あァ、オフなんだなァ、と思う。

だって、我が家の息子ったら、
玩具バットの使い方がシーズン中と明らかに違うもの。

何つうか、武器（ ﾟ∀ﾟ） ？

試合の代わりに特撮ヒーロー系に興味を
持っていかれてしまった感じ。最近は「パパ」ではなく、
コードネームで呼ばれることも珍しくない。

家族を“色”で呼び分けるとは（ ;゜Д゜)

と、まァ、こんなタイミングなので、
とても３週間前のことなど取り上げにくいのだが……。

Ｗシリーズ。

今回は、どうしても書きたいフレーズがあるッ！

「我らが田口の勝ち運はァァァァァァァアアア、
　世界一ィィィイイイイ」

※　わかんない人は『ジョジョの奇妙な冒険』第２部を見て。
　　もしくは“シュトロハイム　名言”とかで検索して。

ご存知、田口壮。

ブルーウェーブ、カージナルス、フィリーズと、
日米３球団で頂点を極めた、史上初の日本人選手。

まさに、究極の優勝請負人ッ！

「Ｗシリーズで出番がなかったじゃないか」とか、
「シャンパンファイトを盛り上げることが役割だったのでは」とか、
そんなツッコミは一切いらない。

“赤鬼”マニエル監督もこう言っている。

「ソウの出番は少なかった。しかし彼が最後にいてくれる
　ということが、私にとってはどれだけ心強かったか。
　それは、彼が実際に試合に出る、出ないということとは
　関係ないんだ。彼の存在は、チームの貴重な戦力なんだ」

出番はなくとも、決して準備を怠らない、
そして、いざ出番となれば、確実に役割をこなす。
田口がベンチへ与える安心感といったら（*≧∇≦）ｂ
もう、最高の空気を作り出してくれるわけである。

一方、シリーズ初出場で勢いづいているとも
浮かれているともいえる状態だった若いレイズ。

実は彼ら、短期決戦を戦う上で最もやってはいけない
タブーを犯し、自ら流れを失っていた。

それが、マット・ガーザが第３戦の先発前に放ったという、この一言。

「これまでヤンキースやレッドソックス、タイガースのような
　強豪打線と対戦してきているだけに、
　それと比較すれば多少は息が抜けるとは思う」

日本のマニアックファンは皆、
1989年の日本シリーズを思い出したことだろう。

アナ「途中の談話では、むしろシーズン中よりも良かったんでは、
　　　気楽に投げられたんではなかろうかという談話が届きましたね」
加藤「シーズン中の方が、よっぽどシンドかったですからね、
　　　相手も強かったし」

そう、近鉄・加藤哲郎による「巨人はロッテより弱い」発言。

我々は、こうした言動が短期決戦において
一番のタブーであることを知っている。

1958年の西鉄vs.巨人の日本シリーズ第５戦。
最終回、１点リードで勝ちを確信した巨人は、
見切り発車で表彰式の準備に取り掛かり、
西鉄の逆鱗に触れた。

1984年、ＫＫコンビを擁するＰＬ学園は、
決勝戦を前に表彰式ごっこに興じる愚を犯し、
取手二にまさかの敗戦を喫した。

1993年、サッカー日本代表が経験したドーハの悲劇。
イラク戦最後の数秒間、ベンチの選手たちは勝利を確信し、
Ｗ杯初出場へのカウントダウンに夢中になっていた。

このように、ろくなことがない。

案の定、ガーザは打ち込まれて敗戦。
シリーズの流れはドドッとフィリーズへと傾いていく。

フィリーズとレイズ。両者の違いは何だったのか？

たくさんある要因の１つに、田口のような大舞台の怖さを知る
ベテランがベンチにいたかどうか、ということが挙げられるのではないか。

その重要性はphan（fanのこと。Philadelphiaの人々は、
“ｆ”の代わりに“ph”を使う）たちもわかっていたに違いない。
Ｗシリーズが始まる前も終わった後も、
彼らは田口を“秘密兵器”と呼び、やけに好意的だった。

田口が海を渡ったのは2002年。33歳になる年だ。
最初の１年はマイナー暮らしで、３Ａどころか２Ａも経験。
何度も挫折を味わった。

その頃、彼はある言葉が胸に響いたと語っている。

「とりあえず、笑っとけ！」

当時のチームメイトで、オリックスでも一緒にプレーした
ジョン・ナナリーに贈られた言葉だった。

「この国では、野球をプレーし続けることが一番大切なんだ。
　メジャーだろうが、マイナーだろうが、どこでプレーするか
　なんて関係ない。だから、笑って野球やっとけ！」

ナナリー、ちょっと見直した。

はっきり言って、無謀に思えた田口の渡米。
しかし、現在は日本人で最もバラエティに富んだ
勝利の美酒を味わっている。

単なる幸運だけではない。苦労を乗り越えられたからこそ、
身に付けた勝ち運なのだと思う。


Please crick here !!