2011/07/23(土)09:06
フランス外交の粋
少し前の話。仕事柄、在京のフランス大使館の方々とは時々情報交換をしている関係で毎年大使館で行われている革命祭のレセプションには招待状をいただいている。 日本でのレセプションは、マスコミでもずいぶん報道されたのでご存じの方も多いと思うが、今年は東京を離れ、初めて福島県郡山で行われた。招待客は1000名で、半分は原発事故で避難を余儀なくされた方々。平日でもあり、僕は出席することができなかったが、フランスはなかなか粋なことをする。 大使公邸のシェフなみならず、フランスの食の文化に携わる有志の方々が参加している。リストを見ると、Le Cordon Blue、Le 6eme sens d'Odeon、Restraurant Pachon、Hotel de Mikuniなど東京の有名どころのレストラン、パティスリーのシェフがずらりと並んでいて壮観。また、本国からはフレデリック・ミッテラン文化広報大臣が参加している。 翌日だったか、NHKBSの朝のニュースでは「フランスは震災後、在留フランス人に対して、ただちに日本を離れるように指示したことに対するお詫びの意味を込めてこのようなレセプションを開催した」と云う趣旨の解説をしていたが、僕は違うと思う。在留フランス人に対する緊急避難指示は正しかったし、そのことを詫びようなんて彼らは思っていない。そうではなく、これは彼らの日本に対する人道的な観点からの連帯の示し方なのだ。 サルコジ大統領にはちょっとフランス流エスプリのセンスが欠けている。彼は米映画のランボーみたいなもので3月の来日も原発ビジネスに関する思惑が見え隠れして、残念なのだが、今回のレセプションは、久々にフランスの粋を感じて嬉しかった。 フランス大使館の年賀状も毎年素敵なのだが、ちなみに今年は「神の雫」の図柄。「フランス、マンガ第二の故郷」と云うサブタイトルがついている。さすが。このあたりのセンスはまねできない。