給油と拉致の取引か?
11月16日に行われた日米首脳会談では「インド洋での自衛隊による給油活動」の早期再開と、米国が検討している「北朝鮮へのテロ支援国家指定解除」について話し合われたようだ。拉致被害者家族会からは福田総理が首脳会談で反対姿勢を明確に示さなかったとして「失望」の声があがっていた。しかし11月20日、内閣府で中山総理補佐官が拉致被害者家族会に対し首脳会談の内容についての補足説明を行った。その際、中山総理補佐官は「首脳会談では拉致問題が真剣に話し合われた」と自信を持って説明したため飯塚副代表は「少しは落ち着いた」とコメントしている。ところで福田総理は11月21日、シンガポールのホテルで記者団に対し、「テロ新法」に関連し与党が「3分の2条項」を行使すれば民主党など野党が多数を占める参院で首相問責決議案を提出する構えを示していることについて「何のための問責かさっぱり分からない。僕を問責できるような人はいるかな」と述べた。さらに22日に予定されている野党各党との党首会談について福田総理は「テロ新法」の成立へ協力を求める考えを示し、同法案成立に強い意欲を表明している。しかし今更、野党党首と会談しても協力を得られる見通しはゼロである。なぜこの時期に福田総理が野党との党首会談を望んだのか疑問が残る。ひょっとすると日米首脳会談でブッシュ大統領は福田総理に「インド洋での日本の給油活動」の継続ができれば「北朝鮮のテロ支援国家指定解除」を先延ばしにすることを示唆したかもしれない。そこで福田総理は米国に「テロ支援国家指定」を暫く継続をさせるためにも「テロ新法」で「3分の2条項」の行使を決意したかもしれない。それが福田総理の「早期成立に全力を尽くす」という発言の具体的な意味なのかもしれない。ひょっとすると野党との党首会談でも「テロ支援国家指定」継続を盾に「テロ新法」成立への協力か、少なくとも「3分の2条項」行使による野党の問責決議案提出で国会を混乱させないよう働きかけをするのかもしれない。