2006/08/30(水)21:45
「不実な美女か貞淑な醜女か」
今、母と競争のようにして故・米原万里さんの作品を片っ端から読んでいます。
先日読み終えたのが↓
一見、美人と不美人について書かれたエッセイかと思いきや、
この本は通訳という仕事について書かれたものでした。
不実な美女とは、
体裁はいいけれども原文に忠実ではない訳、
貞淑な醜女とは、
どこかぎこちないが原文を正確に伝えている訳のことを言うそうです。
もちろん「貞淑な美女」というのが一番いいのはわかりきったことですが、
場合によっては通訳をする場の雰囲気や目的に合わせることも大事なのだとか。
本書では、失敗談やこぼれ話を織り交ぜながら、
時には言語学的な見地から通訳という職業について語り、
最終的には外国語を使ったコミュニケーションとは何かということを
伝えようとしています。
最近、英語離れが進んで日本語の本ばかり読んでいます。
英語を勉強してきて、ふと、
「日本のことも満足に知らないのに外国語を勉強してどうする…」
と、頭に浮かんだのがきっかけで、
歴史ものからエッセイから小説etcと、片っ端から読んでいます。
小学校からの英語教育導入に関して、
英語よりも日本語を学ぶべきだと機会があれば主張してきましたが、
ふと自分のことを振り返ると、
私こそ母語をおろそかにして
英語ばっかりやってきたのではないか、
母語できちんと考えられないことが
英語で言えるわけがないのではないか、
と思い、毎週やってくるTIMEを横目に日本語の本を読み漁っています。
本書にも、日本語が下手な人は、
外国語が身に付けられても母語以上には上手くならないこと、
どんなに外国語が上手くても、自国や自国語のことを知らなければ
国際的に見て軽蔑の対象であることなど、
身につまされる話が盛り込まれていました。
それにしてもこのように外国語を武器に活躍されていた方や、
色々な教育の大家が口をそろえて上記のように
外国語よりも国語教育が大事だと主張しているのに、
どうして文部科学省にはそういう主張をする人がいないのか不思議。
いても気が弱くて言えないとか???
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