日本の非核三原則「持たず」「作らず」「持ち込ませず」のうち「持ち込ませず」は既に核を積載した米軍艦船の入港で形骸化している。今回、安倍政権中枢の麻生外務大臣や中川政調会長の「核武装の論議を封じない」という発言によって日本もいよいよ「核兵器を持つ」論議が米国内の権力闘争に絡んで本格化しそうである。それでは日本の核武装とブッシュ政権の権力闘争がどのように関連するのだろうか。
ブッシュ政権内は国務省と経済重視ユダヤ(キッシンジャー)による「国際協調派」VS国防総省と軍事重視ユダヤ(ネオコン)による「一強主義派(ユニラテラリズム)」の権力闘争になっている。イラク戦争では「一強主義派」の独断場であったがイラク占領統治の失敗で「国際協調派」が勢力を回復した。東アジアにおける「国際協調派」と「一強主義派」の決定的な違いは、前者は「中国に覇権を任せる」に対し、後者は「中国を脅威とみなす」点であろう。
「国際協調派」は、北朝鮮問題を「中国に解決」させ東アジアは中国を中心に動くことを期待している。背景にはイラク戦争の消耗で米国の財政赤字が急拡大したことで東アジアの安全保障コストを中国に委ねるという考え方がある。一方「一強主義派」は台湾や北朝鮮問題で中国との対決姿勢を強め何時でも攻め込む態勢をとっている。また膨大な軍事費の負担を少しでも減らすために日本に対し武器の売却や米軍再編費用の負担を要求している。
「一強主義派」にとって日本核武装は中国の喉元に核ミサイルを突きつけられるし、日本側も領土問題で中国や韓国に強硬姿勢をとることができる。現在、自衛隊と米軍の一体化が進んでおり、世論がOKであれば米国が日本に核ミサイルを持ち込むのは容易である。今後の展開として、ライス国務長官が北朝鮮の望む金融制裁解除に踏み切らず、北朝鮮の暴発や米軍の軍事攻撃によって米国と中国が対決すれば日本の核武装は一気に現実味を帯びてくる
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