プロ野球はキャンプ真っ只中である。
この時期、どこのファンも幸せそうに見えるのは、
何故なのだろうか？

＜事例１：ソフトバンクファンの場合＞

「和巳が20勝だろう？　新垣が13勝、和田が13勝、
　杉内が11勝、ガトームソンが12勝、あとは大隣と星野で14勝、
　そして、中継ぎ諸々を足して……、どうしよう。
　勝ち星が３桁になっちゃう。勝率はいくつだ？」

……知るか、ボケェェェェエェエエェェ！
ってか、何に困惑しているんだ、何に！

＜事例２：楽天ファンの場合＞

「今年こそ一場は化けるよ！
　岩隈も復活して、田中もバリバリ投げると思うな。
　林恩宇も凄そうだし、インチェも刺激を受けるだろうし。
　あとは有銘、山村、永井、片山あたりが頑張れば、
　少なくともオリックスは抜けるね」

……当たり前だァァアァァアアァァァ！
嬉しい誤算がどれだけ続くんだ、どれだけ！

机上の空論。捕らぬ狸の皮算用。
そう、こんな計算は大概、実現などしないのに、
何故かファンは夢見がちになってしまう。

かく言う自分自身も……。

＜事例３：オリックスファンの場合＞

「川越にデイビー、平野佳も去年よりは勝つだろう。
　あとは、ウエスタンで防御率１位の岸田、
　左腕の中山も後半出てきたし、新人の小松も良いらしい。
　吉井だってまだまだ健在だろう。あとはユウキ、
　光原、セラフィニのうち誰かが復活したら……」

……みたいな。

しかし、よく考えるとこれは仕方のないことである。
特有の期待感に包まれた１ヶ月、それがキャンプなのだ。

そして、妙に期待感を掻き立てられる選手。
これが颯爽と現れるのも、この時期ならではである。

＜気になる選手１：ジャレッド・フェルナンデス（広島）＞

Ｑ：目標としている選手は？

フィル・ニークロ、ジョー・ニークロ、チャーリー・ハフ、
ティム・ウェイクフィールド、ホイト・ウィルヘルム。

んんん、見事なまでの共通点。
そう、彼は久しぶりに登場した真性の魔球使いである。

ナックル、ナックル、またナックル。
その頻度は昔、近鉄にいたマットソン以上らしい。
しかも、同じ球種で78km/h～131km/hと緩急をつけてくる。

この変化球は、身体的な負担が少ないことが特徴だ。
だから、連投も殆ど苦にならない。
実際、２年前には、先発完投した翌日に１日だけ休んで、
中継ぎ、中継ぎ、先発完投をこなしたこともあるという。

……権藤、権藤、雨、権藤？

広島ファンの中には、中４日で黒田、
中３日でフェルナンデスなんて、
物凄いローテーションを考えている者もいるかもしれない。

この男、実は前々から日本の野球に憧れを抱いていたそうだ。

キッカケはレッドソックスの３Ａ時代（1999～2000年）に
大家と同室となったことなんだとか。

＜気になる選手２：ウィルフィン・オビスポ（読売）＞

帯広スポーツ？

……イヤイヤ、人の名前である。
ドミニカ出身の22歳。只今、気になる指数急上昇中。

日刊スポーツの記事によると、
何を聞かれても「ノープロブレム」としか
答えない“不思議ちゃん”だそうで。

投げても、この時期から150km/hに迫る剛球を連発、
変則フォームと荒削りな制球力に
ナインは戦々恐々としているとか。

第２のクルーンとなる資質を秘めた逸材。
まさに名と実を兼ね備えた救世主となれるか注目だ。

＜気になる選手３：小宮山悟（ロッテ）＞

2005年、揺れる魔球シェイク。
2006年、シェイクのフォームで投げる半速球フェイク。
そして2007年、異色のベテランが新たな幻惑投法に挑む。

それは、サブマリン。アンダ――スロ――ゥ。

「バッターが“おっ”となってくれるだけでも違う」
「そんじょそこらのヤツには負けないよ。
　俊介と肩を並べるような感じ」

１週間前、足を傷めた小宮山だが、
何故かもうフォームはほぼ完成しているという。
はたして、シーズンで披露してくれる日は来るのか？

そういえば、ロッテには既に上手・下手の
二刀流投手がいることを思い出した。

２年目の相原。

去年はルーキーながら初登板も経験した。
もしかしたら、今年は俊介、小宮山、相原なんて
リレーも見ることができるかもしれない。


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