テーマ:野球のトリビア(237)
カテゴリ:野球
やはり、日記というからには、
その日にあったことを書くべきなのだろうが、 今回は昨日のことについて、だ。 8月31日(野茂の誕生日)、時間は朝の8時30分である。 水道橋の駅から、東京ドームへと続くアーチを仰ぐと、 やたらと人が歩いていた。 「1レースから馬券でも買いに来たか」 そうは思ったのだが、どうも様子が違う。 確かに、競馬ファンも混じってはいたが、 道行く人々がお祭り気分なのだ。 別にGIが開催されるわけでもないし……。 どうやら、ヤツらも我々と同じ目的らしい。 第74回都市対抗野球大会、準々決勝。 富士重工(太田市)vs.シダックス(調布市)。 社会人野球を見るのは初めてだったが、 こんなにも盛り上がっていようとは。 朝も早いというのに、活気が漲っていた。 とりあえず、関係者のふりして富士重工側へ向かう。 性格上、野村シダックスを応援するのは許せない。 ……まあ、知人が富士重工の社員だったこともあるのだが。 ともあれ、チケットはタダ。 得をした気分で入り口をくぐると、 黄色い団扇を差し出された。 「オレ様に団扇など無意味!」 と、ロック様の如く偉ぶりつつ、 手ぶらのままで入場してみた。荷物は嫌いだ。 ドーム内は、人ごみにあふれていた。 いつもの通り、田口席(左翼席2を参照のこと)での 観戦を楽しむつもりだったが、 どういうわけか、通行規制が敷かれている。 仕方なく、列に加わって内野席への誘導に従った。 それにしても、凄い人である。 日頃、オリックスの試合などを見ていると、 こんなに寿司詰め状態の中で野球を見ることなど珍しい。 左右にも上下にも空席がない。 にゃにゃにゃにゃい(また「はねるのトびら」より)。 しかも、みんながみんな、あの黄色い団扇を持っている。 シダックス側もそうだ。全員がこれを持って手拍子する ものだから、異様だ。千葉マリンの右翼席よりも 強烈な光景であった。 それにしても、都市対抗のスタンドというのは独特である。 特設ステージらしきものが設えてあるし、 フェンスにはスピーカーが括りつけられている。 「何に使うんだ、アレは」 などと思っていたら、ふいにスピーカーが喋りだした。 先発の野澤という投手を応援したいらしい。 聞けば「頑張れ」に続いて「野澤」コールをしてくれと言う。 それでは、と構えると……。 スピーカー「頑張れ~、野澤~!」 イヤイヤ、合わせにくいから。 周りの誰一人言えてないし。 その野澤、いきなりシダックス打線の餌食に。 なんと、早々と5失点。向こうの応援団は、 江戸が大火事にでも見舞われたかのような騒ぎになっている。 ……いきなり試合への興味を失ってしまった。 早朝ということもあって、欠伸を堪えながらの観戦だ。 この試合、一体いつまでかかるの? しかし、攻守が入れ替わったところで目も覚めた。 チアガールである。 「私踊る!」「私配る!」の武富士じゃないが、 特設ステージで踊るグループとスタンドを走り回って 笑顔を振りまくグループとがいた。 聞けば、彼女らは大学生だという。 「心、洗われました」 とは『機動戦士ガンダム0083』に出てきた、 アナベル・ガトー少佐(声・大塚明夫)の台詞だが、 まさにこの言葉通りの心境である。 スタンドはまるで、80年代におけるアイドルの 水泳大会のような華やかさに彩られていた。 あ、因みに応援はベンチ入りが叶わなかった、 いがぐり君たちも張り切っていたのだが、 全く目に留まらなかった。古い表現で恐縮なのだが、 「アウト・オブ・眼中」というヤツである。 これを読んでいる読者の中には、 「チアガールがそんなに珍しいか」と思われる方も いるかもしれないが、あァ、珍しいね。 我が母校は、思いっきり男子校だったのだ。 そんな中、試合がどうなったかというと、 こんな感じである。 シダ 510 000 010 7 富士 210 000 000 3 流石は野村ID野球。 細心の注意を払った、継投と守備固め。 キンデランとパチェコのキューバコンビも威力を示した。 補強選手として招集された内海は、 かつてオリックスのドラフト1位を蹴ってくれた男だが、 この日は登板しなかった。残念無念。 一方、富士重工の方では、3番手で登板の平井が目を引いた。 140キロ台半ばのストレートがコースいっぱいに決まり、 面白いように見逃し三振を積み重ねた。自責点も0。 実はこの平井、イップスの経験者だ。 所属していた朝日生命の野球部が廃部になって、 富士重工に移籍したばかりのことだった。 「活躍しなければ」という強いプレッシャーが引き金で、 捕手までボールが届かなくなってしまったのだという。 彼はこれを克服するのに1年を要している。 かつて、日本ハムの岩本がそうだったように、 とにかく走って投げた。寺に通って座禅を組みもした。 そして今年の春、遂に難病と訣別したのだ。 一旦、アンダースローのように体が沈みかけて、 そこからオーバーハンドで投げるという変則フォーム。 スタミナには少々疑問符が付くが、好投手であった。 だが、平井の好投もむなしく、富士重工の追い上げはならず。 34年ぶりのベスト8進出に沸いたスタンドも、 序盤はお祭り騒ぎだったのだが、最後の方はやや翳ってしまった。 試合の展開が違っていれば、あの曲も聴けただろうに。 ♪ やっぱりスバルがナンバーワン O・T・A 勝つぞ 太田~ それともこの応援歌、ホンダや日産、トヨタ戦でしか 歌わないとか。どうでもいいが、O・T・Aでは “オタ”としか読めないのでは? 何はともあれ、初の都市対抗はなかなか新鮮だった。 “オラが町”同士の対決って感じで。 そういえば、球場の入り口に、 各チームの紹介パネルがあったのだが、 「地域の有名人」コーナーには笑わせてもらった。 大阪代表なんかは「多数」などと書いていたのだが、 地方のチームなどは、苦労の跡が見て取れたりして。 「塚原ト伝」だけって、鹿島市……。 話は変わって、昨日は2日連続で西武ドームにも行ったのだが、 完封負けを喫してしまった。これで観戦成績2分6敗。 気分的にムカツクので、この試合についてはノーコメントで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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