健康、長生き、アンチエージング

2008/09/12(金)07:00

難病対策の問題点

疾病(623)

難病対策において、患者数の多い難病の場合はそれでも比較的要望が受け入れられやすいが、患者数が少ない難病の場合は、なかなかその要望が受け入れられない。中々認定もされない上、認定されてからもその補助条件も二の次にされやすい。すべての難病には経費がかかるが、日本国民全員が幸せになれるような福祉国家を目指し、その対策に十分な配慮をして貰いたいものである。治療用の特殊ミルクを前に話す姫野史子さん(左)と母富子さん(東京都内の自宅で)  「先天性代謝異常症の検査値が高いので、再検査を受けて下さい」 1985年10月、東京都の姫野史子(ふみこ)さん(22)が生まれて約2週間後だった。母富子(あつこ)さん(45)は、病院から電話を受け、不安になった。 体内では、生命活動に必要な様々な物質を合成したり、不要な成分を分解したりする「代謝」が行われている。遺伝的異常などが原因で、正常な代謝ができない病気が「先天性代謝異常症」だ。 史子さんは、その中の一つ「フェニルケトン尿症」だった。特定のアミノ酸が代謝されずに体内に蓄積し、知能障害や、けいれんなどの症状が出る。出生8万人に1人の割合で発症するとされる。 富子さんは、医師に「すぐ治療を始めたら、正常に成長できます」と言われ、立ち向かう決心をした。 しかし、治療は予想以上に大変だった。代謝できないアミノ酸を、あらかじめ取り除いた「特殊ミルク」を毎日飲む。この治療は一生、続ける必要があるとされている。 乳児期を過ぎてからは、低たんぱく米を食べ、肉、魚、卵、豆腐は控えた。専らサラダ、こんにゃくなどを食べた。食べ盛りには、つらい食生活だった。 小学生の時、史子さんは「食べたい物が食べられないのは、お母さんのせいだ」とあたったこともある。 この病気は、長期闘病が必要な子供の医療費を補助する「小児慢性特定疾患治療研究事業」(514疾患)に指定され、医療費は無料だった。 だが、20歳を過ぎて補助の対象外になると、特殊ミルクなどの医療費を月約3万円払わなくてはならなくなった。 低たんぱく食材(月2万~3万円)も自己負担で、月5万円以上の出費だ。史子さんは臨床検査技師として働くが、負担は大きい。 今年4月、別の先天性代謝異常症「メープルシロップ尿症」の患者を憤慨させる問題が起きた。厚生労働省による医薬品価格の改定で、治療用の特殊ミルクが一気に6倍以上に引き上げられたのだ。患者の反発を受け、値上げは結局1・4倍になった。 この病気を患う青空(そら)ちゃん(6)、風乃(ふう)ちゃん(3)の2人の娘を育てる外舘(とだて)友紀さん(34)(東京都)は「患者数が少ない病気の薬は採算が取れないので、突然、値上げされる恐れがある。安心して暮らせる難病対策を整えてほしい」と訴えている。[出典:読売新聞]

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