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ナ チ ュ ー ル

ナ チ ュ ー ル

C60 バッキーボール

バッキーボール

●C60 発見
 C60およびC70は1985年に星間物質の研究をしているKroto(Sussex大学)と、レーザー蒸発クラスター質量分析装置を開発したSmally(Rice大学)の二人の共同実験において発見された。当初、実験室で直鎖状ポリインを合成しようと考えて行われた実験で偶然に発見されたのがC60である。


1980年代の初めから、クラスター研究で、ライス大学と、エクソングループはしのぎを削っていた。

 1984年エクソン社においてCoxとKaldorの研究グループによって、同じ設計の装置を用いて炭素クラスター研究が行われている。しかし、そこでは炭素原子が120程度までのクラスターCnを観測したにとどまり、C60の存在は発表されなかった。


クロトーが、炭素クラスターの共同研究でスモーリーの装置の使用ができると連絡を受けたのは、1985年8月の終わりであった。

クロトーはヒューストンのライス大学のスモーリーらのチームに合流し、世紀の共同実験が始まったのは、1985年9月1日だ。

その週の金曜日9月6日 質量数720に対応するピーク、炭素数で60個、C60の異常に強い質量スペクトルを観察することに成功した。

しかし、なぜ炭素分子が60個のC60が選択的にしかも多量に生成するのか説明できなかつた。

そして、彼らは、連日C60の構造について議論した。そして長い議論の辿り着いた先は。二つの分子構造モデル。

一つは、平面サンドイッチ構造モデル。もう一つは、球状構造モデル。


9月9日の会食の後、スモーリーは、レポート用紙で6員環を作り、夜中まで模型作りに没頭した。だが6員環だけでできるはずはない。スモーリーは、スタードームの話を思い出し、5員環を組み込むことを思いついた。

そして、見事な球状のC60が完成した。

翌9月10日朝、このセロハンテープとレポート用紙の「見事な球状のC60」の模型で、教室の全員が興奮の渦に巻き込まれたのは、言うまでもないことであろう。

後日、クロトーは、 「夜中にイギリスの妻に電話してでも、「スタードームの頂点の数」を勘定してもらうべきだった」と後悔している。・・・・「地球に舞い降りた天空の球」クロトー教授講演和訳
この発言は、いかにクロトーが口惜しかったかを物語っている。

9月10日朝から書き始められた論文原稿は、9月12日に完成した。


そして、このC60がサッーカーボール構造であるという大胆な仮説が、1985年11月14日のネイチャーに掲載され、サッカーボール構造が表紙を飾った。、


しかしながら、質量スペクトルからは、C60の構造に関しては、何も言えない。

C60が、サッーカーボール構造であると確認されるまで、しばらくの年月を待たなければならなかった。

1990年の多量合成法の発見まで。







フラーレンは60個の炭素、90本の炭素-炭素結合、30本の二重結合、20の6員環、12の5員環を持つ。全ての炭素が4本の結合の腕を出して結合しているため余りが出ず、ひずみが全体に均等に分散しているので安定な構造である。


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