ねっぴぃ野球倶楽部~オリックスファンが書くスポーツコラム~

2004/03/07(日)02:31

アイアン

漫画(14)

最近、ある漫画を集めている。 ビッグコミックに連載中のゴルフ漫画で、 『黄金のラフ~草太のスタンス~』というヤツだ。 これが、なかなかに面白い。 ストーリーはこうだ。 主人公・藤本草太は、しがないプロゴルファー。 身体能力だけは恵まれているものの、 イケイケのバカな性格が災いして、全く勝てない。 そんな草太を見て、ある決意を固める人物がいた。 スイングの理論には自信があるが、 プロとしては体が小さすぎる谷田部光一。 風や芝を読むことにかけては天才的だが、 メンタルの強さに欠ける太子治。 彼らはプレイヤーとしての道を諦め、 草太とチームを組むことで、 新たなゴルフ人生を歩もうと考えたのである。 物心がつく前からクラブを握っていたような エリートだけが、頂点に立つことを許されるゴルフ界。 そんな厳しい世界で、遅れてきた3人が奇跡を 起こしていく……。 これを読む中で、興味をそそるアイテムが出てきた。 草太が使っているアイアン。 実はコレ、ある技術を生かして作られたものなのだ。 作中に登場する、鉄工屋・宮置鉄瓶のセリフを拝借。 「あんさん、刀鍛冶、鉄砲鍛冶の流れを汲む鉄工屋を なめたらあかんで」 「あんさん、たたら鉄いうのを知ってはりまっか?」 「アイアンクラブの材料いうのはな、軟鉄、ステンレス、 それから、なんや最近はチタンまで使とるようやが……」 「元々、鉄いうのは鉄鉱石に熱を加えて鉄を溶かし出して 作るわけやけどな、現代の大規模な製鉄っちゅうのは、 えらい高温でガンガン溶かしよる」 「まあ、効率よく大量生産するには、その方が向いとる、 確かに。そやけど、その反面、高熱なだけに他の不純物まで 一緒に溶かしてしまいよる」 「その結果、かなりの不純物を含んだ鉄になってしまう。 主にリンやら硫黄でおますわ」 「その後、色々と不純物を足したり引いたりして、 質を調整すんのやけどね」 「要するに、硬すぎたりもろすぎたり、 あくまでも基準は十分満たしておるというレベルですわ」 「一方、たたら製鉄いうのは、千年ほど昔から伝わっとる 日本古来の製鉄法ですわ」 「たたらの特長はやね、基本的な材料に砂鉄を 使ういうことと、木炭燃料による低温での製鉄法や いうことでおます」 「鉄の溶けよるぎりぎりの温度で、じんわりと溶かして いきますのや。その為に、不純物の溶け込まん炭素量の 少ない極めて良質の鋼が取れますんや」 「その中でも、特に良質のものを玉鋼いうて 刀の原料にします」 草太のアイアンは、この玉鋼を原料に作られたものだ。 鉄の密度が濃いため、独特な打感の柔らかさと粘り強さ、 さらには強烈なスピン性能を生み出す。 ……カッコええ(あ、関西弁うつった)。 さて、こうした漫画には、往々にして元ネタがあるもの。 気になったので、調べてみたら……、 やはり、実在した。 兵庫県神崎郡市川町――。 ここが、刀鍛冶系クラブ職人たちの本拠地らしい。 真っ赤になった鉄を叩きに叩いて鍛えまくる。 世界で唯一、日本オリジナルの製法。 この、いわゆる地クラブは、マスターズを2度も 制しているホセ・マリア・オラサバルら数々の名選手が、 「ショットが止めたい所に止まる」 「自分が求めてきたインパクトの感触はこれだ」と 感嘆の声を上げるほどの名器だという。 ……たまにはバットをクラブに持ち替えて、 打ちっぱなしに行くのもいいなあ~。 などと思った今日この頃である。

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