素晴らしい映画だった!『笑の大学』!
笑の大学 スペシャル・エディション(DVD) ◆20%OFF!かなり前から、気になっていた映画だったのだが、やっと見ることができた。この種の映画は、映画監督・演劇作者にとっては、チャレンジングな題材だと言えます。というのは、尋問室ものともいえるもので、密室で、登場人物は2人という究極のミニマルサイズの要素だからです。「キューブ」もそういう題材だし、じつはボクも、初期の8mmフィルム映画の題材で選びました。(その時は、テーブルに向かい合う2人の女の子、しかもひとり二役という映画でした)この最小限の要素で、どこまで面白い映画を作ることが出来るのか?この『笑の大学』では、役所広司が演劇の検閲官、稲垣吾郎が座付き演劇作家という配役です。まあ、ふたりとも当て書きされたように、役にぴったりはまっています(よく三谷幸喜は当て書きするので、今回もそうでしょう)。検閲官は、いままで一度も笑ったことがない、戦前の警官を絵に描いたような堅物、かたや作家は利発で謙虚、したたかな若手作家というふたり、彼らの間には、「笑い」という深い川が横たわっていて、完全に断絶しているのです。このふたりが、検閲という課題を通して、理解し合ってゆく、とても面白い物語です。観てゆくと、少しずつ分かってくるのが、じつは三谷幸喜は、検閲官という名を借りて、今まで仕事上で付き合ってきた、用件ばかり押しつけてくる、スポンサー、プロデューサー、高名な役者、との作家である自分自身の戦いの様子を書いていたのだと分かってきます。みんながたまたま発見した、枝葉末節を指摘して、訂正を要求し、無理難題を押しつけてくる。しかもあり得ない課題を!仕事を普通にこなしている社会人なら、実に納得する、クレームのつけられ形なのです。そんな課題を押しつけられて、キレて怒り出すのは簡単です。しかし、稲垣吾郎演じる作家は、柔軟に対処してゆきます。「しかも、前の脚本より面白くして」書き直してくるのです。後に分かりますが、それは作家のとても静かな戦いでもあるのです。この知的ゲーム、共感して、ボクは泣きました。これは、本当に映像に携わってる僕らなら直接的な、そのほかの仕事をしている社会人にも共通の「戦い」でもあるのです。実に、うまい。あの、堅物の検閲官を大笑いさせる、それは、とても挑み甲斐のあるチャレンジである、とポジティブに考えるのが、知的な戦士なのでしょう。実に、上手でした。面白かった。二人しかいない部屋。机が一つ、窓がいくつか。小道具は、カバンと大判焼き、判子、その中で、どう観客に飽きさせないように物語を展開してゆくか。面白い映画です。最後に、最大のメッセージもあります。この時代ならではのメッセージ。とても素晴らしい映画です。是非観てください!五郎ちゃんの背伸びしない素直な演技、よかったです!検閲官は、