虹色のパレット

2005/12/30(金)03:54

37. ♪ フィラデルフィア追っかけの巻き ♪ その4

ミーハー日記(29)

  8時ジャスト、着席しました。そうでしたよね。余計な事はいいから!! まだ、息も整いません。プログラムを開きました。そうか、プログラムは書いたほうがいいですね。 キーシン・ファイルは・・・。え、こんなに薄かった?入ってない。ああ、一杯になったから新しくしたんだ。厚さ5センチもあるのが三冊もありました。こんなにー!そうだっけー?。感心してないで早くプログラムを!!は、はいはい。必ず返すんだよ、物忘れがひどいんだから。分かった。 そう、スキャンした方がいいですね。出来るかな?!出来た。やれば出来る。余計な事はいいから!!Kimmel Center の中には大中小の三つのホールがあります。これは、大ホールです。      あ、この席、開けてあるあのピアノの蓋の陰になって、キーシンの顔見えないかな?えー、大丈夫かな・・・。まずかったかなーなどと思いながら、プログラムも一応目を通しました。その時、ステージを隔てて真ん前のドアが開きました。キーシンが颯爽とこちらに向かって歩いて来ます!!え、こっちまで??来るはず無いよね!!ピアノの所で止まりました。勿論。四方八方に、お辞儀。座った。ばっちり!!ちょうどあの三角の間から、キーシンの胸から上顔が良く見ます!! 静かな始まりです。緩やかに・・・。流れます。左手の音がまた絶妙。主旋律と響きあい、たまらない!!夜明けのように、微かに微かに激しさを増して行きます。とどろくような音。苦悩の表情、一瞬限り無い優しさが過ぎり・・・。一音一音が、はっきり聞き取れるのに、或いはだからこそ全てが調和して聞こえます。それぞれが独立しながら響き合いハーモニーしています。音のグラデーションが美しいです。キーシンの表情と音楽が相俟って、全存在を懸けて演奏している様子が分かります。何時もながらの身を削っての演奏!!キーシンが音楽か、音楽がキーシンか。宇宙とキーシンとの間に存在するチャネル、そこを通ってエネルギーは大宇宙から絶え間なく流れ込んでいるかのように力強く、そして、優しく音楽は流れます。 汗が光っています。呼吸が激しくなり、吸い込んで、息をぐわーっと吐き出すその音まで聞こえます。音楽が私か、私が音楽か・・・。渦に巻き込まれ、ともに大宇宙を飛来し!!汗が飛び散ります。目からも音楽が聞こえてくるようです。あの、最後には1秒を争う迷子の後、全て、目の前で起こっていることです。信じられません。 何時も苛々させられる雑音は一切聞こえません。完璧に全ての音が聞き取れました。後で思い返して雑音の記憶が無い!!と思ったものです。後にも先のも、そんな経験ありません。あの席では、当然!!です。それを雑音というなら、キーシンの息使い。でも、それは、音楽の一部です。一緒になって呼吸し・・・。幸運にも、私はただのミーハー、音楽の解説する必要も無く、ただひたすら音楽と響き合っていたのでした。 シューベルトのソナタが終わりました。万雷の拍手とブラボーと。私もミーハー初期から中期にかけてはここで大騒ぎしたものですが・・・。今は、まだこちら側に帰っていない、キーシンの中で静かに息づいているであろう音楽の余韻を静かに追います。四方八方にお辞儀。ドアに向かって歩きます。 真ん前のドアが開きました。入ったとたん、誰かがタオルを持って来ました。キーシンが受け取って、頭から顔にかけての汗を拭きました。客席の騒ぎは収まっていません。ちょっと服装など整えて、また、舞台に。四方八方へのお辞儀。スタンディング・オベイション。それを振り切るようにドアに消えるのですが・・・。でもこの席からは、舞台裏まで丸見えです。今度は水です。一気に飲み干して、またまたカーテンコールです。何回か続いて、インターミッションのライトが付き、聴衆はやっと我に返ったように、静まりました。 隣のご婦人が、「良かったねー!!」と言いました。「本当に良かった!!凄い演奏でしたねー。」と私。そんな事から話が始まりました。「さっきは、遅れそうになっちゃってー。実は迷子になって・・・」とか。「彼、私の友達よ。」「彼って?」「今弾いたピアニスト。」「えー。」証拠見せようか?とは言いませんでしたが、一緒に撮った写真見せました。私はただのファンだけなんですが、こっちでは、シャーシャーと友達とか言っても不自然ではない雰囲気があります。その内にキメル・センターの話になり、いいホールですね。そう、とても素敵だから、いろいろ見てきたらいいですよ、なんて言ってくれ、私は、席を立ちました。当時で、出来て2~3年といてたかな。ちょっと和風な感じのライトとかあり、インテリアや家具もなかなかいいデザインです。ソファーなども至る所にあり、リラックスできる洒落た落ち着いた雰囲気のホールです。 さっきの駈け抜け着席とは、対照的。すっかりくつろいで、インターミッションを過ごし、いよいよ後半の始まりです!!今日は、終わるかと思っていましたが・・・。もうこんなに長くなっちゃったー!! 昨日の午後は、嵐のような夕立がありました。激しい風と雨の後の空が、キーシンの音楽を思い起こさせました。私は、何時も、キーシンの音楽は私にとって空のようなもの、と思っています。物心付いてからというもの、毎日見続けているのに、決して飽きない空。一瞬たりとも静止していることなく変わり続ける空。見飽きることを知りません。聞き飽きることを知りません。あるCDは、オーディオカセットテープにコピーして、発売から毎日3年間聞き続け、2本のテープが磨り減って音が出なくなったこともあります。キーシンのCD一枚 Vs.キーシンのCD抜きのCDショップの全CD。どっち選ぶ?迷わず一枚のキーシンです。                  嵐の余韻を残して    その日の夕暮れ

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