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2016.02.17
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カテゴリ:映画(り)

今回の一言
ヒッチコックに描いてもらいたかったな~。

1999 アメリカ
サイコ、サスペンス

監督
アンソニー・ミンゲラ
Cast
マット・デイモン
ジュード・ロウ
グウィネス・パルトロウ
ケイト・ブランシェット
フィリップ・シーモア・ホフマン

ストーリー
1950年代のアメリカ。
とあるパーティーでオペラの伴奏をしていたトム・リプリーは演奏後、大富豪のグリーンリーフ氏に素晴らしい演奏だったと声を掛けられる。
トムはプリンストン大学のジャケットを着ており、グリーンリーフの息子ディッキーと同級生だと知り、今度食事でもどうか?と誘われる。
トムは知人の代わりにジャケットを着て演奏をしただけだったのだが、とっさにグリーンリーフの話に合わせてしまう。
後日グリーンリーフと再会したトムは、そこでイタリアで遊んで暮らす放蕩息子ディッキーをアメリカに連れ戻してくれないか?と頼まれ、断りきれずにイタリアへ行く事になる。
グリーンリーフはトムに豪華客船の1等船室を取り、旅費などの面倒も全て見てくれた。
しかし本当はディッキーと友人でもなんでもないトムは、どうやってディッキーに近づくのか思惑を巡らせるのであった...。





感想
前半と後半で一気に流れがガラッと変わる作品でしたが、前半にはジャズを使い、ビーチや海辺の素敵な街並みを写し楽しそうな雰囲気を醸し出し、後半はオペラを使い、歴史あるヴェネツィアの街と夜とバロック調の建物の重厚さでサスペンスの雰囲気を醸し出しています。

なかなか面白い作品だったんですが、ヒッチコックに描いてもらいたかったな~。
でもヒッチコックじゃたぶん描かないラストなんですけどね。
もしもヒッチコックが描いてくれてたら、もっと面白かっただろうな~と思わずにはいられない作品です。

マット・デイモンはやけくそなのか計算済みなのかいまいち分からない感、つかみどころのない感、自分がない感をうまく演じていたと思います。

モノマネを仕事にしてる人を馬鹿にしているわけではありませんが、それはどこまでが自分の力でどこからが真似してる人物の力なのか?と時々思います。
トムは誰もが持ってる「憧れ」の階段を一気に登ってしまう人って感じなので、気持ちは分からなくはないんです。
階段登りすぎちゃうだけなんだなって。
でもそれって自分あるの?と。
彼の心理は「憧れ」からのモノマネはあまりなくて、相手を観察した後は、相手の心理に自分が存在してると思い込むんですよね。
そして相手がそれと違う感情を持ってると「何言ってんの?」ってなっちゃう。
トムの人当たりの良さも起因してますし、相手が「トムって良い人ね~」なんて言ってる間にいつの間にかものすごい近い人になってて、いつの間にか色々な事がトムに取って代わってたり、トムに引っかき回されたりしてる。
そこに悪意がないのが恐ろしいところです。

悪意があるのはラストだけなんですよね。
この作品のそーゆー心理描写は実に見事で、「こいつ多重人格者なのか?」と途中まで思ってたんですが実はそうではないってのが面白ポイントだと思います。
ピアノに映る自分の影が2つに割れるシーンがあるんですが、そこで私は「あ、なるほど」と。
悪意がないだけで全部分かっててやってるんだーと。
怖いですね~、怖い怖い。
まだ多重人格者の方が納得できちゃうぐらい恐ろしい事です。
モノマネしなくともその人物の力を最大限に使っちゃうところとかまぢ恐ろしい!!

ジュード・ロウは個人的に全然好みじゃないんですが、ディッキーも全然好みじゃなくてむしろ嫌いなタイプで、て事は逆に素晴らしい演技だったのかもしれません。
自己中で自分勝手で気分屋で、そーゆー男が好きな女っているよね~とか思いながらイライラしながら観ていました。笑

その他グゥイネス・パルトロウやケイト・ブランシェット、フィリップ・シーモア・ホフマンとキャスト陣が豪華なのも良いポイントです!

グゥイネス・パルトロウ演じるマージはピーピーうるさい女で嫌いでしたが、真実をついてるのに、ディッキーのこれまでの人生の振る舞いが酷かったもんだから、何一つ信じてもらえないというところも面白ポイント!
真実を知った上で展開されるストーリーの面白さもポイントですね!
そこがラストでも良かった気がしますけどね。

ヒッチコックに描いて欲しかったという物足りなさはあるものの、十分に楽しめるサイコサスペンスでした。
けっこーオススメです!!

my評価8点(10点満点中)





概要
原作はアメリカ人女流作家パトリシア・ハイスミスが1951年に発表した「太陽がいっぱい」。
フランス推理小説大賞を受賞している。
1960年にフランスイタリア合作「太陽がいっぱい」として映画化されており、今作は2度目の映画化であるが、オリジナル要素の強かった前作とは違い、今作はより原作に近い作品となった。
またトム・リプリーを主人公とした原作は他にも数作品あり、今作のその後を描いた「アメリカの友人」(原題リプリーズ・ゲーム)も2度映画化されている。
1977年の作品には「アメリカの友人」と邦題が付けられており、2003年の作品には「リプリーズ・ゲーム」と原題と同名の題名が付けられた。
第53回英国アカデミー賞ではジュード・ロウが助演男優賞を受賞。
第72回アカデミー賞脚本賞、助演男優賞、音楽賞、美術賞、衣装デザイン賞にノミネート。
その他数々の賞にノミネート、受賞している。


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Last updated  2016.02.17 11:45:41
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