ:現代詩
誰にも会わない
そんな日は ぼくの 足元のずっと下のほうに 地上があるんだ かといって 浮遊しているわけではない ただ ぼくの足元に なにもないんだ そうして 周囲も真っ暗だ ぼく以外の ひとの気配は感じ取れる そのひとは 誰なのか はっきりとは わからない ぼくと何らかの関係はあるんだろう しかし どんな関係者なのかは わからない ただ なんとなく それは わかるんだ ちょっと 気になることがあって ぼくは 肉体に戻ってみたんだ そうしたら ぼくは 結構高度を獲得していて 放送局の電波塔のてっぺんを 上から眺めているんだ おお ぼくは こんなにも 浮遊していたのか そうして あなたから いつもの通信があり あなたが ぼくのように 分離できるようになったことを知った 誰にも会わない そんな日でも ぼくは あなたからの通信が 待ち遠しいんだ この日 最初で最後の 意味を見つけた 誰にも会わない そんな日は ぼくの 足元のずっと下のほうに 地上があるんだ それでも あなたからの いつもの通信は 包装されずに ぼくに手渡された花束のようだ ぼくは 暗闇のなかで しっかりと あなたから手渡されたものを 掴んでいるよ たとえ 地上から離れていようと お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/08/04 06:33:33 AM
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