946.何でもトライしてみるものだ! - 植物のエネルギー4
Amaryllis 4 posted by (C)kazuhimeAmaryllis No.4-6/24/03 9:00pm(Pencil on paper, 9"x12")夜の9時だと言うのに、咲ききる前の美しさ、力強さに引かれて、スケッチを始めたのだった。17.何でもトライしてみるものだ!目が覚めて、カーテンを開けると、真っ青い透き通った空がビルの上に四角く広がっていた。日の光は眩しく、空気は爽やか。まだ覚めきっていなかった目も、パッチリと覚めた。昨日のあの蒸し暑さ、いかにも夏と言ったよどんだ空気と打って変わって、まるで秋を思わせる清々しさだった。「ついてるなー。」と思うと、うきうきした気分になり、鼻歌交じりに急いで身支度を整えた。旅行者然としないように、小さなショルダーバッグ一つにまとめ、その中に地図を忍ばせて颯爽と部屋を出た。 エレベータを降りると、「さあ、どうぞお電話を!」と言わんばかりに、目の前にズラリと公衆電話が並んでいた。それを見ると、何だかもう一回電話してみたくなった。別に期待もしていなかったが、「急ぐ旅でもないし、こんなに沢山さん電話があるんだかたら・・・。」と単純なな理由で、まず、Aさんという方の電話番号を回してみた。あの、夕べ聞き飽きた呼び出音がきこえる。「どうせ、また、誰も出ないだろうな・・・。」と思っていると、突然受話器が上がる音がした。「ハロー。」私はドキッとしたが、英語で話されたら困ると思いその人の次の言葉を待たず、「もしもし、私は、日本のKさんという方からAさんのことをご紹介して頂きました、これこれこういうものですが・・・。」と、とにかく自分の言いたいことを先に言ってしまった。「ああ、Kさんの友達。どうですか、彼は元気ですか。」と、日本語が返ってきて、私は、ほっとして答えた。「はい、K先生もお元気で、Aさんと連絡が取れたらくれぐれも宜しくとおっしゃっていました。」「そうですか、懐かしいなー。K君も、2~3年前に来ましてね・・・。ところで、あなたは、何時ニューヨークに来たんですか。」「私は、昨日の夕方着いたばかりなんですけど・・・。」「ああ、それじゃあ、こちらの様子も全然分からないんですね。ぼく、今夏で仕事も暇でゆっくりしてるんですよ。よろしかったらご案内しますよ。」と言うことになり、私は、突然、このニューヨークで一人ぼっちではなくなったのだった。「分からないものだなー。何でもトライしてみるものだなー。」とすっかり感心して、言われたようにホテルのロビーで、行きかう人々を眺めながら待っていた。 20~30分もすると、一人の日本人男性がロビーに入って来て、私は、それがAさんだと言うことがすぐ分かった。向こうも、すぐに私に気が付いたようだった。「Aさんですか。○○と申しますが、初めまして。」私は、ぺこぺこお辞儀をしながら挨拶した。お互いに、自己紹介など終わって、それでは行きましょうかと言う段になって、Aさんが、私を見て、「あんた、珍しい日本人ですね。」と言うので、変なものでも付いているのかと、自分の服なんかを見回しながら聞き返した。「えっ。どうしてですか?」「日本人は、みんなカメラ持ってるんですが、持ってない人を見たのは初めてですよ。」真面目な顔で言った。「ああ、カメラねー。・・あのぉ、ニューヨークでカメラなんかぶら下げて、キョロキョロしていると危ないって、散々言われたものですから、置いて来たんですが・・・。」「置いて来たって、フロントに預けて来たんでしょうね。」「いいえ、ホテルの部屋のテーブルの上に置いて来たんです・・・。」「冗談じゃないですよ。ニューヨークでは、ホテルの部屋なんて通りと同じですよ。せっかく来たんだから、写真ぐらい撮りなさい。大丈夫ですから、カメラ、持ってきなさい。」と言って下さった。 どっちにしても、ニューヨークって怖いところなんだなーと思いながら、急いでカメラを取りに部屋に戻った。メイドさんは、もう綺麗に部屋のお掃除を済ませたようだった。カメラは元の所に置いてあった。 カメラを肩にかけて戻って来た私に、Aさんが言った。「まず、上からニューヨークと言う街全体を見てみましょうか。普通は、皆、エンパイヤーに上りたがるんですが。でも、エンパイヤーに上ったら、NYのシンボルエンパイヤーが見えないでしょ。だから僕は、いつもロックフェラーセンターのRCAビルに案内してるんですよ。エンパイヤーほど高くは無いんですがね。」 そこまで、このホテルから余り遠くは無いというので、街をみながら歩いて行く事になった。 なんという周到な案内役に出会ったものか。あの電話の群れのおかげだ。すっかり安心しきって、きょろきょろしながら、Aさんの後について歩いている信じられない状況にいる自分・・・。 目指すビルについた。展望台行きのエレベーターに乗った。自然を、日本の美しさを忘れかけた我々に、優しく語りかけるみきちゃんの俳句日記「奥の細道」風雪に耐える冬芽天を突き。青空に桜冬芽の枝ひろげ。手作りの飾羽子板藤娘。初田打ちかすかに土の音を聞く。by みきちゃん自然と共に、自然の懐に抱かれて生きるとき、人間は本当に平安に幸せに生きられるんですね。みきちゃんの俳句日記覗いて見て頂けたら嬉しいです。ありがとう御座います。