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このところブログの更新をしていなかった。実は東海道の旅から帰って来てからまた旅に出てしまったのであった。違う世界への旅。妖(あやかし)の世界。 畠中恵の「ちんぷんかん」を読んで以来、妖の世界に取り付かれて旅から戻れなくなっていたのであった。本の舞台は江戸時代。東海道五十三次を行く旅人には取り込まれ易い状況にあったのだろう。 まあ、本の事はまた後日のブログとして、一時、現(うつつ)の世界に戻って今回の東海道の旅日記を書き終えねば、次回は東海道中最大の難所(私はそう思っている、箱根では無く)の鈴鹿越えに踏み分けて行かれない。 東海道2日目は名古屋から桑名まで電車に乗る。「えー、いいの電車に乗って」と言う声が聞こえそうだが、いいのだ。宮(名古屋)の七里の渡しから桑名にある渡しまでは昔も船で渡った。旅人は歩いていないのである。現在船が無い以上、電車に乗ってもかまわないとは先人(例えば先を行くガガーリンさん)の教えだから。 桑名の渡し場は去年のうちにringoさん が下見をしておいてくれた。あ、別に私の為ではないけれど・・・。 早朝の桑名の渡し場跡は寒々としていた。すぐ側の海辺ではハマグリかアサリの漁をしている船が・・。「桑名の焼きはまぐり!」期待が持てそうと思ったのもつかの間、あまりに早朝のためたくさん並んでいる料理屋がまだ開いてないのだった。東海道「初めの一歩」と歩き出す。後ろは海だから・・。
ここは松坂牛で有名な柿安本店。ここもまだ開店前。「確か四日市に行ったら柿安で松坂牛食べさせてあげるとか言ったよね」と夫に迫るも。「残念だね。開店してなきゃ無理だよね」 こうして、タイミング悪くいつも美味しいものは逃げていくのだった。そういえば前泊のホテル、朝食2,500円もするので食べないで出てきた。早く何かお腹に入れなきゃ。 500mも行かないうちに東海道は直角に右折した。そして諏訪神社の前をまた直角に左折。ああ、そうか、桑名もまた城下町、曲がりの世界だった。 行く手はここをまっすぐ、先が見えている、がしかし、東海道の標識はこの場で曲がれ。
10m曲がって、10m曲がって10m曲がって、写真の先に出てくる。仕方が無い、東海道だから曲がらねば・・・。 並びには計量機屋やさん、梵鐘屋さん、表具屋さん、染物屋さん、和菓子屋さん、そして桑名らしく貝の佃煮屋さん。ガラガラと引き戸を開けて店奥に声を掛ける。旅人はハマグリは高いから、せめてもとアサリの佃煮を買ったのだった。重いので夫のリュックサックへ。 古い町並みには半鐘もあり、山車(だし)を仕舞ってある山車庫もある。江戸の情緒たっぷりだ。 有松の時の様に先手を取られまいと私が言う。 「有松みたいに山車を出して置いてくれれば良いのにね」・・・やったね。 「そうだね。出し惜しみしないでね」夫が言う。そうは桑名の焼きハマグリとばかりに。敵もさるもの。 負けたからじゃないけれど、急におなかが空いて来た。小さな気持ちのよさそうな喫茶店でモーニングサービスの朝食を取る。そこかしこに小さな心遣い。380円。 まだまだ旅は続く。 そのうち、「四日市まで後何キロ?次の一里塚までは?」といつも人任せで聞いて来る夫が、「もうすぐ一里塚があるよ。次の近鉄の駅まであと15分」などと言う。ははーん。これだ。ところどころに親切な現代の東海道道しるべ。
ふと見ると路地の端に小さな道しるべ。「右いかるが」 ああ、もうこんなところまで歩いてきたんだ。伊勢湾を過ぎれば、奈良も近い。ふと大好きな奈良の方に曲がりたくなる。 4斜線の大きな道路に出ると、地図を見ながら、先行く道を考えて道路を左に渡り左側の歩道を歩く。いくらも行かないうちにさっき歩いていた右側に笹井屋という看板を見つけた。 「長餅だ!」前日同行のとらのこどもさんに教えてもらった名物長餅。 もちろん道路を渡って右側に戻って長餅を所望。お店の中で頂く。店員さんが親切にお茶まで出してくれた。 5個入り。餡子がさっぱりしていて美味しい。 「お茶も美味しいね。もう1つ食べよ」夫が言う。あれ!もう3個目じゃない?私が娘と母にお土産にしようと残したのに、とは思ったものの、言わない、言わない。昨夜ホテルで友人にもらった餡麩三喜羅3個の内2個食べたのは私だから。 四日市に近づいているのは分る。遠く海のほうには高い煙突がモクモクと煙を吐いているのが見えるから。だけど、東海道には人っ子一人歩いていない。どうして?まるで真夏の昼下がりのように。真冬の昼下がりかな。寒いから? やっと四日市に着くとお腹はペコペコ。もう2時を過ぎている。どこで食べよう。そうこうしているうちに東海道はアーケードの中に入っていく。そして食べたものはこれ。 また、北インド、ネパールカレー。前回の有松とまったく同じ展開。東海道進んで来ても、我ら全然進歩無し。 「おかしいな、今度は匂いがしなかったから、匂いに釣られたわけではないのにね。」夫が言う。 そしてまだまだ着かない目的地。本当はこの日にせめて石薬師ぐらいまでは進んでおかないと、次の鈴鹿越えが辛いのだ。鈴鹿は電車の路線から外れ、バスも無い。途中ホテルも無い。 しかし、とてもそこまでは行かれないことがわかった。冬の日はつるべ落とし。すぐ暮れる。そして、桑名から四日市、四日市からがまたなんと長いことか。
やっと伊勢神宮に向かう伊勢路との追分に至った。 此処からは日没との勝負、とはいえ、名古屋からの帰りの新幹線は6時の切符を買ってある。 時間になったらどこかの駅から飛び乗れるよう。地図を握り締め、途中の駅で電車の時間を確かめる。まだ行ったことの無い、この先どのくらいのところにあるか分らない駅とそこを発車する時間を頭で計算しながらただひたすら歩いた。冗談も言わず、モクモクと歩いた。 電車に乗った駅の名は「内部」なにやら昔風の名前を持った駅だった。次からは此処から旅を始める駅。 もちろん帰りの新幹線の中では桑名で食べられなかった柿安の牛肉弁当をしっかり名古屋で買って食べたのだった。
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昨年伯父のお見舞いの帰りに桑名の渡し場へ寄りました。
すぐ近くに従兄の家があるので・・・ 小学生の頃は川原で遊んだ思い出もあります。 長餅も人気がありますよね♪ (January 17, 2010 07:22:09 PM)
私も読んでいます!
あやかしの話なのに、かいがいしく世話をしてくれる「にいやたち」に世話をされる若旦那、ほのぼのとしていますよね! 旅もいろいろですね! 2500円の朝食、躊躇しますよね。380円で充実の朝食で良かったですね。 (January 17, 2010 07:42:25 PM)
380円でこんなに~。
柿安、閉まってたんですか・・蓬莱軒は並んでたし・・ 長餅おいしいですよね。 ご主人様は甘いもの、いけるんですね。 「東海道」って書いた木片の看板。。 善意の人が置いてくれたんですかね?笑 (January 17, 2010 07:50:01 PM)
「内部」って、僕はもう忘れちゃってるなあ。杖衝坂の手前くらいですか?であれば、そこで終了したのは正解だと思いますよー。
(January 17, 2010 08:39:20 PM)
旅も佳境に入って来ましたね。最近道しるべをを探すけど見つけられないでいます。
今日は山下清展の東海道を見て来ました。 静岡の時、ご一緒したかったです。 (January 17, 2010 08:45:06 PM)
とうとう四日市まで。
桑名は、そう~、昨年ワタシが、東海道に関係なく、ただ、桑名の焼きハマグリが食べたい~からと、行ったところですねぇ~ 焼きハマグリ、食べなかったのですか~? それは、残念~(>_<) 四日市はワタシが高校生の休み期間、親元を離れて友だちと寮生活をしながら(学校には秘密で^^;)、とっても楽しくバイトをして、大人への第一歩を踏み出したように思えた、記念すべきトコロです。 なつかしい~ ワタシの青春の思い出が、いっぱい詰まった街です(*^_^*) (January 17, 2010 09:34:39 PM)
こんばんは!
着実にすすんでいるように見えますよ~^^ 旅日記楽しみにしています。 四日市までなんてすごいですね。 それにこれだけ歩くと体にもいいですよね。うらやましい~! (January 17, 2010 11:01:03 PM)
いつもご夫婦で東海道五十三次ルートを歩いているのでしょ~
仲良しなんだなぁ。同じ趣味が仲良しの秘訣でしょうかね? 朝食2,500円・・・ホテルは高いよね。。 わいも大体朝食はチェックアウトして食います。 都内のときは仕方ないから食べるけど・・高すぎ。 はぁ~~~旅に出たいです。。。 (January 18, 2010 10:19:18 AM)
ばあこ5577さんへ
ただただ歩くだけの旅ですが結構面白いです。 旅の目的が明確だからでしょうね。 >(^コ^)(^ン^)(^ニ^)(^チ^)(^ワ^) > >わぁ~^ > >また >旅にでられたのですね~~~~^ > >いいなぁ~^^ ----- (January 18, 2010 11:36:38 AM)
Blue*Hawaii**さんへ
渡しの跡は本当に何も無く早朝なので寂しかったです。でも大きな料亭が並んでいて、昔はきっと船を待つ人々であふれて居たのかなと想像できます。 (January 18, 2010 11:38:36 AM)
家族で眼鏡さんへ
いやいや、しゃばけシリーズはまってしまいましたよ。 一気に読んでいます。 朝食で2,500円ちょっと高いような気がします。東海道の旅ですからね。でも名古屋の辺りはモーニングサービスが充実しているから、そちらの方が面白いです。 (January 18, 2010 11:41:27 AM)
Belgische_Pralinesさんへ
ホテルの朝食どんなに豪華でもなんだどこでも同じようなものになりますよね。だったら名古屋近辺で有名なモーニングサービス試したほうが面白いですよ。 (January 18, 2010 11:43:22 AM)
ガガーリソさんへ
そうです。もうちょっと手前。出来れば加佐登の駅まで行って終わりたかったのですが。そうすれば次が少し楽なんですが・・。 (January 18, 2010 11:45:30 AM)
ヴェルデ0205さんへ
そうですね私もヴェルデさんとご一緒したかった。 時々オークションで広重の版画見るんですけれど、山下清と言うのも出てきますね。 (January 18, 2010 11:47:19 AM)
ringo5190さんへ
桑名の渡し、ringoさんのレポートではもっと充実していたと思ったのですが、寂しいところでした。多分、時間が早朝なのと焼きハマグリ食べなかったのとが関係しているようで。 鈴鹿を抜けるとソロソロringoさんの縄張りかと思いましたら、四日市も縄張りだったんですね。東海道から外れないように歩いているので四日市の町に何があるのかは良くわかりません。 (January 18, 2010 11:51:28 AM)
ショコラデさんへ
毎日歩いていれば身体にいいんでしょうけれど、つき1回ですからね。どうでしょう。でも一緒に歩いたとらのこどもさんが相当お疲れになったようなので、私達、江戸から歩いてきただけあって健脚なようです。 (January 18, 2010 11:53:38 AM)
あじょむさんへ
夫婦同じ趣味じゃないですよ。私は歴史や古いものを見て回るのが好きですが夫はただ歩くことがすきなんです。たまたまこの旅はその両方を兼ね備えているのでいいんですね。でも東海道からの寄り道は出来ない、博物館民俗館の類はパスされてしまいます。 甘いものが好きな趣味は一緒ですから、それもいいのかも。 (January 18, 2010 11:56:50 AM)
ホテルの朝食をパスされたのなら名古屋のモーニングを体験されたら良かったのに~と思って読み進めていたら380円モーニングに辿りつかれた様でホッとしました。
柿安・・残念でしたね。 流石は風格のある門構えです。 でも、お弁当も美味しそう^^ (January 18, 2010 12:44:19 PM)
楽しそうな東海道の旅ですね。私も本州に住んでいるならやってみたい。国内とはいえ電車もない南国の島じゃ無理だわ。お話とおいしそうな食べ物の写真で我慢しておきます。
(January 18, 2010 05:42:04 PM)
また旅に出てたんですね~
いいな~~♪ 旅したいな~。。。 でも1日4万歩はすごいですね~。 いっぱい食べても大丈夫ですよ! 旅の話も気になりますが 食べ物も気になりますね^^; いつも美味しいものいっぱいですもん♪ (January 18, 2010 07:41:06 PM)
ご夫婦での東海道の旅、
お二人の会話を想像しながら、楽しく拝見させていただきました。^^ 東海道と一口にいっても、長く険しい道のりですね。 次回は鈴鹿ですか、、、いつ行かれるのかな? 最近、私は家でゴロゴロ、運動不足なので、灰色ウサギさんを見習って、少し歩くようにします。^^ (January 18, 2010 08:59:24 PM)
こんにちは~
一気にお詳しいご報告、ありがとうございます。桑名はいつも素通りで、渡しの方面にはいったことがなく、興味津々拝読させていただきました(矢切の渡しなら何回もいっているのですが・・・)。ところで、有松のネパール料理、気が付いておりませんでしたが、中京競馬場駅と有松駅の間の大通りに面したお店だったでしようか? 仕事前によくランチを食べるお店です^^; それと内部までお疲れ様でした。お帰りの際は近鉄内部線をご利用でしたでしようか。分岐している近鉄日野戦が戦前からと思われる、幅の小さい古い車両で感動したのですが、同じ車両だとしたらレトロでいい雰囲気だと思います。 ※ちなみに知多方面に南下していただくと、セントレア空港―津・松阪、師崎―鳥羽のフェリーがありますから、少し渡しの気分が味わえるかもしれません。セントレアからでも伊勢湾の対岸までよく見えます。 (January 18, 2010 11:12:24 PM)
>桑名もまた城下町、曲がりの世界だった
城下町は敵の新入を防ぐため、このように入り組んだ路で構成されていますね♪ 細川忠興・ガラシャ夫人お玉の城、勝竜寺城下も迷路になっています♪ (January 19, 2010 09:31:54 AM)
バームクーヘンさんへ
前回栄の地下街でモーニング体験したんですが、あまり感動が無かったんです。でも今回は感動。hんぶんずつでしたが、バナナ、厚切りトースト、イチゴのサンドイッチ、それにコーヒー、ゆで卵、これで380円はすごい。 (January 19, 2010 11:51:44 AM)
picchukoさんへ
東海道には厳しい難所がいくつかありますね。それは昔とどうやら変わって来ているようです。箱根はハイキングコースになっていて雲助が追いはぎに変わる余地が無い。大井川には橋が架かった。そして鈴鹿は今じゃ鉄道に取り残され多分過疎化しつつある。よって、その区間は一気に越えなければ夜道をさすらうことになりそうです。 私の歩数よりpicchukoさんのハンガリーでの歩数が気になります。 (January 19, 2010 12:00:16 PM)
「室長」さんへ
ハイその来たインド、ネパールレストランです。 中京競馬場から歩いてきて、有松のすぐ手前でカレーのすごくいいにおいがしたんです。釣られて入りました。美味しかったです。 内部は近鉄内部線の終点です。すごくローカルな江ノ電みたいな電車でした。 七里の渡し船、9月ごろには4便ほどイベント運行するようです。来年挑戦してみようかしら。 (January 19, 2010 12:05:06 PM)
しぐれ茶屋おりくさんへ
今まで街に入る防御として枡形など知っていましたが、岡崎辺りでやっと城下町での曲がりに気がつきました。とんまなことです。 歴史を知っていると旅もまた面白いです。 (January 19, 2010 12:07:13 PM) |