対称性の破れと創世記 AT
先日NHKの「ノーベル賞の知に挑む」という番組で分かりやすくこの理論を紹介していました。シュローダー博士もこの問題に言及していました。ヘブライ語の神はエロヒームで神々と複数形ですが動詞は単数形です。多にして一つという不思議な表現です。これにはいろんな解釈があるようですが一つでありながら現象としては複数という解釈も可能です。神は被造物が一つであることを忌み嫌います。「人が一人でいるのは良くない」と言って男と女に分けてペアにしました。一つでいると他の被造物が人を神として信じる危険があるからです。これはユダヤの伝統的聖書解釈にあります。ビッグバンでエネルギーが物質に変換し始めたとき、クオークは陰陽のペアで現れ消滅しましたが、なぜかペアでないものが時たま現れ、これが現在の宇宙を作ります。なぜ一つのものを造らない神がこれを許したか。神の直接介入があった、すなわち奇跡があった、といえます。ヘブライ語は「バラー create」という語で神の直接介入を暗示しています。この語は天地創造と生命の創造と人の創造にだけ使われています。他の場合はmake, formに当たる語が使われています。一つであること、独裁、一極集中は、破綻します。神は男と女を対立者として造りました。主従ではありません。対立者を消せば自分も消えます。一つであることは神のみに許された権限です。宇宙創造において神は特別な計らいをしました。この宇宙は神の特別認可を得て成立しているのです。