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カテゴリ:脳科学・心理学
今回は、『心理学用語大全』を読んだので、少しだけ簡単にまとめたいと思います。
そのなかの社会心理学について、「この世界の社会的性格」というテーマでまとめていきます。では、いってみましょう。
人間は自由よりも不自由が好き人間の歴史を見てみると、その地域にある村の掟や、家柄など、「伝統的・封建的な縛り」というものが存在していました。そのなかでは、「誰もが社会的秩序の中で役割を持っていた」のです。
「縛り」は、けしてネガティブなものだけではありません。その役割を果たせば安定感や帰属意識を持つことができたため、人間の心は安定していたのです。
時代が変わり、資本主義は人間を自由にしました。そして「強い個人」も生み出しました。けれどもそれは、人間にとってポジティブなものだけではなかったのです。
縛りから解放され、人はさまざまな絆から切り離されたため、人間は自分の生き方を自分ひとりで決めなくてはならなくなりました。それは人間をこれまで以上に孤立させ、無力感と、孤独感と、恐怖を与えたのです。
こうした恐怖に耐え切れなくなった人は、自ら自分を縛る権威を進んで受け入れてしまいます。資本主義の世界では、自分の幸福が目的ではなく、組織の発展や財産を増やすこと自体が目的となっていったのです。
人間は自分の欠けている部分を何かに依存して補おうとする心理があります。人間は自由よりも、権威、絆、組織、集団、規則といった不自由のほうが好きなのです。
この世界にある社会的性格この世界にある社会的性格とはどんなものでしょうか? ドイツの社会心理学者、エーリヒ・フロムが提唱する「社会的性格」を見てみましょう。
まず「社会的性格」とは、個人の考え方や性格が、所属する社会の政治や文化、経済の仕組みに影響され、できあがった性格のことを呼びます。社会的性格には「非生産的性格」と「生産的性格」の2つがあります。
そして、「非生産的性格」は4つに分けられます。
①受動的な性格 ②搾取的な性格 ③貯蔵的な性格 ④市場的な性格
「①受動的な性格」とは、自分が求めるものは、他者から与えられるものと感じている性格です。愛されることを求め、他者の判断に頼ろとします。よく言えば献身的な姿勢になります。
「②搾取的な性格」は、自分が欲しいものは、他者から奪うものだと感じている性格です。常に「奪う」という考えなので、他人のものを過剰評価します。
「③貯蔵的な性格」は、他者を信用できずに、自分の周りに壁をつくって大事なものを守ろうとする性格です。「愛とは所有すること」と、物欲などにつながります。
「④市場的な性格」は、あらゆる物事を経済的な価値で評価する性格です。いわゆる損得の基準で構えており、現代において最も多い性格だと言われています。
このように、社会や文化が人間の性格に影響を与え、社会的性格ができあがります。現代人の性格は、この「非生産的性格」の①~④が合わさってできていると言われています。
生産的性格にシフトできるかそれでは、「生産的性格」とはどんなものでしょうか。
「生産的性格」とは、積極的に自分の役割に向き合い、生産的な仕事をする性格です。そして、他者に対しては、愛情と信頼を持って成長を助けようとします。
不自由さを求めた人間は、アイデンティティを失い、権威にたやすく従属する人形のような存在になってしまいました。それが、人間を「非生産的性格」にさせてしまった要因です。
フロムは、「少しずつでもいいから生産的な性格を取り戻そう」と言います。なぜなら、そのほうが結局幸せだからです。
人間は本来、生産的な性格を持つ人間です。それを社会が変えてしまっただけです。
これから、テクノロジーの発展で、人間はより一層自由になるでしょう。そこにも、孤独と恐怖が存在します。それでは、どうすれば孤独と恐怖とうまくつき合えるでしょうか。
フロムからのヒントは、「自発的な活動によって自分と世界を結びつけること」です。
自発的な活動とは、自分自身の「思考や感情」を自発的に表現する創造的な活動です。そして、フロムからの大きなヒントは「世界を愛すること」という能動的な活動にあります。
いかがでしょうか? 今回は、「この世界の社会的性格」というテーマでまとめてきました。
世間の問題をよく見てみると、社会的心理が大きく働いているな、と思います。「生産的性格で動いているのだろうか?」と疑問に思うところもあるでしょう。
けれども、自分には自分にしかできないことが、必ず存在すると思います。ですので、「世界を愛する」という姿勢で、日頃から発信していきたいですね。
それでは読んでいただき、ありがとうございます。
【参考】 ・アバタロー図解 心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問 [ 田中 正人 ]
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Last updated
2021/08/01 07:30:05 AM
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