夏場の暑さ対策あれこれ 熱帯魚/日本淡水魚
アクアリストにとって、熱帯魚、日本淡水魚ともに頭を悩ませるのは、夏場の水温上昇の対策です。もちろん、日本淡水魚は日本に住む魚ですから、30度前後ならほとんどは大丈夫ですが、仔魚や採取したばかりの弱った固体、また種類によっては死んでしまうこともあります。水槽用クーラーや水槽用の冷却ファンを使うのが、もっとも手っ取り早く、楽な方法ですが、いかんせん購入するとそれなりに高く、電気代もかかります。そこでもう少しお金をかけずに、水温を下げる方法をいくつかご紹介したいと思います。■照明の工夫もし照明をガラス蓋に直接載せている場合、ちょうど温室効果と同じで、かなり水温を上昇させてしまいます。まず数センチでもいいですので、照明とガラス蓋の間をあけましょう。私の水槽では、木切れなどをゲタにして、そのうえに照明を載せています。また、コトブキのスカイライトフリーのように、付属品としてリフトスタンドがついているものもあります。コトブキ スカイライトフリーつぎに、こまめに照明を消す事も効果的です。日中の気温が高い時間帯などは照明を消すとよいでしょう。ただし、水草の育成に照明は必須ですので、悩みどころでもあります。これら照明の配置や点灯時間を気をつけるだけで、1~3℃ぐらいは水温を低下させることが出来ます。■換水や氷による冷却これはタイトルどおりで、とても直接的です。効果はてきめんに出ますが、持続時間はそれほど長くないので、こまめにやらなければいけないという意味では、応急処置といえるかもしれません。まず、換水についてですが、塩素を抜いた水道水で水槽の1/5~1/4の水を入れ替えるだけでも、ましになります。ただし、あまり頻繁に換水をすると、安定していたバクテリアや水質のバランスが崩れ、魚が弱ってしまったり、エビ類が脱皮したり、死んでしまうこともあるので注意してください。つぎに氷ですが、これは氷をそのまま入れるのではなく、ペットボトルに水を入れ、冷凍庫で凍らせておき、それを水槽に入れるという方法です。ペットショップやアクアショップで、水槽にたくさんのペットボトルが浮いている光景を見た方もいると思いますが、これはその方法を使っているためです。もっとも手ごろな500mlペットボトルを使うのがいいでしょう。目安としては、60センチ水槽なら500mlペットボトル1本、90センチ水槽で2本ぐらい、120センチ水槽で3、4本ぐらいで十分でしょう。あまり入れすぎると水温が急激に変化するため、魚が弱ってしまう事もありますので1本入れて様子を見るのもいいかもしれません。■エアレーションやろ過装置による冷却と酸素供給そもそも、なぜ水温が上がると、水槽の魚は弱ってしまうのでしょうか?野生の日本淡水魚などは室内よりも暑い環境でも、よほどのことがない限り元気です。もちろん、川の流れや水深が深いという事で、水温の変化が小さいということもあるでしょうが、もっとも大きな差は、水中の酸素飽和度ではないでしょうか。水槽内の水温上昇では、水温が上がると水中に溶け込む酸素の量が減り、その結果、酸欠に近い状態となった魚が弱って病気になったり、そのまま死んでしまったりするケースがほとんどです。逆を言えば、水に酸素を溶け込みやすいようにしてやれば、水温が少し高くても大丈夫だということになります。そこで一番効果的なのが、一般的にブクブクといわれる、エアレーションです。エアポンプはどこのアクアショプでも購入できますし、クーラーやファンに比べて安価です。ただし、モーター音がけっこうしますので、気になる方は静音タイプのものを選ぶようにするか、夜は消しても大丈夫でしょう。また、エアレーションで重要なのは、水槽に置く空気の吐き出し口を何にするかです。よく金魚やメダカなどの水槽用に、空気の泡を定期的に、ポコ、ポコ、と出す置物やインテリアのようなものがありますが、あれはほとんど効果がありません。泡が出続けるエアストーン、とくに細かい泡を広範囲に出すものがより効果的です。いぶき製のエアストーンなどは細かく、さまざまなタイプがあるので、水槽の大きさに合わせてエアポンプとエアストーンを選んでください。いぶきエアストーンほかには、上部ろ過フィルターや内部フィルター、外部ろ過フィルターにシャワーパイプをつけるなどをすれば、水流によって酸素が巻き込まれやすくなったり、気化熱による冷却が期待できます。この場合に注意したいことは、メダカなど自然では緩やかな流れにいる魚やエビ類は、あまり流れを強くすると疲れて弱ってしまうので、中に障害物を入れて流れの緩やかなところを作ってあげるなどの工夫が必要です。以上、ざっと取り上げてみましたが、もちろんこれらの中にはそれぞれ一長一短もありますし、見た目のよくないものもあります。が、魚の命と自分の予算を考えて、色々試してみてください。最後に、イワナやアユなどの渓流魚、ナガレホトケドジョウなど、やや水温の低い場所にいる魚は、これらの方法では対処できない可能性が高いです。大きな水槽や強力な水流、専用のクーラーを用意しなければ飼育は難しいでしょう。