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カテゴリ:現代詩ーネオテニーな
二階の窓から
お向かいの家を眺める もう外は真っ暗だ ワンボックスカーで家族が帰宅した その中のひとりの少年が 目に付いた 少年は ワンボックスカーのドアの ステップのところに跪き 家族が全員降りるまで 手を差し出し 家族がひとりひとり降りるまで ステップの段差を補うために 家族全員が躓かないように 最後まで 跪き 手を差し出して てきぱきと動いていたんだ お向かいの家族 ぼくは二階から その光景を目にして 先ほどから鳴らしている CDプレイヤーの音量を少し上げた ロックがぼくの部屋から 外側に鳴らされる 外に出て それをぼくは確認する 近隣のスーパーは 最近音を鳴らさない ぼくは 家に戻る 外側へ向けて 窓ガラスにピッタリと取り付けられたスピーカー 連続的に 音を放ち続けている そのメカニカルな音や CDプレイヤーのステンレスチックな形態が ぼくを迎える 真っ暗になっても ぼくの家族は 決して 帰宅することはないだろう ぼくは 少年のように ステップの前に跪き そうして 家族を ひとり ひとり 支えることはもうないだろう ぼくの二階の部屋から ロックが外側へ向かって 鳴らされている スーパーの役目ではなくなったんだ ぼくが部屋から鳴らしている 少年の不可解が そのまま放置され ぼくの部屋から ロックが鳴らされている 真っ暗になった 外側に向かって 鳴らされている ぼくは ただひとり 少年の不可解を思っている お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/02/14 07:58:15 AM
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