自公と民主は防衛庁を省に移行させるとともに、自衛隊の「海外派兵」を本来任務とする「防衛省」法案を参院外交防衛委員会で14日に可決15日の本会議で成立する。省昇格は自衛隊員の地位を向上させたい自民党の国防族や民主党タカ派の念願でもあったが、本法案は日本の安全保障政策の大転換を意味している。
本法案の最大の論点は、憲法9条の下で歴代内閣が「専守防衛」に限定してきた自衛隊の任務をイラク派兵も含めた“海外派兵”を認めた点にある。憲法9条を改正しないで先に法律で海外派兵を認めるのもおかしな話だが、既成事実を作って特措法の恒久化や憲法9条の円滑な改正が狙いなのかもしれない。
担当閣僚の久間防衛庁長官はイラク戦争について「もうちょっと慎重にやった方がよかった」と答弁しており、テロ特措法についても「アメリカが仕掛けている戦争の後方支援は危なっかしい」と見識ある発言をしている。一方「海外派兵」に疑問を持っていると思われる公明党や民主党護憲派からの声はあまり聞こえてこない。
当法案の審議時間は会期末ということもあり衆院安保委員会で十五時間、参院外交防衛委で十三時間程度と少ない。JNNの世論調査でも当法案について「今の国会で改正すべき」はわずかに20%。「こだわらなくてもよい」は73%に達している。国民が十分理解しないまま自公と民主はこのまま法案を通すのだろうか。
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