スター・トレック:ネメシス
-2002年作品-[原題] STAR TREK X : NEMESIS[監督] スチュアート・ベアード[出演](ピカード)パトリック・スチュワート、(ライカー)ジョナサン・フレイクス (データ/B―4)ブレント・スピナー、(ラ=フォージ)レヴァー・バートン (シンゾン)トム・ハーディ ▲似顔絵はピカード役のパトリック・スチュワート----------スター・トレックとしては10作目、TNGシリーズとしては4作目の映画です。脚本を書いたジョン・ローガンは映画第2作『スター・トレックII カーンの逆襲』が好きだったそうで、この映画の所々には『カーンの逆襲』のテイストが感じられました。『カーンの逆襲』では、カークが若い頃に戦ったカーンと再び戦うという内容でしたが、今回の『ネメシス』では主人公ピカード(パトリック・スチュワート)が、クローンとして造られた若い自分シンゾン(トム・ハーディ)と戦う話となっています。もちろん育った環境が全く違うため性格まで同じという訳ではないのですが、どこかお互いの考えが分かってしまう時がある二人。もう一人の自分と戦わなくてはならないピカード。それも若い時の自分であるということで、感情はまた複雑になってしまうのです。そしてピカードを倒そうとするシンゾン。シンゾンは何かを成し遂げても、結局はピカードのクローンであるからと見られるのです。一人の人間、シンゾンという人物を確立するために、ピカードを倒さなければならないのです。この物語にはもう1組、もう1人の自分というのが出てきます。それはアンドロイドのデータ(ブレント・スピナー)に対しての、彼の試作機であり兄であるB-4です。B-4はシンゾンによって発見され、スパイとしてエンタープライズに送りこまれます。そしてTNGシリーズでスポックと同じようなキャラクターであったデータは、『カーンの逆襲』で一度死んでしまったスポックのように、この作品でやはり死んでしまいます。エンタープライズの機密事項をB-4により知ったシンゾンは、ピカード達を危機に追い込める。シンゾンのいる最新鋭艦シミターに一人乗り込んで行くピカード。それを追うデータ。そこにはシンゾンを倒したピカードがいた。その傍らではシンゾンがスイッチを入れた致死放射線兵器が発動する寸前であった。シンゾンを倒し、しばし呆然としてしまうピカードに対し、データは有無を言わせず、ピカードをエンタープライズに転送する。そしてデータは、ピカードが転送された後、「さようなら」とつぶやく。このシーンはたたみかけるようなスピーディなテンポで、一気に見せてくれます。致死放射線兵器が今にも発動しようとする緊張感をあえて壊さないように、ピカードとデータの別れは、実にあっさりしています。けれどピカードの消えた空間に、そっと「さようなら」と言うのが実にグッときてしまいます。そして致死放射線兵器をハンドフェイザーで破壊すると同時に、乗っていたシミターもろともデータは消えてしまうのです。すべてが終わり静寂が訪れ、作品に寂しさがただようのです。 そしてラストです。前回、『カーンの逆襲』のラストでは、悲しみを慰めるようなどこか爽やかさに似た雰囲気があると書きましたが、この『ネメシス』のラストもまさしくそのとうりになっています。データの記憶をインストールされているB-4に向かい、ピカードはデータがどういう人物であったか、それにより人間の素晴らしさを再度学ばせられたことなどを語る。しかし試作機で不完全であるB-4には、理解できない。残念そうにピカードが部屋を出ようとすると、B-4は何気に歌をハミングする。途切れ途切れに口ずさむその歌は、以前データが歌っていた歌であった。このシーンは良いんですよネ~。ピカードはB-4にデータのことをとるとつと語るけれどB-4は「わかりません」とあっさり答え、ピカードの表情は少し残念そうに。こちらも、姿は同じだけどやはりB-4とデータは違うんだなぁ、とガクっとさせられてしまいます。その気落ちした気持ちのところで、B-4がデータが歌っていた歌をなにげに口ずさむというのがキキましたネ~。はっきりとは歌えていなにのですが、そのなにげない姿に、ああ、やっぱりデータはここにいる、と感じられて一気に嬉しくなりました。ピカードもB-4が歌う姿を見て軽く微笑みながら、廊下を歩いていきます。その表情に希望というか明るさがあり、とても爽やかに感じられました。 +++++++++▲7&8のパンフ▲9&10のパンフ+++++++++スター・トレック 新スター・トレック劇場版BOX(DVD) ◆20%OFF!