地震2
ふと、買い物に入ったお店。レジには被災者への募金箱が置かれている。その中には、ぐいぐいと何枚かの千円札が捻じ込まれるように詰まっていた。場所を移して、新宿歌舞伎町の広場。募金箱を持ってズラリと並ぶのは、女子プロレスラーの面々。団体の枠を超え、力の限り叫んでいた。ほんの2時間の外出で見かけた光景だ。あるフレーズが思い浮かんだ。「ココロハヒトツ」昔、パンチ佐藤も使った表現だが、今回は意味が違う。人間とは、優しく強い生き物らしい。義援金、節電、励ましのメッセージ。多くの人々が自分に出来ることを考え、実行している。その動きは、日本国内だけではない。先日、TVに映し出されていたのは、ロサンゼルス・ドジャースの本拠地、ドジャー・スタジアムの駐車場である。ドライブスルー形式の募金。遠い地で起きた災害のために、ただ野球を見に来た人々が、何とも自然にドル紙幣を箱の中に入れていた。こんな記事も見つけた。体操の内村航平は、意外な相手から手を差し伸べられたという。昨年の世界選手権個人総合2位、ドイツのフィリップ・ボーイ。なんと、世界一を争う“ライバル”が、練習環境を提供しようと伝えてきたのだ。なんて少年漫画的だろう。スペインのサッカー場では、バルセロナとセビージャの選手、そして審判が、こんな横断幕を広げた。「頑張れ、日本! 僕らは君と共にいる。」力強い極太のゴシック体。日本語とスペイン語で書かれた“それ”は、センターサークルの直径ほどもあった。更に、アメリカのテニスコート。世界ランキング1位のデンマーク人、キャロライン・ウォズニアッキが、メッセージ入りの日本国旗を掲げた。“Our thoughts are with you!”(私達の思いは日本の皆様と共にあります)これらのメッセージを見て、やはり思った。「ココロハヒトツ」そんな中、である。個人的に残念なのは、プロ野球だ。もともと3月25日だった開幕日、これが地震の影響で延期することになった。パ・リーグは4月12日。セ・リーグは一旦「延期なし」としたが、文科省からの物言いがついたため、3月29日。様々な思惑、事情はあるだろう。だから、延期の是非、時期の早い遅いはいい。しかし、両リーグの足並みが揃わない。それが非常に残念である。何故「ココロハヒトツ」とならないのか?今回の地震、福島の実家が被害を受けた。ちょうど家の真下が陥没したため、家には亀裂が走り、水も止まってしまった。そんな中、母と祖母は近所の人々に助けられ、友人に励まされながら何とか凌いできたという。金曜日、母から電話がかかってきた。友人が次々と福島を離れ、避難していく。度重なる余震、原発問題……。不安に押し潰され、感情が爆発したのだ。母は泣いていた。それでも、息子の声を聞くとすぐに落ち着きを取り戻してみせた。結局、被災者を支えるのは“心”なのだと思う。それを実感した直後だからこそ、「ココロハヒトツ」とならないセ・パが残念なのだ。Please crick here !!