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カテゴリ:現代詩
ぼくは
便利屋さん そうおっしゃるあなたは 眼鏡の奥で 大きな黒い瞳をしている 腰に前掛けきりりと締めて もう20年近く商売してきた 正月と盆の2回だけ あとは休むことなく続けてきたんだ そうしていまも続けている 今年の盆も1日だけのお休みだ 配達は大事な仕事 注文入れば 30分以内で配達する そうこころに決めてやってきた だから 朝の5時に注文入ることもある かと思うと 晩の11時に注文入ることもある ぼくは 便利屋さん 便利屋家業で食ってきた 配達用の軽トラックで 近所のお年寄りを乗せたこともあった 草刈機が壊れて 困っている人を見れば 修理もした なんの報酬もぼくは求めない ぼくはそれでも 頼まれると断れないんだ そう笑って あなたは生きてきた 妻も 陰でよく支えてくれた 夫婦そろって 便利屋さん 村のみんなに 頼まれて ぼくらの家業は続いてる ずっと ずっと 続いてる そんなあなたは 笑ってる もうすこし 利益上がればいいけれど 頼まれたら断れないんだ ぼくは 便利屋さん 笑いながら そうおっしゃるあなたは 眼鏡の奥で 大きな黒い瞳をしている お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/08/18 06:54:20 AM
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