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カテゴリ:現代詩
母よりも若いぼくの師匠は
白髪で顔は小さい ふたりの弟子のうち そのひとりがぼくだ 霞のような着物を着ている 師匠は ぼくの前に正座して 静かに頭を垂れてきた 日本刀をぼくは 引き抜き 一気に 師匠の左側面から 首 襟元に 鋭角に斬りつけ 着物 襟ごと 師匠の肩の首の肉 削ぎ落とす めくれる 肉片が 鯖缶のように めくれる めくれる 首に達し 大動脈破断して 血液が ブシューッと 噴出す 噴出す ガクンと師匠は 首垂れ ぼくの膝に 前のめり 正座崩さず それでも 崩さず 前のめり 相対す 師匠 ぼくの すべきこと まだある つぎは 右側面から 日本刀振りかざし 師匠の垂れた頭の 付け根狙って 一気に 削ぎ落とす 着物 襟 もろともに 肉削ぎ落とす 淡々と ぼくは 淡々と削ぎ落とす 鯖缶のように 肉片 師匠の肉片切り出す 肉片 なにをしているのか わかっている ぼくは 神経をコントロールして いる 缶詰開ける 行為 している そのように 執り行われる ぼくの 師匠 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/10/29 08:08:04 AM
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